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第一章 レイナ=ドルティーネ

太陽はちょうど真上にある。

私は家の前で空に向かって両手を組んで背伸びをした。お日さまの光が気持ちいい。

こんないい天気だから出かけたいけど、そろそろ頃合いだから家に戻ろう。

そういえば、朝から金属を叩くような音が続いてる。地下室だ。

「…まだやってるのかな?」

私は気になって、入口の横にある階段をゆっくり降りていった。

階段から大好きな背中が見える。私に気づかずに無心に金槌で金属を叩いてる。

部屋は見渡せる位の狭さ。小さな窯と数少ない道具と装飾品。私が毎日見てる物ばかりだった。

私はその背中に向かって声をかけた。

「お父さーん!そろそろ休憩にしたら?」

「………………」

あれ?聞こえてなかったのかな?

作業をしている時は、大きな声で話しかけろと言われたのに、気付いていない。

私は真後ろに立って、声を張った。

「お父さん!!!」

「ぅおおおおっっ!?」

やっと、気づいた。

父さんは手を止めて、慌てて振り返った。

白い手拭いを頭に巻いて、簡単な作業衣、汚れだらけの軍手と顔中のすす汚れ…私は父さんのこの顔が一番好きだったりする。

私は、わざと膨れっ面をして両手を前に組んだ。

「昼過ぎなんだから、少しは休憩したどうかなーって思って来たのに!」

私の膨れっ面を見た父さんが、豪快に笑って私の頭を撫でた。

「すまんな、レイナ。そうだな、取り敢えず一休みするか……。そういえば、ティムはどこかに出かけたのか?」

年頃の娘の髪を、作業したままの軍手越しで撫でるかな、普通。

そんな考えも気づかずに、父さんは椅子から立ち上がって、力一杯背伸びをした。

私は階段を昇りながら答えた。

「ティムは狩りに行ってるよ」

「お前らは元気だな!」

父さんも私の後について、階段を昇ってきた。

私はティムを探しに、自分の部屋で着替えようとした。今着ているスカートとワンピースみたいな服は、ティムとお揃いで毎日のように着ている。形が違うのも色違いも持っていた。引き出しから全身真っ黒の上下服を取り出すと、素早く着替えた。

この服は、街に降りる時や剣や魔法の練習をする時によく着ている。少しだけ魔法による攻撃を和らげたりするから、結構着てるんだよね。

私は、ふと思い出したように声を張り上げた。隣の居間に居る父さんに聞こえるように、居間に顔を向けた。

「父さーん!テーブルの上に干し葡萄のパンがあるからー」

「レヒナが作っふぁのふぁろ?」

…は?

気になって部屋の扉を開けると、居間にある椅子に座りながら、その干し葡萄のパンを頬張っていた。

父さんは何度か咀嚼してから、改めて答えてくれた。

「レイナが作ったんだろ?」

「うん。あ、ちょっとティムを探してくるね。後、井戸に葡萄酒があるからっ」

「はいはい…行ってこい」

父さんは会話も疎かに、テーブルの上にある楕円形の籠から、パンを取っていた。

お腹が空いてたんだな。

見逃す事にして、私は家を出た。


私が住む村は山と森に囲まれていて、近くに大きな街があるものの争いに巻き込まれる事は無かった。

山の中腹には鉱山があって、そこを目指して緩やかな坂を登る。十四年も住んでいるから、鳥の囀る声や木々の種類でどこを歩いてるか、すぐぐ分かる。

のんびりと歩いていると、草むらをかき分けて猪に似た獣が私に目がけて突進してきた。

まずい!!

