プロローグ
初投稿です。よろしくお願いします。
ガシャン!
と物が崩れる音が部屋の中に響いた。振り向くと重ねて遊んでいたアニメのOPだのEDだののCDタワーが崩れていた。割と力作だったというのに…
「おいおいなんかすげー音したけど大丈夫か?」
「ああ、たいした事じゃねーからだいじょぶだ。それより続き続き!」
耳につけたヘッドホンから声が聞こえてそれに答える。そう、今は戦争中なのだ。多少力作とはいえCDタワーが崩れたぐらいで…いやでもあれはちょっと惜しかった気がしなくも…
「そっち行ったぞ!」
「…んえ?うおおぉ!!?」
ズドドドドドド!と銃声が響き渡る。
「あー!!あぁ…マジか…」
「ぼーっとしてんなよ」
俺の目の前の画面には蜂の巣にされたキャラクターが映っていた。敵の前で棒立ちだったのでこの結果は当たり前ではあるが。
「いやーわりぃわりぃ、すぐ復活してそっちいくわー」
「はよこいよ」
「おkおk…あー!よし!集中集中!」
「夜中なんだからあんま叫ぶなよ」
「へいへい」
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一切の物が無い白い空間。果たしてその空間には「白」以外の何者も存在することが許されない様な不可思議な場所だった。そこには一人の男と女がいた。
「…それで決まったの?」
「あぁ。この件については最高の人材だと思うよ」
「へぇ。あなたがそこまで言うなんて相当凄い人間なんでしょうね?」
「それはもう凄いよ。見てみようか。」
そう言うと男は何もない空間に手を伸ばし、その空間を引き裂いた。
引き裂いた空間にはゲームをやっている男たちが映されている。
「……何よ…こいつらは…」
「親のすねかじり虫に、親からの学費食い潰して遊んでる引きこもりだね」
それを聞いた女はゴミを見るような目で男たちを見つめながら
「…本当に大丈夫なんでしょうね…?」
そう呟いた。
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「んーなんだかなー」
しばらくゲームをしているとわが相棒ことHNノヤが愚痴りだした。
「どした」
「集中できねーんだよなー今日。こうなんてーか感覚が少し鈍いって言うか何ていうか」
「あーなんとなく分からんでもない気がする。つーか俺も今日は調子わりーわ」
「お前もぼーっとしてるよな今日」
「寝不足かね?」
「寝不足だろうね」
いつものやり取りが始まる。こんな他愛ない話を少しした後に寝るのが俺らの日常だった。
だが今日は少し違っていた。
「…で、ざわのやつがやらかしてよー」
「……」
「あれ?ノヤー?ノヤさーん?」
「…」
「寝落ちしたかな?珍しいなぁ、のやが寝落ちって」
「…」
「……うーむなんか俺も眠くなってきたn…」
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「さてさて彼らも眠ってくれたようだし、さっさとやってしまおうか。」
そう、男が呟くと男の体から青い何かが溢れ出てくる。男はその青い何かを出したり引っ込めたり、伸ばしたりして感覚を確かめる。
「…うん。魔力も十分だね。」
「さて、僕は今から転移魔法を発動するわけなんだけど、君はやっぱり彼らを『ヴォルトゥス』へ送るのは反対なのかな?」
そう女のほうへ向き直って男は言った。
「私は反対だけど賛成よ。」
「?というと?」
「あなたはこの世界の創造神なんだもの。これが一番ベストだったから彼らを送るんでしょう?私個人としては働かないやつは嫌いだし、心底嫌だけど、でも、もうこの転移しか手が残っていないのでしょう?」
そう言った女の顔には悲哀の表情が浮かんでいた。
「アイナ…いや豊穣の神よ。君はこれまでずっとヴォルトゥスに実りを与えてくれていた。それは僕が与えた役割だけではなくて、このヴォルトゥスが好きだったから続けていてくれたのだろうと僕は思っている。だから言おう、安心して欲しいと。」
続けて男は言った。
「彼らはこのヴォルトゥスに対して危害を加えることは無いとね。こう見えて僕は自分のことを結構人を見る目があるやつだと思っているんだ。その僕が言うんだから間違いないだろう。だから安心してくれ。」
そういって男は笑った。
「…ふふっ何よそれ…全然根拠になってないじゃない…」
釣られて女も…豊穣の女神アイナも笑った。
「ウルト、私はあなたを信用していないわけじゃない。寧ろ信用しているわ。ただ彼らがその…余りにもアレだったから不安になってしまって…」
そう言われて男…創造神ウルトはまた笑いながら言った。
「確かに彼らは人としては駄目な部類に入るだろう。だが悪ではない。それに若いから全然挽回できる範囲だよ。なによりも適正があるからね。」
「…そうね。ありがとう、ウルト。」
「どういたしまして……さて、憂いも無くなったことだし、これよりヴォルトゥスへの転移魔法を発動する!」
そう、ウルトが、創造神が宣言した。
「…ところで彼らをどこへ送るの?」
「近くに町がある草原だよ。テンプレだろう?」
「テンプレ……?」