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閻魔大王だって休みたい  作者: Cr.M=かにかま
第5章 〜輪廻謳歌〜
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Eightiefifth Judge

朧技御影、かつて百鬼夜行大戦時に隗潼側の幹部として亜逗子と天狼の前に立ち塞がり卓抜とした戦闘センスで二対一の戦闘でも退けを取らない互角に戦った実力者

ゴクヤマの乱入と同時に隗潼がやられたことを知り勿論ゴクヤマに挑んだのだが右目を雷で貫かれて逃げるのが精一杯の状態に終わった

戦いは終わり目を覚ました隗潼と共に放浪の旅に出た、武者修行の為でもありできることならば天地の裁判所の職員と会いたくないという理由もあった


そして現在、かつて隗潼側の味方であった冨嶽と百目鬼の二人を同時に相手している

面倒だからまとめてかかって来い、と朧技が挑発したのが原因だった


実力は均衡していた、両手に持つバトルアックスと自身の身体能力と脳波を武器にして冨嶽の大地を割る拳を受け流して、百目鬼の槍のように鋭い杖の突きを軽々と躱しながらバトルアックスを重心として脳波によって強化された蹴りで確実にダメージを与えていく


「二人掛かりでその程度か、やっぱし歴史に名前を残している戦士でも老いればただのクソジジィってことか」


「....ッ、減らず口をォ!」


挑発に反応したのは冨嶽だった、脚に纏わせた脳波をバネに加速し空気抵抗を減少させるために全身に脳波を纏わせて渾身の右拳を朧技に放つ

しかし朧技はそれを軽々と躱す、その後も冨嶽は怒涛のラッシュで朧技に攻撃を次々と放つが一撃たりとも命中することはなく朧技のカウンターによう回し蹴りをまともに受けてしまう

メキメキという音が体に響き体内の酸素が一気に体外に弾き出される


「ゴハッ...!?」


「動きが止まって見えるぜ、衰えたな」


一瞬にして朧技は脚を戻して冨嶽の懐まで移動して肘鉄による追撃を放つ、そしてそのまま蹴りによるアッパーで顎に一撃加える

本来朧技は格闘術に長けておりバトルアックスはついでに装備しているだけに過ぎない

特に眼帯をしてからはバトルアックスによる距離が微妙な攻撃手段は間合いを取るのが困難となったので近接格闘を中心としたスタイルに変えたことも原因である


その時、朧技は背後からの殺気に瞬時に反応する

腕に硬化のイメージを乗せた脳波を纏わせて防御の態勢を取りながら背後に視線と体を向ける


「二人いることを忘れてはならぬぞ」


「別に忘れたわけじゃない」


百目鬼の杖による奇襲を見事腕で受け止めて、そのまま杖に手を掛ける


「ただ、一度に相手するのが思った以上に面倒だったんだよ」


朧技はそのまま拳にギュッと力を注ぎ込んで握った部分だけ杖を粉々に握り潰した




一方、同じく三途の川


ビキビキズガガガガガガカ、と激しい音を立てて大地が揺らぐほどの激しい攻防が行われていた

四代目閻魔大王ゴクヤマと蒼隗潼の二人の力が激突していた


「やっぱお前は強いな、流石だ」


「この程度で俺に挑みに来たのか?お前らしくないな」


「まさか、これからが本番だ」


雷と衝撃波、それぞれの能力が最大限にまで発揮され均衡した力は周囲にまで被害を及ぼす

百鬼夜行大戦時は一撃でゴクヤマに倒された隗潼だったがあれは不意打ちのため隗潼が反応できなかっただけであり本来ならば二人の実力は五分と五分の差なのだ


蒼隗潼の衝撃波は僅かな筋肉の動きで小さなモノから巨大なモノまで引き起こすことが可能な上に脳波を重ねて範囲や威力を広げたり上げたりすることも可能となっている


「ゴクヤマ、一つ聞きたいことがある」


隗潼が戦闘中にも関わらずゴクヤマに真剣な表情で尋ねる


「お前はどうしてあんな馬鹿なことをしたんだ、あんなことをしなければ引退しなくて済んだだろォ!」


隗潼は超特大の衝撃波を放つ、しかしゴクヤマはそれを素手で受け止めて素手で弾き飛ばす


「あんなこと、だと?」


ゴクヤマは額にピキピキと青筋を浮かべさせて全身に雷を纏わせる


「貴様に一体何がわかるというのだ!?ライラが残してくれた希望を招いたに過ぎぬわァ、貴様如きが知った風な口をォォ!!」


「馬鹿野郎、ライラさんはお前にそんな事を望んでないぞ!いくら閻魔大王と言えどヒトの生死に関わることをやっちゃいけないことくらいわかってるはずだろ!?」


「問答無用ッ!」


瞬間、隗潼の頭上に今回で最高最大サイズの特大雷が落下した




査逆が引き起こした大爆発により天地の裁判所と麒麟亭を結ぶ唯一の渡り廊下が粉々の瓦礫に変わり果ててしまい足場を失った査逆は鎖を適当な所に接続させて建物の壁を足場としている

