12話「始まる戦い」
俺とマリーネは、サータニャ村で
王国アストレアの冒険者タウラスと
ベルに出会った。俺は2人に挨拶を
済ませたんだけど……
その時、タウラスの隣に黒くて
大きな穴が現れた。
「な……なんだこれ!」
それを見て驚く俺。そんな俺に
対してタウラスは
「お、あいつが帰ってくるな。」
と冷静だった。この大穴は一体
何なんだ……!?と考えていた
が、その穴の中から1人の少年が
姿を現した。
「ただいま~!アニキ!ベル!
ギルドに救助要請出しにいった
ぜ!明日の朝救援に来るってよ!
……あれ?この人とこのゴーレム
は?」
穴から出てきた少年は、マリーネ
と俺を見て、この2人は誰だと
タウラスに聞いた。
「あぁ、たまたまこの村に来た
アストレアの冒険者、マリーネ
ちゃんとその子が使役する
ゴーレムのリョータローだ。」
出会って間もないのにちゃん付け
なんて、フレンドリーと言えばいい
のか、失礼かもしれないけど、
馴れ馴れしいと言えばいいのか
……と俺は一瞬思った。
「へ~!ゴーレム使いって事は
かなり強いんだな!よろしく
な、マリーネ!俺はドラコ・
アインズ!3級冒険者だ!」
「貴方の事は知ってるわよ。
最年少冒険者ってね。よろしく。」
マリーネはドラコにそう返して
彼と握手を交わした。ドラコ、今
マリーネの事、ゴーレム使いって
事はかなり強いんだな、って
言った?ゴーレムは強い魔術師
じゃないと操れないのかな……いや、
俺は自分の意思で動いてるので
あってマリーネに操られてる訳
じゃ無いか……。
「ドラコくん、さっきどうやって
この場所に現れたの?魔術?」
俺は気になってた事を彼に
聞いてみた。
「くんって……俺を子供扱いする
んじゃねぇ!」
え、くん付けはまずかったか
……?
「お前は立派な子供だよ!
まだ13歳なんだから!」
え、13歳で冒険者やってるのか?
凄いな……。
「まぁいいや、さっきの魔術は
ワープゲートっつってな、遠く
へ一瞬で移動できちまう便利な
魔術なんだよ。そして……この
魔術を使えるのは、優秀な人間
のみとされている!俺は……天才
なんだよ!」
と、ドラコはかなり嬉しそうに
魔術、ワープゲートの説明をして
くれた。
「ドラコ、今晩はこの村に泊まる
ぞ。マリーネちゃんが犯人をこの
村の近くで見たそうだ。以前の
村襲撃事件では死んだ村人達が
いる。犯人の目的が村人達の殺害
なら、もう一度この村に帰って
くるかもしれねぇ。だから俺達で
この村を守るんだ。分かったか?」
タウラスは先程話した事をドラコ
に伝え、ドラコは首を縦に振った。
「おう!その犯人とやら、
とっ捕まえてやろうぜ!」
そうして、俺とマリーネ、タウラス
とベルとドラコでこの南の村、
サータニャ村を守る事となった。
その後俺達は村人達と協力して、
ゴーレムに柵を壊された無防備な
その村に、木材を使って簡易的な
バリケードを作った。さらに
念には念をと、マリーネが
モンスターの入れない領域を
作り出す魔術、「対モンスター
結界」を作り、それで村の守り
を固めた。
「この対モンスター結界はね、
私の家の周りにも張られている
の。お師匠様が張ってくれて、
今でもその結界は残っている
のよ。」
マリーネは実は自分の家にも、
その結界が張られているのだと
俺に教えてくれた。
「へぇ、それで王都の外に
あの家があっても安全な訳だね。」
「ええ!」
「冒険者の皆様、せっかくなの
で、我々にご馳走させてください!