気を抜いていたからか、このままじゃ避けきれない。しかし、私の後ろから数本の矢が通り過ぎ、矢は獣の前足に命中した。

獣は声を上げてそのまま森の奥へ逃げ出していった。

「危なかった…」

私は胸を撫で下ろして、後ろを振り返る。そこには、私とそっくりな妹が弓を下ろして私の前に駆け寄ってきた。

「姉さん!…大丈夫だった?」

「うん、ありがとう。随分と腕を上げたんだね」

妹のティムは、狩りにはあまりふさわしくない短いズボンとブーツで軽やかに動いていた。草や土の汚れはあるのに、露出している肌に傷は一つも見当たらない。

「あたしは姉さんて違って、魔法も苦手だし、錬金術も覚えたてだから……。あ!でも、狩りに必要な魔法はほとんど使えるよ。…ところで、姉さんは何しに来たの?」

ティムは自分の話をするだけして、私の顔を見た。

「昼過ぎだから、お腹空いてないかなって思って探しに来たの」

「もう、お腹ペコペコ!早く帰ろう!」

ティムは右手でお腹を触ると、その手で私の左手を握って歩き出した。こういう妹の小さな仕種が、私は好きかもしれない。


私達が家に着いて扉を開けると、丁度、父さんが階段を降りようとしていた。

「お!おかえり」

父さんは足を止めて、私達の前まで来た。私達は合わせていないのに、声が重なった。

『ただいま』

「パン…上手かったぞ」

そう言うと、また私の頭を撫でた。今度は軍手をつけていなかった。

私が家を出てから、大体三十分。もう、地下に行っちゃうのかな。

「父さん、もう仕事に戻るの?私も錬金術は覚えてるし、代わりにやろうか?」

普段から、一つ何かを始めるとそれだけに集中しちゃう父さんの性格は知ってるから、出来るなら手伝おうとした。けど、父さんは首を横に振って、階段を降りていった。

「いいや、これは大事な仕事だ。俺がやる」

仕事なら私はやれないな。

私は、すでに座ってパンを頬張るティムの向かい側の椅子に座ると、同じ様にテーブルの上にある楕円形の籠から、干し葡萄のパンを取って口に入れた。

「姉さん、これ手作りでしょう?すっごく美味しい!」

ティムは満面の笑みで、私に話しかけた。余程、お腹が空いてたのかな、口の回りに食べかすがついてる。

「うん。今年は小麦と葡萄が豊作だったでしょう?だから、作ったの」

「そうだね。でも、去年と違って魚は心配だね」

私の村は家庭や村によって、農作物を育ててるけど、無い物は麓の街へ下りて買わなければならない。

道は複雑じゃないけど、凶暴な魔物や盗賊も居るから、中々簡単な事じゃない。

もっと剣術や魔法を学んで、強くなりたい。

私はティムに聞いた。

「ねえ、ティムはこれからどうしたい?」

「ん?どうする…って?」

ティムは口に入っているパンを飲み込んでから、私に聞き返した。

そこは、父さんと違った。

「私達、もう十四でしょう?そろそろ将来の事も考えなきゃいけないじゃない?…私は、この村を出て…正式な魔道士になりたいって思ってる」

二人だけで将来について話した事が無かったから、ティムも困ってるかもしれない。けど、直ぐにティムも答えてくれた。

「姉さんなら大丈夫じゃない?魔法も剣術も使える…錬金術だって、父さんにも褒められてるじゃない!…あ、あたしは…特にこれだっていうのが無いから、村に残って弓術や錬金術の腕を磨こうと思う。それで…いつか村を出て…あの、い…良い人を見つけようかなあ……って…」

あれ?

