18話「始まる会議」
王国アストレアの中心に位置する
この王都レガーは、この国1番の
都会だ。その街は夜になると街灯が
夜を照らし、人々の心も明るくする。
街の中の噴水のある広場は、人々の
憩いの場となり、その日の夜も、
王都は賑やかな時を迎えた。
それに対して、良太郎達のいる
ギルド本部では、ピリついた空気
が流れていた。この国は謎の敵に
よる襲撃を4度も受けた。これに
対して冒険者達は、それに対する
策を練る事となったのだった。
会議を進めるのは、27歳の若さで
ギルドの最高責任者、ギルド
マスターへと昇格した男、ハイドラ
・シーハンターである。
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「それじゃあ、先ずは最近起きた
この国の4つの村の襲撃事件を
まとめよう。タウラス君、
サータニャ村で起きた出来事を
話してくれ。」
ギルドマスターはタウラスに最初に
話をするよう命じ、彼は席から立って
サータニャ村で起こった出来事を
話し始めた。
「俺たちはサータニャ村付近
に現れた鳥型モンスター、カオス
イーグルを討伐しに、仲間のベル、
ドラコと共にでかけたんだが、その
モンスターを討伐し、休憩をしに
近くにあったその村に寄った時……
その時には既に村は壊滅状態。
村人や後から来たマリーネちゃんの
話を聞くとどうやら犯人はゴーレム
を操る、シャナという少女らしいと
判明した。俺達はその村に再び
シャナが来るかもしれないと考え、
村に翌日までいたんだが、翌日
シャナは村人を殺しにやってきた。
1度村を見逃し、再度村にやって来た
理由は、人の苦しむ姿を見たいから、
だそうだ。」
彼は話を終えると、一息ついて
席に座った。俺やマリーネ、
他の特級冒険者達はその話を
最後まで静聴した。そんなタウラスに
ギルドマスターはある質問をした。
「タウラス君ありがとう。敵は
何か変わった事をしてはいなかった
か?例えば人ならざる力とか。」
という質問だ。これに対して
タウラスは答えた。確かシャナは
……と考える俺。
「あぁ、地面から黒い何かを
生やして操ってた。あれは……
影……か?」
と答えるタウラス。それを聞いた
ガオレオ、セリエさん、そして
ソレイユさんは何か心当たりがある
かのような反応をした。
「影……?」
「そっちでも影かよ……。」
「その魔術は……。」
何かをボソリと呟くガオレオ達。
何か心当たりでもあるのだろう
か……?
「影か……私はガオレオ君、セリエ
君、ソレイユ君からは既に王国の村
の襲撃事件の話を聞いているのだ
が、彼らが相手にした謎の敵も、
黒い何か……いや、影を操って
いたそうだ。」
俺はギルドマスターの話を聞いて
確信した。やっぱりそれぞれの村
を襲った敵は仲間同士だったんだ
……!
「て、敵の目的は一体何なんで
しょうか!?」
俺はつい立ち上がってしまい、
ギルドマスターにそう問い詰めて
しまった。……あ……ギルド
マスターに対して失礼だったかな
……。
「そうだな……敵は……いや、
敵に名前を付けよう。4人の敵は
影を操り攻撃を仕掛けてきた……
だから敵の事は「影の一味」と
呼ぶ事にしよう。敵の目的は
おそらく純粋な快楽犯罪、としか
言いようがないね、今の時点では。」
ギルドマスターは冷静にそう
結論づけた。
「な、なんでそんな事を……?」
俺はなぜギルドマスターがそう
考えるに至ったのか、彼に聞いた。
「影の一味が今回この国でやった
事は……正直人にはあまり話したく
ないのだけど……マリーネ君、
話してもいいかな?」
ギルドマスターは話をする前に
マリーネに許可を取ろうとし、
彼女は首を縦に振った。
「……お願いします。」
「それじゃあ、先ずは西のビーナ
村で起きた出来事を話そう。この
村の村人達は、影の一味が操る
モンスターによって……全員喰い
殺されていた。」
なっ……!?喰い……
殺され……!?
