現状を整理してみた
我が父、平清盛。
伊勢平氏の出で、武士の身でありながら太政大臣にまで上り詰める英雄だ。
全盛期の平氏の知行は32カ国と日本の半分に達した。しかし平氏の息の掛かった国守が赴任した国では在地豪族が退けられたため、これを恨んでいる者は一人や二人ではないはず。
平家でない者は人ではないといわれるほどで、平家の権勢は源氏、寺社、公家衆、豪族と、ほぼオールジャパンで嫌われていたはずだ。
ただ、今はまだ平氏の棟梁は祖父の忠盛で、父の清盛も肥後守にすぎない。
そして僕は清盛の嫡男の重盛だ。
平氏の隆盛にあわせて順調に官位をすすめていくけど、父の清盛よりも先に病で死んでしまったはず。
確か40代だったと思うけど、そこまで歴史に詳しくないので詳細は不明だ。
「だあ(そしてまったく分からないのが)」
そう言って赤子である自分の体のまわりを見ると、
「「「くーん」」」
重盛より一回り小さいくらいの真っ白な子狼が3匹、重盛にじゃれつきながら遊んでいる。
「ばふ(どう見ても普通の狼じゃないよなあ)」
なにせ時折、宙に浮くのだ。尋常ではない。
「ばふー(まあ、源義朝とか、藤原頼長とか、崇徳上皇とかじゃないから何とかなるか・・・。病死は嫌だから、そこは何とかしたいけど)」
色々と思案しつつも、根は楽観的な重盛であった。