ティムは自分の話しをしながら、顔が赤くなってた。しまいには吹き出して笑ってる。

その笑顔を見て、私もつられて笑ってしまった。

その時、地下から父さんの声が聞こえた。

「レイナー!悪いが、鉱山まで行って残りの鉱石を全部持ってきてくれないか?」

「お父さん!あたしが行こうか?」

私より先にティムが椅子から立ち上がって、地下に向かって声を張り上げた。

「ティムはこっちで手伝ってくれ!」

「はーい」

ティムはお手伝いとして指名されたから、結局、私が行く事になった。ティムを見ると、少し残念そうな顔をしてたけど、すぐに笑顔で階段を降りていった。

私は自分の部屋の壁に掛けてあるショルダープレートがついた黒いマントを身につけた。このマントは、前に麓の街に行った時に、魔道具を扱う店で買ったものだった。これから何度、麓に下りるか分からないし、このマントは特殊な生地で作られていて、呪文を唱える事によってマントと異空間が繋がって、魔法を防いだり道具を沢山しまえるようになっている。

このマントをつけると、全身真っ黒になるのが少し嫌だけど、そんな事言ってられないかな。

私が扉を開けると、再び地下から声が聞こえた。

「マントは身につけたかー?目印はつけてあるからなー!」

「分かった!行ってきまーす!」

私は地下にいる二人に声を掛けてから。また家を出た。

井戸を見ると、桶の中にある葡萄酒は無くなっていた。


鉱山は森の囲うようにして、ぽっかりと穴があいていた。

中に入ると、自然に出来た真っ暗な道に、ぼんやりとした白い光が間隔を置いて幾つも光っている。

この山でも採取出来る、光り草だった。

「光り草か…父さんも考えたな」

光り草は土から抜いても、自然に光る珍しい草で魔法を使えない人や、夜道を歩く時などに重宝しているのだった。

足元に生えている光り草を頼りに、奥へ進んでいく。手元を明るくする魔法は使えるけど、父さんはその手間を少しでも省いたのかなって考えた。

光を辿って歩いていくと、更に明るい光が視界に入る。そこには、見渡せるくらいの狭い空間に幾つもの光り草が生えていた。

空間の片隅には、掘り出されたばかりの原石や、既に父さんの手によって加工された石が幾つかあった。横にある麻の袋の中にも同じ様な石が入っている。

「なんだ…意外と少ないじゃない」

私は右手で鉱石を持つと、マントの裏地部分に当てて小さく呟いた。すると鉱石が、マントの中に入って消えていく。特殊に織られたマントの効果だ。

残りも同じようにして片付けていると、突然、地震が起こった。

「まずい!!」

私は咄嗟に上を向いてしまった。

思ったよりも揺れば酷く、その場で屈んでしまう。天井から岩や土砂が落ちて、微かに煙が立ちこめた。

「…煙?」

私は疑問を抱いた。理由は分からないけど、何か不安に襲われた。

暫くすると揺れは止まり、私は急いで村に戻ろうとした。



ー私ノ視界ガ紅ク染マッター



鉱山を出ると回りの木々は燃えて、音を立てて倒れていた。燃えていない木があるという事は、火元は別の場所かもしれない。

落ち着いて。

落ち着かなきゃ。

私は何度か深呼吸を繰り返して、出来る限り冷静になろうとした。

手足は震えている。だけど、父さんやティムが心配だ。

私は、とにかく走った。林を抜けて家に戻ろうと走っていると、道の真ん中に全身血だらけの人が倒れていた。

よく私達の面倒を見てくれた、近所のおばさんだ。

私は立ち止まって、女性の半身を起こした。

「おばさん!!大丈夫!?」

良かった、脈はある。

「ああ、レイナ…ちゃん…?私ね、見た、の…村に来た、男の、人達が…入口で魔法…を、使って…火を放っ……」

おばさんは、苦しそうに懸命に話していたが、顔を歪ませると静かに瞳を閉じた。

