朝霧班
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二度目の任務から二日が経過し、俺達水野班は戦いの疲れを癒すために療養をとっていた。
幸い全員命に別状ないのは唯一の救いだろう。
あの後水野が話していたが、眷族、サクラスと遭遇するのは予想外だったとか。もし眷族が相手と分かっていたのなら俺達だけではなく複数の班で任務に当たっていたらしい。相手はそれほど強大な力を有しているということになる。いずれ奴とは再び相見えることになるだろう。そのために今は休んで体力回復に努めるようにと水野からの指示があったのだ。
「教えろ!」
しかし、不思議なことに俺も前回の任務でかなりのダメージを負っていたのだが、一日休んだだけで体の傷や疲れが殆ど癒えていた。そのためやることがなく暇を持て余していた俺は、水野があの戦いで見せた『鬼色化』を思い出し、こうしてやり方を教えてもらいにきたのものの、一向に答えようとはしない。それどころか本を読み、俺の話を全く聞いていなかった。
「おい水野!」
「あー、はいはい、昨日の焼肉は美味しかったな」
「ちげえよ! 俺は鬼色化を!」
先ほどからこのやりとりを何度も繰り返しているのだ。
くそ、やっぱり教える気はないのか……。
影井から聞いた話によると『鬼色化』は封印された力らしく、やはり俺達には教える気がないらしい。
最初からこうなることはなんとなく予想出来たが、まさかここまで一方的に話をはぐらかされるとは思ってもみなかった。それだけ『鬼色化』は禁忌の力ということなのだろう。
でもあの力がないと……。
サクラスとの戦闘で十分身にしみたが、あの人間離れした力がなくては奴ら、堕人以上とは戦えない。みんなを守ることも出来ない。
「人の話を——」
聞いているのか、そう伝えるよりも早く水野が口を開く。
「お前暇か?」
「はあ?」
自分の顔より大きな本を閉じて面倒くさそうにこちらに声をかけてきた。
「そんなことより鬼色化を!」
「暇か?」
有無を言わさぬこの態度。俺はついその迫力に気圧され首を縦に振る。すると、水野は普段の表情に戻り話を続けた。
「よし、暇なら頼みたいことがある」
「頼みってなんだよ」
どうせろくなことではないとわかりつつ、水野の話に耳を傾ける。
「頼みというのは——」