10話「戦う兵器」
俺とマリーネの前に突然現れた
謎のゴーレム、それは俺達を
敵と判断し、攻撃を仕掛けて
きた。
「oz:r MyIg」
敵ゴーレムはフレイムバレット
を俺に撃ち、俺はそれを横に
避けた。しかし、敵はこちら
が避ける事を待っていたかの
ように次の攻撃を仕掛けてくる。
「ッ……!」
「cw_!」
敵は俺の胸に掌を当てた。
まさか、核を狙って……!
「させるか!」
俺は敵の手を払い除け、至近距離
で魔術を使った。
「フレイムバレット!」
敵は俺が撃ったフレイムバレット
を食らってよろけた。その時
「アクアバレット!」
マリーネが敵の隙をついてアクア
バレットを放った。水の弾は
敵ゴーレムの右腕に直撃し、
敵は一瞬右腕に目を向けた。
今だ!
「はぁっ!!」
俺は軽く飛び上がり、右足
のホイールゴローダーに付け
られたバーニアを吹かして勢い
よく敵の顔に蹴りをお見舞い
した。
「……!」
勢いのある蹴りを受けて後退
する敵ゴーレム。このまま
押し切る!そう思いもう1発
敵の体にバーニアを吹かした
蹴りを打ち込んだ。
「まだまだ!」
「:'-!」
敵は俺の蹴りによって吹っ飛び、
吹き飛んだ体は木にぶつかり、
その場に倒れ伏した。
「トドメだ……フレイムバレット!」
敵は弱っているはず……チャンス
は今しかない!そう思い、
フレイムバレットを撃とうとした
俺だったが……
「…………出ない……?」
俺がフレイムバレット、と
叫んでも、それは出なかったの
だった。
「魔力切れ!?」
マリーネは俺を見てそう言った。
魔力切れ……?まぁ、魔力が無限
にあったら魔術使い放題だから、
そんな訳無いか……。
「m@G!」
その時、体勢を立て直した敵
ゴーレムがマリーネの元に急
接近してきた……!
「ッ!?アイス___」
マリーネは急に敵が接近してきた
ので、焦って魔術を使おうとした
けど、敵は彼女から魔杖を奪い、
それを遠くへ投げ飛ばした。
「杖が!!……っ!!」
そして敵は左手でマリーネの首を
掴み、ゆっくりと彼女の体を持ち
上げた。
「あ……っ……!」
首を締められて苦しむマリーネ。
俺に何かできる事は無いのか!?
このままじゃマリーネが……!!
「マリーネ……!」
俺はその時、投げ捨てられた彼女の
杖を見た。そしてその杖のある所
まで走り、その杖を拾った。
「このっ!」
俺は敵ゴーレムの元まで近づき、
敵の頭を杖で勢いよく殴りつけた。
「離せ!離せよ!」
何度も敵の頭を殴りつけると、
敵の頭には先程の俺の蹴りの
ダメージが蓄積していたのか、
敵の頭は砕けた。しかし、敵は
首を無くしても、動きを止めず、
マリーネを離してはくれなかった。
「くそ……」
「リョー……タロー……君!」
その時、マリーネは力を振り絞って
声を出した。
「魔術を……使って……。」
魔術を使って……だって?
「でも、俺は魔力が……」
「いいから早く……!」
……彼女がそう言うなら……
今はなりふり構ってられない!
「いくよ……フレイムバレット!」
俺は左手で杖を持って、右手の
フレイムナックルで魔術を、
フレイムバレットを使った。
すると、俺は魔力切れしてるはず
なのに、右手からフレイム
バレットが飛び出し、敵ゴーレム
の背中に直撃した。
「……あっ……!」
その衝撃で敵は左手からマリーネ
を離し、彼女は地面に落とされた。
「大丈夫マリーネ!?」
「敵は……まだ生きてるわ……!」
彼女の言う通り、敵は動きを
止めなかった。俺の方を見て、
ジリジリと距離を詰めてくる。
「リョータロー君!貴方が今
手に持ってる杖はね、持つ者に
少しだけ魔力を供給する、増魔石
が付いているの!だから少しだけ
なら、魔術を使えるわ!」
増魔石……!?確かに彼女の言う
通り、杖の先端には緑色の石が
はめられている。それがあれば
魔術を使えるの?……とにかく、
やってみるしかない!
