組長との壁をボーン!
「「いただきます」」かぶった。
「・・・かぶるとかずっ友やなw」
「そうですね!」
僕はサンドイッチを包んでいるビニールの袋を取ってサンドイッチにかぶりついた。
・・・やっぱり昨日、車の中で食べたサンドイッチと同じ味だった。
「そういえば佐々木君、うちに敬語使わなくていいからな」
「はい」
「ほら、このチームでうちに敬語って五月くらいやし、もう敬語キャラはいらへんねんて」
ガーンッ!!
「そうですか・・・・」
「ははは!そんなへこむ!?」
「いや別にそうゆうわけじゃ」
「いやぁうち、どっちでもいいねんけど敬語って距離感じるから苦手なんよ」
「あぁ・・・ならやめます。」
「やったら試しに馴れ馴れしくからんできてみて」
「えぇ?!」ど、どうしよ?
「はよはよ」
「このサンドイッチおいしいよなー」どうだ?!
「プププッ!佐々木君コミュ障入ってる?」
ガーンッ!!
「はい・・・」
「ごめんごめん、そんなへこまんといて!?今日はメンタル弱い日?」
「そうゆうわけじゃないけど」
「お、そうそう、そうゆう感じにな!」
「はい」
「それとチームのみんなにもそんな感じで敬語じゃなくてオッケーやし!」
「わかりました。」
「あ!!気抜くとすぐ敬語しゃべる!次敬語しゃべったらセクハラ、一回な?」
「えぇ?!」
「・・・・・」
「・・・・・」
僕たちは一旦落ち着いてサンドイッチをモグモグする。
「なぁ佐々木君・・・」
「なんでしょう?」
「なんかこう話してると戦ってる時とのギャップでキュンキュンしそう。」
「!?」
「まぁそれは置いといて・・・」
置いておくんだ!?
「佐々木君のこともっとしりたいんよ」
「それってどうゆう」
「まぁ知られたくないんやったら、そこには踏み込まへんけど最低限、明確にしたい部分がある。」
「はい」僕は少し身構えた。
「うちのこと好き?」
「す!?」
「冗談、冗談!!佐々木君さ昨日の夜は固有武器をだしたことないって言って結局出さんかったやん?
なのに今日は息を吸うように簡単に出した。」
「・・・」
「一応言っておくけど、うちみたいに初めからすんなり出せるやつはいるけど、動きながら初めて固有武器を出せるやつは、まずおらん。・・・聞きたいことわかった?」
僕は時間稼ぎのためにサンドイッチにかぶりついた。
「はは!時間稼ぎかいな?佐々木君おもろすぎやろ!」
・・・ばかにされている、だが不思議と悪い気はしない。
それにしてもどうしよう?光津子先生にプロジェクトのことは誰にも話さないようにしろと言われたので言えない、しかしそれでは組長に説明がつかない・・・つまり詰みだ。
時間的にもそろそろ限界だし吐いてしまうか?
「・・・・あの、このことは誰にも言ってほしくないんですけど。」
「・・・うん」
「とあるプロジェクトがありまして、それでなんというか、そのプロジェクトがあんまり公にはできないものらしく・・・」
「うーん、コミュ障ぎみの佐々木君にはこう聞いたほうがよかったかなぁ~」
「?」
「なんか酷いことされてへん?」
組長は心配そうな顔で僕の目を直視しながら聞いてくる。
「・・・はい、最初は僕に得がありますし、このプロジェクトのおかげで僕はこのチームに入ることができました。」
「ほうほう」
「たしかに、うますぎる話しですが今が幸せならそれでいいかな?と思います。」
「そうか、なんかあったら相談するんやで?しいひんかったらわかてるな?」
組長はもともと細い目をさらに細めて僕に警告してきた。
「はい、ありがとうございます。」
「・・・とここまではいいんやけど、ここを明確にしておきたいんや。」
「?」
「佐々木君の記憶消されてる?」
「・・・そうですけど」
「なんやそれ、佐々木君はそれでいいの?大切な記憶とか消されてるかもしれへんのに?」
組長は静かに怒っている。そして心配している。
僕はその心配をされていいような人じゃない。だから「いいんです。」
「えぇ?」
「組長に嫌われるのが怖くてそして嫌で黙ってたんですけど僕、相当重い罪を犯してしまったんです。」
「・・・」
「そんな僕にいい思い出なんてあるわけがないんです。そんな記憶なんて価値がないんです、それと引き換えに表の世界で生きれるように更生させてくれるのは本当にありがたい話なんです。だから大丈夫です。」
「わかった。・・・でもな佐々木君、確かに君は犯罪を犯したんかもしれへん、人を殺めたかもしれへん」
その言葉を聞いた瞬間息が苦しくなる。
「だからってなそんなうつむかんくってええよ」
「・・・だからって普通に生きたらまた犯罪を犯しそうで。」
「それなら心配ない犯罪を犯しそうになったら、うちが力ずくでとめたるからな!」
!!・・・僕はひどい奴だ。重い罪を犯して、それと向き合わずうやむやにして、それで救われるのだから。
「やから、うちの前だけでもいいからもっと堂々と話してくれへん?・・・いや話せ!」
「・・・ありがとうございます。」
「ちがう、ありがとうだけでいいねん。」
「・・・ありがとう」
「どういたしまして~」
それから僕たちはサンドイッチを食べることに集中した。
組長は僕がサンドイッチを食べえたころにはとっくに牛乳を飲み切った後だったのに何というか何かをまっている。僕はそれが何なのかがわかり急いで牛乳を飲みほした。
「「ごちそうさまでした。」」
「また被った、うちらずっ友やな?」
「そうですね!」
「おぉ、これでなんかスッキリしたわ。なんか変な壁がなくなった感じ、ええな~」
「そうですね、なんか気が楽になりました。」
「そうそう佐々木君ってやっぱり現代の常識とかしらんの?」
「はい」
「ならうちと一緒に勉強せえへん?」
「いいんですか?」
「うん、ほら一人じゃ分からんところもあるやろ?やから一緒に勉強しよーや!」
「はい!」
「あ、でも今日は勘弁な?」
ガーンッ「あ、はい」