第2話 ー生徒兼弁護士ー
「お願いします!信じてください!僕はやっていないんです!!」
なんなんだよ。急に…。
ー30分前ー
コンコン。
「すいませーん。」
「あら?誰かいらしたみたいですよ?」
「依頼ですかね?」
「あのー。ここって、弁護部っていうんスよね?」
「ええ。ここはこの平宮一高校の生徒を弁護する部活。『弁護部』よ。弁護の依頼かしら?」
「いえ、ちょっと見学的な感じで…。あの。この弁護部って、部活一覧表に載ってないですよね?どういうことなんですか?」
「そうか…。」
ん?
「部長。一応説明したほうがいいと思いますよ。」
「そうだな。少し長くなるけどいいかな?」
今の話で分かったことは、紺色の長髪の女性が3年で部長の海咲 魅月先輩。桃色の短髪の女性が2年の木村 舞姫先輩。黄色のセミロングの女性が俺らと同じ1年の倉谷 知奈という3人の女子部員がいること。そして、この部活の内容は被害者の主張を優先して問題にあたるものだということ。いわゆる弁護。この部活が一覧表に載っていなかったのは、2年前海咲先輩が1年生の頃、その時弁護した生徒が犯罪行為に加担していたため部活として認められていないからだという。
「なるほど、そんなことが…。」
「ところで、この部活って今見学とか出来るんスか?」
まじかこいつ。今そういう空気じゃねーだろ!
「依頼があればできるが、今はないからな。」
「じゃあ、入部は出来るんスか?女子しかいないから男子はいいのかなって。」
「え?あぁ、別に入れないことはないが……。」
「なんか不都合でもあるんスか?」
「不都合というか……。この部活に入っている人は2年前の件以降、白い目で見られてしまうので1年生のあなた達は高校生活が台無しになってしまうかもしれません。」
「でもなんで、倉谷さんはこの部活に入っているんですか?」
「彼女は、どうしてもこの部活に入りたいというからそれならばと。それで?君たちはどうする?」
「少し考えさせて下さい。」
「わかった。決まったら言ってくれ。」
「志郎。どうする?」
「どうするもなにも、俺はお前と同じ部活に入ることになってんのかよ…。」
「えー、いいだろー!俺はこの部活いいなと思ったけどな。楽しそうだし!」
飯島は考えていないと思うが、この部活案外危険を伴うかもしれない。2年前の件がそれを物語っている。部員も3人しかいないし。でも、中学3年生のあの時、俺は結局なにもできなかった。またああなるんだったら……
「まぁ、特殊な部活だけど入ってみるのも悪くないかもな。」
「よっしゃ!じゃあ、入るってことで決まりだな!」
「おう。」
「決まったかい?」
「はい!俺たち入ります!」
「本当にいいんだね?」
「はい。」
「そうか!なら歓迎するよ!ようこそ!弁護部へ!」
志郎と冬斗が弁護部員から歓待を受けていると……。コンコン。
「あら?また誰かいらしたみたいです。」
「はい、どうぞ。」
「お願いします!信じてください!僕はやっていないんです!!」
なんなんだよ。急に…。