色の違う両の瞳をキョロキョロとさせて平欺を探す、彼がこの程度で参るわけがないという査逆の確実性な直感がそう告げていた


すると崩れた瓦礫が査逆に向かって飛来してくる、査逆は冷静かつ慌てることなく新たに鎖を取り出して飛んでくる瓦礫を破壊する


「考えたな、オレの脳波の壁は鎧と同じで衝撃までは殺せない。だから昔からお前が最も得意だッたイメージを使い壁を通り越したとはな」


随分効いたぞ、と何も変化のない表情で告げる

平欺は自分の周りの重力を変化させて自身の体を宙に浮かせて査逆に接近する


「どうやら思ッた以上にお前はオレを楽しませてくれるようだ、その礼と言ッたら何だが本気で相手しよう、月見里査逆ッ!」


刹那、音にならない速度で平欺は査逆の顔を鷲掴みにして壁に叩きつける

その衝撃で天地の裁判所に巨大な穴が空いてしまい、査逆は衝撃に耐えきれず後方に吹っ飛ぶも何とか態勢を整え直し目の前の平欺に備える

案の定平欺は信じられない速度で査逆に再接近してきた、右拳のストレートを躱してカウンターの回し蹴りを放つがやはり物理攻撃では平欺にダメージを与えられない

そう、普通の物理攻撃ではダメージを与えられない

だからこそ事前に脚に爆発用の鎖を巻きつけており、鎖に爆発のイメージを瞬時に送り込む


ドゴォォォォォォォォォォン!という激しい爆発音と共に査逆の脚に巻きついた鎖が大爆発を引き起こす

査逆の脚には爆発によるダメージを防ぐための脳波を纏わせているため査逆自身にダメージはない


ズザザザザザザザ、と平欺が後方に下がりダメージを軽減させる


「いいねェ、こんなに高ぶる気持ちになッたのは何年振りだろうなァ!」


平欺は脳波を最大限にまで展開してとてつもない重力を重ねる

天地の裁判所内部は凄まじい重量に耐えられず壁や床に亀裂が走り内部から崩壊が始まる

査逆は鎖を器用に使用して重力で身動きの取りづらいハンデを克服するように移動する

そして辺りの瓦礫に手当たり次第鎖を放つ、鎖は簡単に取れないように接続されており無数の鎖が床のない空間を支配する

月見里査逆の得意とする爆破の脳波イメージは無機物に自分の脳波を流し込んで爆発させるという仕組みで自分の体や生き物の体を爆破させることはできない


つまり、今この場には敵である平欺が自ら増やしてくれた無数の瓦礫という爆発対象物が見渡す限り、360°の空間に存在した

こんな状況であればどこに平欺がいようと関係ない、一応密閉された室内という空間なのだから爆発の衝撃はあちこちに響く


「ウチの全身全霊をかけた捨て身の一撃、先生はマジ耐えれないといけないですよ。最強なんですからねッ!」


瞬間、室内に存在するありとあらゆる瓦礫が査逆が鎖から流し込んだ脳波によりとてつもない連鎖爆発が発生させた


この大爆発がきっかけで天地の裁判所が半壊状態に陥ってしまったのは別の話である




その頃、天国にいるヤマクロは一人でとある場所に向かっていた

美原千代、この人物こそが全てを繋ぐ糸の中心に点在する人物であり今回の事件の解決の糸口にもなる


須川から写真を受け取ったヤマクロは夏紀と五右衛門を居酒屋「黄泉送り」に置いて走り出した

地図は居酒屋「黄泉送り」からある場所に続く道を記してありそこに美原千代の家があると思ったのだ

そもそも美原千代という人物が一体何者なのかはヤマクロ自身は知る由もない

出会ってはいないがヤマクロは一方的に彼女のことを知っていた、しかし向こうは恐らく事情を話さない限りこちらのことを信じたりはしないだろう


まずヤマクロが美原千代を初めて目にしたのはこの天国にやって来て異変が起こる直前である

彼女自身はこちらに気がついていなかったがヤマクロは一瞬で写真と同一人物だと判断できた

しかしヤマクロは目にする前から美原千代の名前以外のことを知っていた


そう、外見を知っていた

それもこの世界に生まれた時という遥か昔から一方的にだ


ヤマクロの母であるライラ・ストライカー

天国にいる美原千代


この二人の外見がどういうことか完全に一致していたのだ


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