表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

69/90

清盛切られる!?


 仁安3年(1168年)3月 京・六波羅・平清盛邸


 深夜


 「うふふ、清盛様、白拍子ばかりにうつつをぬかしているのが悪いんだよ。」


 わずかにさす月明かりに時子の姿が照らし出される。冷たく凍った視線の先は、静かに寝息をたてる清盛の顔。

 その手に持つ鋭利な刃物がギラリと光る。



 「ぎゃあああああああ!」


 邸宅内に響き渡る絶叫。

 その声の主が、この邸宅の主でもあることに気付いた者たちは飛び起き、清盛の寝所へと駆けつける。


 「あはははっ、はははは」


 そこで目にしたのは清盛の無惨な姿と狂ったような時子の笑い声。




 六波羅・小松邸


 「父上が切られた!?」


 突然の凶報に取るものも取りあえず清盛パパの邸宅に向かう。

 どうした、何があった。まさか歴史が変わった!?

 昨日、帰り際に時子に白拍子のことを告げ口したのがまずかったのか。


 駆け込んだ先で目にしたのは仏となった清盛パパ。


 「・・・何やってるんですか、父上。」


 清盛パパの頭がきれいに剃られていた。


 事件の真相はこうだ。

 昨日、僕から白拍子のことを告げ口された時子は静かに逆上。その怒りは夜になっても収まらず、気付くと刃物を手にしていたとか。

 寝入っている清盛パパの髪をばっさりと切り落とした。

 驚き慌てる清盛パパの姿があまりにもおかしくて、時子は狂ったように笑い転げた。


 「出家する。もうそれしかない。」


 事実をそのまま世間に知られてしまったら清盛パパの、いや、平氏の面目は丸つぶれだ。清盛パパは悲壮な覚悟をみせた。


 「しかし、それだけで誤魔化せますか。頭、ところどころ血がにじんでますよ。きっと切り方が下手だったんでしょうね。」


 対する僕は冷ややかだ。清盛パパの自業自得だと思っている。


 「しばらく福原に引きこもる。あとは任せた。平氏譜代の家人たちも重盛が面倒みてやってくれ」


 「ちょ、いきなり何を。」


 止めるのも聞かず、清盛パパはさっさと仕度して、逃げるように福原へと旅立った。

 ちなみに犯人の時子は、お付きの女房たちにこってりと絞られて、その後、責任をとって清盛パパと同じように出家させられた。



 「では、対外的には、今回の病気のことで父上は出家した。母上もそれにあわせて出家した、ということで。父上は隠居。以後は福原に移られたということにします。」


 宗盛がテキパキと口裏合わせを進めてくれて、外向きの発表準備をしてくれた。

 優秀な弟がいると楽でいいねえ。お兄ちゃんは嬉しいぞ。


 「兄者あ、こっちの弟のことも面倒みてくれよ。」


 肩に手を置かれて振り向くと、暗い表情の知盛がいた。

 どうやら今回の件で、僕が在京を決意し、東国に行けないのではないかと思っているらしい。


 「オレさあ、武蔵守8年もやってるんだぜ。なのに1度も武蔵に行けないってどうよ。兄者や基盛兄者みたいに軍勢を率いてみてえんだよ。」


 ニンマリとする僕。いいよ、いいよ。その願い叶えてあげよう。

 軍団長の話をすると、知盛は喜び勇んで東国へ向かう仕度をしに行った。


 「兄上。」


 1人の弟を送り出したと思ったら、後ろからもう1人の弟が肩に手をおいてくる。


 「ん、どうした宗盛。」


 機嫌良く応じる僕に宗盛が笑いかける。あれ? 笑ってるけど怒ってる?


 「兄上が母上に告げ口したと聞いたのですが、どうなんです?」


 どうやら僕の危機ピンチはこれからのようです。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