朝霧班
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「みんなお疲れ」
奴らと遭遇したのは一度だけで、それ以降現れることはなかった。
「お疲れ様です。みなさん」
朝霧に続き、葵からも任務終了の言葉がかかる。今は最初に集まった車庫へと戻り、あとは解散するだけとなっていた。
「葵ちゃん、このあと一杯やる?」
「結構です」
二人は相変わらずといった様子。それを知之と華耶は笑って眺めている。
なんかいいな、こういうの……。
命をかけた戦いのなかに、知之達はしっかりと自分の居場所を作れているような気が側から感じていた。
「おい待て! 知之それは……」
「二人共、あとでお話があります」
朝霧達の会話を眺めている。
確かに、俺達水野班も家族と言ってはいるが朝霧達ほど仲がよくないのが現状。
やっぱり下の名前で呼ぶって大切なのかな……。
そう、最初にここへと集まった時から感じていた違和感の正体はこれだったのだ。
「なあ華耶、お前達って最初から下の名前で呼び合ってるのか?」
「はい、そうですね。それが朝霧班のルールだと言われたので。一ノ瀬君のところは違うんですか?」
「まあ違うかな」
見栄を張っても仕方がないので素直に話した。
「名前で呼んでみるのはどうですか? 距離が縮まるかもしれませんよ」
「距離かぁ……」
影井先輩はとくに気にしないだろうけど、残りの二人が……。
拒む未来しか見えてこなかった。
「ま、まあ、機会があったら呼んでみるよ」
「はい、是非そうして下さい」
何故華耶は他人事だというのにここまで一所懸命になれるのだろうか。
「よし、じゃあ今日は一先ず解散ってことで」
そんなことを考えていると、話を終えた朝霧が解散するよう告げる。
「裕太、また俺達の班に遊びこいよ」
「機会があったらな」
去りゆく背中に答えながら、俺は朝霧班での任務を終えたのだった。