脈が…止まった。

「おばさん?おばさん!!」

私はおばさんの身体を何度も揺すったけど、目を開けてくれない。私はおばさんの身体をゆっくり倒した。

涙で視界が潤む。

「父さん!?ティム!?」

二人が心配だ。

私は涙を拭って、家に向かって走った。

燃えさかる林を抜けると、全ての家が燃えて崩れ落ちていた。

ついさっきまで、そこに家があって…小さな畑もあったのに、そこはもう瓦礫の山としか思えなかった。

私は冷静ではいられなかった。

家に戻ると、瓦礫の山があった。井戸があるから、間違い無く私の家だ。

「ん?」

何かが動く。瓦礫の山の下敷きになっている父さんを見つけた。

「父さん!!」

私は急いで回復呪文を唱えながら、父さんの元に駆け寄った。

呪文の詠唱は短く魔法は完成した。淡く光った両手を父さんに向けると、額から血を流していた父さんの傷は治っていった。

「父さん!大丈夫!?待ってて…今、どかすから…!」

父さんは呻き声を漏らして、目を開けた。

早くこれをどかして、ティムを捜さないと。

「いや…もういい…」

いつも弱音を吐かない父さんが、初めて弱音を吐いたように聞こえた。

少し間があって、父さんは私を上から下まで見た。

「レイナ…今まで黙っていたが…。…お前と、ティムは…俺の子じゃない……」

私は耳を疑った。

私とティムは、父さんの子供じゃない?

「え……?」

父さんの上にのしかかる瓦礫をどかさなきゃいけないのに、私は驚いて手を止めてしまった。

言葉が出てこない。

驚く私を苦笑しながら、父さんは話を続けた。

「十四年前、鉱山の近くに…お前らが布に包まっていたのを見つけたんだ…あまりに可愛い双子だったから、俺が育てちまった…」

こんな状況なのに、父さんは昔を思い出したのか少しだけ懐かしそうに笑っていた。

私は、再び瓦礫をどかし始めた。あまり多くはないから、もうすぐ全てどかせそうだ。

「レイナ…お前は、村を出て……本当の両親を見つけろ。きっとどこかに…居るはずだ」

父さんの言葉を聞きたくなくて、私は咄嗟に叫んだ。

「嫌だ!絶対に嫌!!」

私は父さんの子供だ。

瓦礫は残り少ないのに、涙が溢れて上手く見えない。気がつくと顔を真っ赤にして、涙を流していた。

突然、私の目の前に薄紅色の膜のようなのが目に飛び込んだ。

以前、魔導書でも見た事があった。そう、結界だ。

結界が私を包んでいる。

「俺だって、魔法くらい使えるさ。…と言っても、これしか使えないんだ」

木々が燃えて倒れる音や、家屋が崩れる音が止まないのに、父さんは私を見て穏やかに笑っている。

「レイナ…もう二度と、戻ってくるなよ」

父さんは目の前に居るのに、結界のせいで触れることが出来ない。

私は声が枯れる位、泣き叫んだ。両手の拳を結界に叩きつけて、何度も…何度も叫んだ。

「これを解いてっ!!父さん!!」

結界が霧で包まれて、父さんの姿が見えなくなる。

父さんはにっこり笑っていた。

「じゃあな」


目ノ前ガ暗クナル。



「……あ」

目を開けると、木目が真新しい天井が見えた。

「夢か」

私は涙を流していた。枕も濡らしてしまうくらい、ぼろぼろに泣いていた。

「夢だよね。そっか…あれから一年…月日の流れは本当に早いなぁ…」

私は寝間着の袖で目を擦ると、部屋に備えつけてある洗面所で顔を洗った。少し目は腫れているけど、人前に出れないくらい酷くない。

素早く着替えて片付けを済ませると、部屋から出て行った。

あの時と同じ、黒い服とショルダープレートがついた黒いマント。ショルダープレートは買い替えたばかりで、まだ真新しく光っていた。腰には剣を携えたし、改めて見ると旅にも慣れてきたかなって思う。