「そして救援を受けて村に向かった
冒険者達もそのモンスターにやられ、
ガオレオ君が村に到着した時は、
そのモンスターと、モンスターの
主である影の一味がその場にいた
そうだ。」
そんな……!
「そして東のジュピル村では、
影の一味と思しき者によって、
村人全員が撲殺されていた。
女性も子供も、1人の漏れなく
ね。」
その村の村人も……全員死んだ
……だって……!?
「最後に北のルスタ村だ。
この村では村人全員が消えて
しまっていたんだ。しかし
血痕のようなものは村のどこにも
無く、村人達は無傷で影の一味に
攫われたと思われる。村人達が
今も生きていれば良いんだけどね。」
村人達が攫われた!?……
どうやら、俺が思ってたよりも
遥かに、今回の事件はとんでもない
みたいだ……。
「……」
立っていた俺は、ギルドマスター
の話を聞いて、頭の血が引いた
ような気分になり、腰をイスに
下ろした。
「以上がこの国が受けた被害だ。
死者は今朝のサータニャ村の犠牲者
を合わせれば150人を超えている。」
150人以上も……人が死んでしまった
なんて……大人も子供も……大切な
命が……。
「敵は……皆シャナのように弱者を
弄んで楽しんでるような連中
なんですか……?そんな恐ろしい
敵と戦わなくちゃいけないなんて
……。」
唖然とした俺の口からなんとか捻り
出した言葉に、ギルドマスターは
答えた。
「そんな連中を放っておく訳には
いかない。誰か影の一味を迎え撃つ
対策案を……」
「はい」
その時、誰よりも先に手を上げた
のは、マリーネだった。
マリーネ……一体どんな策を思い
ついたんだ……?
「敵はセリエさんとガオレオさん、
そしてソレイユさんと渡り合った
実力者なのですよね?ならこちらも
それに相応する力を持つ者を用意
する必要があります。」
「それは一体……?」
ギルドマスターに、マリーネは
答えた。
「私の師匠にして、この国最強の
冒険者、イブの力を借りましょう。」
イブ……マリーネが言ってたお師匠
様の事か?
「イブ……さん……?」
「あの人が……!」
「……イブ殿か……。」
ガオレオ、セリエさん、ソレイユ
さんはその名前を聞いて、そう
ボソリと呟いた。
「しかし、彼女は行方不明なの
だろう?一体どうやって彼女を
探すというのかい?」
だが1つ問題があった。イブさんは
今マリーネの元を離れ、行方不明
となっている。その事をギルド
マスターに聞かれたマリーネは
「私がなんとしてもお師匠様
を探し出して……」
と答えようとした、その時。
「ギルドマスター!!」
ギルド本部の扉を開いて、ギルドの
受付嬢さんが姿を現した。
かなりひっ迫した様子で、何か
あったのだろうかと考えさせられる
様子だけど……。
「街に無数のゴーレムが……
突然現れました!!」
「なんだって……!?」
俺達はそれを聞いて急いで
ギルド本部を出た。すると彼女の
言ってた通り、街中にゴーレムが
湧いているのを確認した。あの
ゴーレムは……シャナが操って
いたものと同じゴーレムだ!
「皆、住人の避難誘導は下級冒険者
を呼んで彼らにさせる!君達には
ゴーレムの掃討を任せる!頼んだ
よ!」
「了解!!」
俺達はギルドマスターの指示で、
ゴーレムの退治をする事となった。
「リョータロー君!私達は街の
南側に行くわよ!」
「あ、うん!」
俺はマリーネ、トーゴと
共に王都の東方面へと向かった。
一体なぜ突然こんな数のゴーレム
が……!?分からないけど……
今はとにかく王都を守るしかない!
こうして、夜の対ゴーレム戦が
始まるのだった……。
この度はこの作品を読んでいただき
ありがとうございます!この作品
はこれからは1話2000字~3000字程
の文字数で書いていこうと思ってる
のですが、このペースでいくと
この作品の総話数は200話を超える
かもしれません。この物語は
かなり長くなるかもしれませんが、
それでも構わないという人は
よろしくお願いします!