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浮かれる2人


 保元3年(1158年)8月


 こんにちは!幸せいっぱいの平重盛です。


 結婚しました!

 前世を含めて、初めての結婚です。


 お相手はもちろん一目惚れの君、坊門殿だ。

 住まいはここ、小松邸(新築中)。通い婚なんてしない!


 「坊門殿と一緒に住む愛の巣なのだーー!」


 「お、大声で叫ばないでくださいましっ。」


 げふっ! お、思い切りはたかれた。力持ちさんだね、坊門殿。

 いいんだ。僕は浮かれまくっている。多少のことは気にしない。

 そして浮かれているのは僕だけじゃない。


 「自由だー。ボクは自由を勝ち取ったぞー。我が世の春が来たー。」


 こちらは後白河天皇改め、後白河上皇。

 そう、遂に念願だった譲位を果たされた。


 「いやー長かった。天皇って苦行だよね。毎日、何かしらの行事があってさあ、宮中から出られる日なんて、年に1回あるかないかくらいだったんだよ。やってらんないっての。」


 顔は晴れ晴れとしているが、お肌は若干荒れ気味だ。少しお太りになったかもしれない。それだけ苦労も多かったのだろう。


 「では、院政はなさらないのですか?」


 院政と聞いて後白河上皇は、心底嫌そうな顔をした。


 「あー、ないない。まったくもって興味ないよ。信西も新帝の二条天皇のほうに行っているしさ。もうお役御免だよ。」


 ほんとにもう、どうでもいいらしい。


 「それよりもさ、何かすごいよね。この邸宅。」


 後白河上皇はあたりをキョロキョロ見渡しながら言った。

 そう、この邸宅はただの邸宅ではない。目立ちすぎない程度に防御力を高めた邸宅なのだ。

 まず、邸宅の周りは垣根なんかじゃなくて、塀で囲い、さらに堀をめぐらしている。ちょっと上れば中が見えるなんていう低い塀なんかじゃない。よじ登るのは至難の業というくらい高い塀で、登れたとしてもそこには太い針が待っている。

 気付かずに登ったら、上部に手をかけた瞬間にグサリと針が刺さることだろう。

 そして中からは矢が放ちやすいように塀に段を設けている。


 本当は矢狭間やさまも作りたかったけど、目立つので止めておいた。目立つということは模倣しようとする者がでてくるかもしれないということだ。それは避けたい。

 他にもいくつか工夫は凝らしている。Missonで得たチート知識のおかげだ。

 ただ、変な邸宅にしたので工事の進み具合は良くない。仕方のないことではあるけれど、お抱え大工衆を作ったほうが良さそうだ。

 もう少し、僕が自由にできる資金が増えたら考えよう。


 それに兵の問題もある。保元の乱の戦い方を見る限り、戦いの考え方から変えていかないと僕の思っている戦い方ができない。こちらも一朝一夕にはいかないから、時間をかけて子飼いの兵を育てていくしかない。

 既に小松第に邸宅を構えたことで、小規模ながら僕の家人衆ができあがっている。武士だけじゃなく、特殊な技能を持った人たちも少数いて、徐々に規模を大きくしていけたらと思っている。


 「雅君も危険な目に遭いそうになったら、法住寺にいるんじゃなくて、ここに逃げ込んでくださいね。」


 法住寺はやたらと広いが防御力は皆無といっていい。広すぎて賊が侵入しても気がつかない可能性もある。院の近臣もそのあたりを心配し、最初は三条殿を院の御所にするつもりだったけど、後白河上皇が譲らず、法住寺に決定したらしい。


 いっそのこと、法住寺まで抜け穴でも掘ろうか。いや、それにも技術が必要だな。科学の進歩はほんと積み重ねだね。一足飛びにはいかないな。




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