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第1話 ーFrom Hiramiyaichi high schoolー

例年よりも早い開花を見せた桜は、俺の入学式を迎えることなく散っていった。今年から高校生になる俺は、不安と期待という相反する感情を抱きながら、新たな学校へと向かうのであった。



今日の内容は、クラスが発表され、教科書の配布や自己紹介をするというものである。



「はい!それでは、この1年2組の担任を担当させていただきます!高田たかだ 結衣ゆいと申します!では、出席番号順に自己紹介お願いします!」



「はい。えー、俺の名前は相宮 志郎です。とりあえず1年間よろしくお願いします。」


…と、俺はかるい自己紹介をし、席に着いた。今のでお分りいただけたと思うが、俺は相宮あいみや 志郎しろう。今日から、この平宮一ひらみやいち高校に通うことになった高校1年生である。この高校は、県内でもトップ20に入るほどの学力を持つ高校で、受験にはかなり苦労した。だから、この学校で同じ趣味の友達とか彼女とかつくって青春を…


「うぃーす、俺、飯島いいじま 冬斗ふゆとって言います!おちゃらけてますけど、結構頼れちゃう男なんで、よろしくお願いしまーす!」


うわー。でたよ…。髪の毛は金色でクセがあり、背丈は170cmくらいで俺より少し小さい。しかも、結構イケメン。まぁ、こんなチャラチャラした奴とは関わることはないだろうけどな。なのに……。


「なー、志郎って言うんだろ?よろしくなー!いや〜、自己紹介スゲー緊張したよなー?」


なん…だ……こいつ、馴れ馴れしすぎる。関わることはなかったんじゃないのかよ!俺! くそっ!面倒くさいし、流すか…


「たしかに緊張したな。あ、メールきてるわー。」


「あー、そうなん?んでさー、志郎は部活とか入んの?」


逃してくれねー!


「まだ、決めてねーよ。多分、入らないけどな。」


「まじでー?んじゃさー、試しに一緒に部活の体験行かねー?」


いや、察せよ!明らかに断ってんのに!でも、部活には俺も少し興味があるし、体験だけ付き合って、離れよう。


「まぁ、俺も部活には興味あるから、体験だけなら行くよ。」


「よっしゃ!じゃあ、今日の放課後な!」


飯島はガッツポーズをしながら喜び、俺の元を去っていった。そして、放課後…


「よし、オリエンテーションとか色々あったけど、全部終わったな!」


「ああ。そうだな。」


「んじゃ、部活の体験行こーぜ!」


「わかったよ。」


「運動部と文化部どっちに入んの?」


「俺はそもそも入らないと思う。」


「入るとしたら?」


「文化部かな。」


実は、俺は中学生時代陸上部に所属していた。足はそれなりに速く、市大会で3位、4位くらいの実力だった。それなのになぜ文化部なのかと言うと、中学3年生の夏頃、急に大会の選手になれなくなったのだ。引退してからわかったことなのだが、他の選手が、顧問の先生に俺が悪いことをしたという嘘の情報を伝え、俺を潰していたらしい。だから、俺は運動部ではなく文化部に所属しようと思っている。


「文化部ねー。美術部とか、軽音部とか色々あるよな!」


「絵は下手だし、楽器も弾けないからどっちも無理だな。」


「そっかー。まぁ、テキトーにブラついてみるかー。」


「そうだな。」


新校舎にある部活は特にいいのがなかったので、旧校舎にも部活があると聞き、訪れていた。


「へー。旧校舎って言うくらいだからもっとボロくてなんにもないとこかと思ってたわ。」


「たしかに。漫画研究部とか文芸部とか意外とメジャーな部活もあるんだな。」


あっ。そういえば……。


「なぁ、飯島。」


「冬斗でいいよ!同じクラスだしな!」


「わかった。冬斗はどうやってこの学校に入ったんだ?一般受験?」


「いや。俺は推薦でこの学校に入った側の人間だよ。推薦って言ってもスポーツだけどなー。」


「どんなスポーツ?」


「サッカーだよ。」


「だったら、サッカー部に入るべきなんじゃないのか?」


「たしかにそうかもな……。あっ、いや、中学は運動部だったから、高校は文化部に挑戦してみようと思ってな!」


「そうか。」


まぁ、よくあることだ。だが、冬斗のあの表情は……。過去に何かあったのかもしれないが、他人の過去にいちいち関わる必要はない。そんなことを思っていると、すでに5階まできていた。


「この階で最後だなー。」


「ああ。」


特に興味のある部活もなかったし、これでやっとこいつから離れられる。そう思っていた。しかし!


「ん?なぁ、志郎。こんな部活あったか?」


「なんだ?『弁護部』?なんだこの部活。」


志郎と冬斗の前には、『弁護部』と書かれた教室がこの旧校舎の最上階に佇んでいるのであった。

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