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短編集

光の丘

作者: 霧星 蒼

私はここ最近、同じ夢ばかりを見ている。



丘を登る夢だ。丘といっても、ただの丘じゃない。柔らかな光がこんもりと集まって、丘になったような、そんな、優しく光る、緩やかな斜面の丘だ。そんな丘を、私はひたすら、ゆっくりと登っているのだ。


光っているが私はその夢で怖いと思ったことはない。むしろ、安心感を覚えながら、ゆっくりと、登っている。丘は穏やかに光り、心地よい位の温度を放っているようで暖かい。


私はその丘を、ゆっくりとゆっくりと登っている。長く付き合ってきている痛い足腰も、夢ではまるで痛みなんて元からないかのようにすっきりとしている。若返ったような気分である。


初めて夢を見たときは、丘のふもとであった。そこから見た丘は、小さく思えたので、すぐ頂上まで登れると思った。だが。


いつまでたっても、頂上が見えない。夢から醒め、また夜になって眠れば、昨夜みた夢の続きのように、醒める前に登ることができたところにいる。進んではいるようだ。だが、登っても登っても頂上は見えない。夢だから当たり前なのだろうか。夢に常識を求める方がおかしいのだろう。


もどかしいような気もしないでもないが、それもまた良い。夢での目標ができたようだ。夢の中なら足腰は痛くない。後先長くない身ではある。夢での目標というのもおかしな話だが、頂上目指して登ってみるのも良いのではないか。



本当にどこまで続く丘なのだろうか。丘の景色はどのようなのだろうか。私は気になる。だから、登り続ける。わたしは恐らく、眠りにつくたびに、死ぬまで、この丘を登り続けている、そんな気がした。


だがそれもまた良いのではないか。温かな光の丘を、一歩一歩、ゆっくりと登れば良いのではないかと私は考えている。恐らく、頂上には、いつか辿り着けるのだろうから。





今日も私は横たわり、夢の中で光の丘を登っている。


ーendー

読んでくださりありがとうございます。短くてすみません。

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