「喰らえ!フレイムランス!」
俺は目の前の敵ゴーレムの核を
一撃で潰せる、高火力の魔術を
使うべきだと考え、俺が使える
魔術の中で最も火力が高いで
あろうフレイムランスを放った。
「……!」
炎の槍は敵ゴーレムの胸を貫通し、
それと同時に敵は動きを止めた。
「やったわね、リョータロー君!」
マリーネは倒れていた所から立ち
上がり、俺の元へ駆け寄ってきた。
……未熟な俺からすれば、今回の
戦いはかなりギリギリだった……。
「ふぅ……マリーネ、大丈夫?」
マリーネは先程の戦いで敵ゴーレム
に首を絞められていたので、それは
大丈夫だったのかと聞く俺に、彼女
は
「何ってことないわ!」
と答えた。
「これでさっきのスライムは
一安心できるね。」
もともとこの戦いは穏やかな
モンスター、スライムを守るため
の戦いでもあった。その戦いは
想像してたよりも、苦戦を強い
られる戦いだったと思う。
その時……。
「マリーネ!あれ……!」
「嘘……!」
俺とマリーネが見たのは動かなく
なった敵ゴーレムだったのだけど、
それは、足の先端からボロボロと
かなり速いスピードで崩れていき、
最後には跡形も残らない程に
粉々になった。
「このゴーレムは結局誰のゴーレム
だったのかしら……。」
敵ゴーレムの死にゆく姿を見て
そう呟くマリーネ。
「お兄ちゃん達、このゴーレムを
倒すなんてすご~い!」
その時、俺の背後から声が聞こえた。
とても幼い女の子のような声だった。
「貴方は……?」
俺は咄嗟に振り向いた。マリーネが
その子に対して何者かと質問した
のだけど……。
「このゴーレムの力、結構強めに
調整したはずなんだけどな~。」
「……!?」
なんと彼女は瞬間移動のような力
を使い、マリーネの背後に移動して
いたのだ。
「私はゴーレム使いのシャナ!
貴方達と出会ったのは偶然だけど、
貴方達の事、色々と知りたかった
から、戦いを挑んだの!いきなり
でごめんね!」
と、彼女は悪びれる様子もなく
シャナという名を名乗った。
「貴方の目的は何!?」
焦ったのか、マリーネは怒鳴る
ような声でシャナに目的を問い
ただした。
「そう怒らないでよ~!私はただ
このゴーレムの性能を試したくて
……1つの村を半壊に追い込んだだけ
だよ。」
「……なんですって!?」
……村を……!?シャナの言葉を聞いて
驚く俺とマリーネ。彼女の目的は
一体何なのだろうか……!?
この世界に、真っ黒な影が刺そうと
していた…………。
おまけ
Go!Go!ゴーレム!
ゴブリンの長、ボスゴブリンと
決闘を開始した良太郎。彼の前世
での知識が、この戦いで役に立つ
とは、彼自身も思いはしなかった。
良太郎「はっ!とう!」
ボス「グッ!」
良太郎は幼い頃から特撮ヒーローの
真似事で、殺陣を練習していた。
彼はその経験から、機敏な動きで
ボスゴブリンを圧倒した。さらに
彼の今の体はゴーレム。重い一撃
をボスに叩き込む良太郎。
良「喰らえ!!」
ボス「グゥゥッ!!」
良太郎は渾身の蹴りをボスゴブリン
に与えた。しかしボスはかなり
粘った。ゴブリンの長として負ける
訳にはいかないからだ。
良「はぁーっ!!」
良太郎も負けじと右手による
ストレートパンチをボスの顔に
喰らわせた。それを受け、フラフラ
とよろけるボスゴブリン。しかし、
決着の時は訪れた。
ボス「………………。」
ボスは良太郎の一撃を受けた結果、
気絶し、力尽きた。これで良太郎
の勝ちが確定したのだった。
ゴブリン「シ……ショウシャ……
ゴーレム!」
レフェリーゴブリンのその一言
によって、良太郎はこの戦いに
勝利した。
メスゴブリン「アァ~!ボスガ~!」
ゴブリン「ボス……ダイケントウ
デシタ!」
ボスの元に駆け寄り、彼を介抱
するゴブリン達。ボスの戦いを
称えるゴブリン達もいた。それを見た
良太郎はこう思った。
良(このボスゴブリンはこんなに
沢山の仲間に慕われているんだな
……これなら、盗みをしなくても
頑張ってなんとかやっていける筈
だけど。)
ゴブリン「ヤクソクドオリ、
ワレワレ八 コノヤマカラ
デテイキマス。ヌスンダモノモ
カエシマス。」
そう言ってゴブリン達は良太郎と
マリーネに、人から盗んだ金目の
物を返し、山を去っていった。
良太郎とマリーネによる、ゴブリン
退場クエスト、これにて終了。
この度はこの作品を読んでいただき
ありがとうございました!この作品
の作品のタイトルは「異世界起動
兵器ゴーレム」ですが、この
タイトルの「起動」の漢字は元々
「機動」にしようと考えてました。
しかし、ゴーレムは機械ではなく、
そして異世界で良太郎が「起動する」
という意味も込めて「起動」という
漢字にしました。これからもよろしく
お願いします!