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異世界放浪紀行  作者: Apple
序章
2/4

第1話: 始まりの草原 1


第1話ですが2話目となります。よろしくお願いします。

投稿は1話2000字ほどで隔日ペース(予定)でやっていこうと思います。


 「…んん?やべーな俺まで寝落ちしちまったのか?てか…」


 …なんだここは?俺の部屋じゃないんだが?

 周りは見渡す限りの緑。つまるところの草原である。花々が点々と咲いており、頭上には煩わしい位に太陽が燦々(さんさん)と照っていた。それなりに強い日差しは引きこもりの俺には大ダメージである。そして俺は見慣れた顔が俺の横にいることに気がついた。


 「…おおっ、ノヤさんはっけーん。」


 そう、俺の横にはよーく見知った顔。HNハンドルネームノヤこと中野(なかの 八紘(やひろがいた。…正確には眠っていた。


 「うーむ…」


 俺は少し考えると…


 「起きろっ!」


 「ごふっ!?」


 殴ることにした。腹を。


________________________________________________


 「…それでぇ?なんで俺の腹を殴ったのか聞いても?」


 しばらく悶絶していたノヤだったが、落ち着いたのか数分前から痛がるそぶりを見せなくなり、今では特に問題がなさそうに見えた。

 

 「そこに無防備な腹があったからさ」


 「登山家か、お前は」


 「そのツッコミ…いつものノヤだな?」


 「いつものノヤってなんだよ…まぁ確かに…」


 そういってノヤは辺りを見渡し始めた。釣られて俺も辺りを見渡す。

 …やはり先ほどと変わらず延々と緑の絨毯が敷かれているのみだった。


 「…確かに目が覚めていきなりこんな所にいたらそう言いたくなるのも分かるけどな…」


 そう言うとノヤはこちらに向き直り、少し深呼吸してから言った。


 「さて安田(やすだ) (はるか)くん、君はこの現状についてどう考える?」


 「なんだ急に改まって。…そうだな正直お前殴ったときにこっちの手も痛かったこととか、さっきから本当に煩わしい太陽の日差しとかその辺踏まえて考えるに……やっぱり現実だよな?これ」


 俺はそう結論付けるを得なかった。付け加えるならここが日本で無いこともほぼ確定していた。…何故かって?日本にこんな草原なんて無いからである。簡単だね。


 「…そうだな。俺も腹殴られてめっちゃ痛かったし、…てかなんなら今もいてーし、おいハルカやっぱ俺にも殴らせろ」


 「いやです。…つーかノヤさんよ、俺はこの場所がどこだか分からねーんだけどさ、こういう現象?については知ってる気がするんだよね。」


 俺は殴られるのが嫌なので話を逸らす事にする。


 「逃げやがったな…後で覚えてろよ…だがまぁ、奇遇だなハルカ。それについては俺もだ。」


 そう言うノヤの顔には笑みが浮かんでいた。…ぶっちゃけると俺もここで目を覚ましてからずっとワクワクしていた。見慣れない場所に対する恐怖とかそういうのを吹っ飛ばすほどの興奮。俺はこの現象を知っている。いや寧ろずっと待ち望んでいた。恐らくノヤもだろう。だってこの現象は……


 「「異世界転移ってやつだよな」」


 …綺麗にハモった。それが引き金になったのかは知らないが、急に周りから色が無くなっていき、


 『大・正・解!いやぁ~やっぱり日本のオタクは物分かりがよくて助かるよ』


 …声が聞こえた。いや聞こえたというのは誤りだろうか?何故ならこの声は耳を通してでは無く脳に直接響いている…そんな風に感じる、そんな奇妙で気持ちが悪いものだった。


 「…!?おいノヤ聞こえたか今の!?」


 「…あぁ、バッチリ聞こえた。脳に響いてるみたいで気持ち悪いなこれ…」


 どうやらノヤも俺と同じ感想を持ったようだ。それほどまでにこの声の伝わり方は嫌なものだった。


 『気持ち悪いとは心外だなぁ。…まっ、君たちの世界には念話はないもんね。ただこれはこういうものだから慣れてもらうということで、まずは自己紹介からいっておこうか。余り時間も無いことだしね。』


 そう、声は言った。


________________________________________________


 「…自己紹介だと?いや、それよりもやっぱりこれは異世界転移なのか?」


 ノヤが聞き返す。


 『うん、自己紹介だ。最も僕は君たちのことを知ってるから自己紹介するのは僕だけだけどね。そして異世界転移についてだけど、さっきも言った通り大正解だよ。八紘やひろくん。ここは異世界ヴォルトス…にあるハリネー近郊の草原だよ。そして僕はこの異世界ヴォルトゥスの創造神にして君たちを転移させた元凶。この世界ではウルトトゥムナと呼ばれている。』


 「創造神…ウルトトゥムナ…」


 俺が呟くとウルトトゥムナは満足そうに言葉を繋げる。


 『そう!ウルトトゥムナだ。ただ言い辛いだろう?だから僕の事はウルトと呼んでくれたまえはるかくん。…さてさっきも言ったとおり時間が無いのでね。次に行こうか。』


 そう言うとウルトトゥムナ…ウルトは大げさに深呼吸する。


 『…まずは八紘くん、悠くん。いきなり君たちをこの世界に転移させてしまったことを謝らせて頂きたい。…本当に、申し訳ない。』


 …意外なことにウルトの口から語られたのは謝罪の言葉だった。

読んで頂きありがとうございます。

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