「昨日は…確か、ティアと別れたんだっけ…。一人だと楽だけど…誰か探そうかな」

昨日の事を思い出して、これからの事を考える。

ティアは体術が秀でていた。特殊な体質もあったけど、体術はかなり勉強になった。

あれから、一年。ティムを捜しているけど、全く情報が無い。一刻も早く会いたい。

部屋を出て階段を降りると、そこは沢山のテーブルと椅子が並んでいた。この町の宿は、一階が飲食店、二階が宿屋になっている。本当はテーブルで一人でのんびりご飯を食べたかったけど、テーブル席は全て埋まって居たから仕方無く、カウンターの席に座った。

席に座ると、目の前を歩いていた女性に話しかけた。

「特製ブランチ、一つ」

「はいよ!」

女性が頷くと、奥の部屋に入っていった。

この町の特製ブランチはちょっと有名で、これ目当てで町に来る旅人も少なくはないみたい。

しばらくすると、奥からパンや野菜、大きなハンバーグが一つに盛られた皿が運ばれてきた。焼きたてのパンの匂い、みずみずしい野菜、今にも肉汁が溢れんばかりのハンバーグが私の空腹を刺激する。

「いただきます!」

先ずは熱々のハンバーグ。私の拳二つ分はあるんじゃないかな。ナイフを入れると肉汁と湯気が溢れた。一口に切ったハンバーグを口に入れた。

お…美味しいっ!!

隠し味に入っている柑橘系の何かが旨味を引き立たせていて、脂っこい筈なのにいくらでも食べられる感じがする。サラダも特別に手は加えられていないのに、上にかかっているソースが野菜と合う。

そして、パン。シンプルな形だけど二つにちぎると、湯気が立って中から橙色の生地が見えた。皿の隅にあるバターを塗って食べると、また違った旨味が広がる。

私は食べる幸せを噛み締めて、無言で食べた。

最初は多いかなって思ったけど、気づいたら綺麗に食べていた。

「ちゃんと…よく噛んだよね」

夢中で食べてたから、考えて無かったけど食べ物はよく噛まないといけないよね。

一息ついてから、最初の目的を思い出した。

私はカウンターの隅で洗い物をしていた女性に話しかけた。

「あの…。一緒に旅をしてくれる人を捜してるんだけど…そういう情報や話って無いですか?」

急に話しかけたのに、洗い物をしていた女性は手を止めて、にっこり笑った。

「お嬢ちゃん、旅をしてるのかい?それなら、あの子に聞いてみたらどうだい?」

女性は泡だらけの手で、私の後ろを指差した。

入口に近いテーブル席には、一人の青年が座っていた。

私より年上かな?薄い紫の長い髪、頬には古い傷痕が見える。

魔術師か僧侶か、長いローブを纏っている。腰にはショートソード。確かに旅をしているようには見えた。

私が青年を見ていると、女性は更に話をしてくれた。

「さっき、この町に来た子なんだけどね、あの子も旅の仲間を捜してるんだってさ」

「はあ…」

私は曖昧に答えて、気持ちを落ち着けた。声をかけるだけなのに、初対面は緊張してしまう。

私は立ち上がって、青年の後ろに立った。

「あの…」

青年は私に気づいていたみたいで、すぐに振り返った。

青年は私を見て何かに驚いた様子だったけど、にこやかに笑った。

「はい、なんでしょうか?」

「初めまして。私、レイナ=ドルティーネっていいます」

血は繋がっていないって言われたけど、やっぱり私の父さんはただ一人だった。

この名前が染みついている。

「今、一緒に旅をしてくれる人を捜してるんだけど…私と旅をしませんか?」

私とは初対面のはずなのに、青年は少し考えると立ち上がって右手を前に出した。

「…はい、良いですよ。レイナさん」

「レイナで良いよ…えーっと…」

私も右手を出したけど、彼の名前を聞いていなかった。

「僕はカリル。カリル=ラーヴァスです」

私が考えるよりも早く、青年…カリルは答えてくれた。

「それじゃあ、私もカリルって呼ぶね。改めて、よろしく!」

私とカリルは共に握手をする。



これが、私とカリルの出会いだった。

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