31話「まだ見ぬ地へ」
この日、俺とマリーネはギルドに
来ていた。クエストを受注して
それを達成し、それで得た報酬金
を日々の生活費にする為だ。
「ワイバーンの群れの討伐……
解毒草の採取……回復の
ポーションの納品……雷電石の
採掘……。」
クエストボードに貼られた
クエスト依頼書を眺め、それらを
読み上げるマリーネ。その隣で
俺はあるクエストを見つけた。
「これは……。」
そう呟く俺の側にマリーネが
寄ってきた。
「どうしたの?」
俺は彼女に、そのクエスト依頼書
を指を差して見せた。
「王国ミズノエに現れた水棲
モンスター、シーグールの討伐?」
それが俺の見つけたクエスト依頼
書だった。シーグールなんて
初めて聞いたな。グールって確か
……怪物の事だよね?シーグール
……つまり、海の怪物って事かな?
「ここから王国ミズノエまでは
どれぐらい掛かるの?」
俺の質問に、マリーネは答えた。
「ここからだと、丸1日は掛かる
わね。だからこの国の中で
できるクエストをしましょう。」
それと、なぜこの国に隣国のクエスト
依頼書があるのか、それが気に
なった。
「なんで隣国のクエスト依頼書が、
このアストレアにあるの?」
「なんでかしらね……ミズノエの
冒険者はアストレアの冒険者と
同じぐらいいるから、冒険者が
足りてなくてクエストを受ける人
がいないっていうのは考えられ
ないけど……。」
マリーネはそう答え、俺は続けて
彼女に質問をした。
「シーグールってどんなモンスター
なの?」
「シーグールはね、普段は水中に
いるけど、ある時だけ陸に上がって
くるのよ。それは、人を食べる
時よ。」
なんだって……?俺は彼女の言葉
を聞いて、そう考えた。
「だったら、早くシーグール
を倒しにいかないと!ミズノエ
の人達が危ない……!」
「だけど、ここからじゃミズノエ
までは遠いから……」
俺はミズノエに行き、そこに
行ってモンスターから人々を
守りたい、そう考えたが、
マリーネはそれを拒否した。
「でも……!」
何かマリーネを納得させる言葉を
言わないと……そう考え、その為
の言葉を考える俺だったが、その
時、俺達の前にある人が現れた。
「どうしたの……?」
それは、以前特級冒険者会議で
出会った特級冒険者、セリエ
だった。彼女もクエストを
受注する為にギルドに来たの
だろう。
「俺、ミズノエに行ってシー
グールっていうモンスターから
人々を守りたいんだ。でも
ここからミズノエまで行くには
かなり時間が掛かるってマリーネ
が……。」
俺はセリエにそう説明した。
するとセリエはこう答えた。
「私なら……一瞬で……貴方達を
……ミズノエまで……連れて
いけるわよ……。」
「本当に?」
俺が彼女に聞き返すと、セリエ
は首を縦に振った。
「その代わり……クエストの……
報酬金の半分は……私が貰うわ
……それで……いいわね……?」
セリエはマリーネにそう提案し、
マリーネはそれを了承した。
「ええ、それでいいわ。」
「目的地は……ミズノエの漁村、
カノト村だって。」
俺はクエスト依頼書に書かれた
クエストをする場所を読み上げた。
カノト村っていう村なのかぁ。
「それじゃ、クエスト受注は私
がするわ。」
「よろしく……。」
マリーネはクエストボードから
クエスト依頼書を剥がし、それを
カウンターへ持っていき、クエスト
を受注した。クエスト受注には、
300ラルクの受注料が必要で、
そのお金はマリーネが支払った。
「それじゃあ……行くわよ……。」
そうして、俺達はセリエさんと
共にギルドを後にした。
「それで、どうやってミズノエ
まで一瞬で行くの?」
俺がセリエにそう聞くと、彼女
は「ついてきて」と言って俺達
を案内した。
歩くこと数分、俺達が来たのは、
建物と建物の間の、人の気配の
ない空間だった。ここに来て
何をするつもりなんだろうか
……?
「私……この魔術を……
使う時は……人目を……気にする
タイプだから……。」
セリエはそう説明すると、
持っていた魔杖を振りかざし、
魔術を唱えた。
「ワープゲート……。」
ワープゲート……?それって
ドラコが使ってた魔術だよね?
と思ってると、俺達の前に、
人1人通れるぐらいの大きさ
の穴が現れた。
「ドラコは人のいる場所でこの
魔術使ってたけど……?」
俺がセリエに聞くと、彼女は
このように答えた。
「まぁ……人の目を……気に
しない人は……普通に……
人前で……使うから……つまり
……個人差よ……。」
との事だ。
「魔術ってものは人に見せ
びらかす物じゃないからね。」
とマリーネは言っている。
「さて……行きましょう……。」
セリエはそう言うと、穴を潜って
穴の向こう側へと歩いていった。
「私達も行きますね!」
とマリーネが穴の向こう側にいる
セリエに呼びかけると、向こう
からセリエの声で「いいわよ」と
聞こえた。
なので俺もマリーネも、穴を潜って
ミズノエへと向かった。
「ここが……ミズノエ。」
俺が穴を抜けると、目の前には
海が広がっていた。澄み切った
とても綺麗な海だ。そして
海の手前の方に村がある。
あれがカノト村だろうか。
新たな場所に来たからか、
俺は少しだけドキドキしていた。
この度はこの作品を読んでいただき
ありがとうございました!
ようやくミズノエ編まで戻って
きました。今年中には良太郎の過去
編までは行きたいと考えている
ので、今年1年もよろしくお願い
します!