夕食を作りましたので。」
やがて夜になり、俺と冒険者達の元
に村長さんがやって来て、夕食を
食べてくれないかと言ってきた。
4人は喜んで村人の作った夕食
をご馳走された。俺はゴーレム
なので勿論夜ご飯は無し。まぁ
それでもゴーレムとしては何も
問題は無いのだけど、美味しい
料理が恋しいなぁ……。
夜ご飯を終えたマリーネ達は
村の広場で野宿をする事にした。
村人の半数が家を壊され、眠る
場所を失い野宿を強いられている。
そんな中自分達だけ屋根の下で
眠る訳にはいかない、という
マリーネの提案だそうだ。タウラス
達は彼女を見習い自分達もそうする
事にした。
「コネクトゲート!」
マリーネは、コネクトゲートと
唱えると、空中に小さな穴が
現れ、彼女はその中に手を突っ
込み、穴の中から被り布団と
敷き布団を取り出し、それを
床に敷いた。
「今のは遠くの物を取り出せる
魔術、的なのかな?便利な魔術
だね。」
「そうよ。使えるようになってて
損は無い魔術ね。この魔術結構
便利なの。」
マリーネは自慢げに魔術の事を
話した。
タウラス達はクルドをワープ
ゲートで、自分達の住まいが
ある王都に向かわせ、布団を
取りに行かせたそうだ。
「ふぁ~、さぁて、寝るか!」
タウラスはそう言って地面に
敷かれた布団の中に入り、
ベルとドラコも眠りについた。
「私達も寝るとしましょう。
核を取るわよ。」
「うん、いいよ。」
マリーネと俺も眠る事にし、
俺は彼女に核を取られて眠り
についた。
「おやすみ、リョータロー君。」
「おやすみ、マリーネ……。」
明日の朝には王国から救援が来る
と良いんだけど……今日はなんか
疲れたな……主に精神的に。
そう思いつつ、俺は眠りについた。
「マリーネ、おは……ん?」
「リョータロー君、奴が……来て
しまったわ!」
「え……ッ!?」
俺は目が覚めるなり、マリーネや
タウラス達、そして村人達の
険しい表情を見た。その人達の
瞳の先にある、いやいるものは……。
「救援は来ない……だと!?」
「そうよ!ここに来る途中で
やっつけて来たわ!ゴーレムの準備
運動も兼ねて、ね!」
タウラスの質問に、その子は答えた。
その子は……シャナは、ここへ
向かってた救援の冒険者達を、
ゴーレムで皆殺しにした、と言った
のだ。彼女の後ろには、昨日俺が
戦ったゴーレムが4体と、見たこと
の無い大きなゴーレムが1体いる。
「なんでこんな事するんだよ!
こんな事が楽しいのかよ!」
ドラコは怒って彼女に問い正した。
「ええ!人間が苦しむ顔、人間が
泣き叫ぶ顔、人間が死にゆく顔は
……とってもッ……カワイイわぁ!」
その言葉を自分の口から発する
シャナの表情は、とても楽しそう
だった。
「私はもっとカワイイものを見たい
の!だから……邪魔しないでね!!」
シャナはそう言いながら、1人の
村人を標的にし、自分の影から
黒い触手のような物を生やし、
それを村人の方へ伸ばした。
だが……。
「ふんッ!」
それをタウラスが自分の力で防いだ。
彼は腕には硬い鱗のようなものが
並んでおり、それで触手から村人を
守ったのだ。あれがタウラスの
魔術かな……?
「さぁ、必死に抗って私を
楽しませてよ……ゴーレムの
お兄ちゃん達!」
自分の曲がった思想の為に戦う
ゴーレム使いの謎の少女、シャナ。
俺達に彼女を止められるのだろうか
……!?いや、止めてみせる!この
村は、俺達が守らなきゃ……!
この度はこの作品を読んでいただき
ありがとうございました!この
作品の登場人物、ベル・イスナーニ
とドラコ・アインズ。彼らの名前
は元はアンナ・イスナーニと、
クルド・アインズでした。彼らの
リーダー格であるタウラスの名前
と合わせて、名前の頭を取ったら
僕の好きなロボットの名前
ができるというネタがあったの
ですが、余計なパロディネタを
削る為に名前を変えました。
複数のキャラクターの名前の
頭文字を並べるとひとつの言葉
になるというのをスー〇ー戦〇
で見てそれに憧れてこういう
ネタを入れた……という訳です。
ベルは星座のほ座、ドラコは
りゅう座が元ネタです。これから
もよろしくお願いします!