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閻魔大王だって休みたい  作者: Cr.M=かにかま
第4章 〜憎まれ子〜
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Fiftiefirst Judge

査逆の両腕から放たれた無数の鎖は一つ一つ狂いなく四方八方からヤマクロを確実に狙い脳波により極限まで硬度を上げた状態で放たれる

ヤマクロは避けようとも刀を振ろうともせず瘴気で円柱の壁を作り出し確実に防ぐ

ヤマクロは瘴気を道として利用し刀を振り上げ一気に査逆に迫る

もちろんその刀を丁寧に受け止めるわけにいかない彼女はその場で跳躍し、上空から脳波と回転を付け加えた鎖を勢いよく放つがヤマクロも瘴気の道をいとも簡単に捨てると空を飛び鎖を華麗に避けて横から村正で鎖を斬り裂く

査逆は重力に従い地に足を着けるがヤマクロはそのまま浮遊した状態で留まる


「おイぃ、坊ォッちャんデ全力がァ出せナイなら邪魔ァスンナ、俺がヤる!」


背後で天狼が苛立った様子で話しかけてくる

どうやら瘴気が徐々に身体に馴染んで来たらしく先程よりも言葉が通じやすく意識もハッキリとしている、その証拠に目に元の光を取り戻し大きくなっていた体も徐々に戻ってきているのがわかる、どうやら体の異常な変化は短時間の内に瘴気を急激な量で摂取してしまったことが原因らしい

吐血の回数も少なくなったがそれでも瘴気が天狼の身体を蝕み続けているのも事実だろう、しかし天狼は理性のある生物の中でも瘴気に対して強い耐性力のある酒呑童子である

この短時間で器や抗体を生成してしまったのかもしれない


「オイこラァ査逆ィ、聞いてんのかァ!?」


「聞いてるからそんなにマジで興奮すんなって、せっかく瘴気落ち着いてきたのにまた戻っちゃうよ」


「.....どウいぅ意味ダァ?」


「まさか、マジで知らないの?瘴気は確かに自らの意思で体内に取り込むこともできるけど憎しみや悲哀、怠惰なんかのマイナス思考を頼りに集まってくるんだよ、つまり瘴気は負の感情を探しながら漂ってんのマジで知らなかったの?」


「知らナかった...」


天狼は気まずそうに顔を俯ける

なんというか、知らなかったことを恥じているようにも見える


「まぁ、そういうわけだからここはウチに任せてさ...」


天狼が声を出そうとした途端、ジャラジャラ!という音が辺りに響き渡る、次いで天狼は体が動かせないことに気がつく


「オイぃ!ドォイうつモりダぁ!?」


「暴走でもされて二人相手はマジでごめんだからね、しばらく強制的に黙らさせてもらったんだよ悪いね」


「チッ...」


査逆はもう天狼に声を掛けることもなく歩き始める

そしてニヤリと不気味な笑みを浮かべながらポキポキと拳を鳴らす


「始めましょうか坊ちゃん、あなたの元従者である天邪鬼の月見里査逆ちゃんがお相手いたしま、スッ!!」


言いたいことだけ言い開戦を合図すると伸縮と硬化のイメージの脳波を纏わせた鎖を五本ほど右腕から放つ

彼女の鎖は本来五ミリ程度の小規模サイズでとても短い、だから複数の持ち運びが可能で伸縮のイメージの脳波を纏わせることで長さも自由自在に設定することができる、さらに


「おっと、と!」


「そんなんじゃ、逃げ切れませんよ!」


査逆は笑みを崩さない

ヤマクロは宙に浮き回避するがそこで鎖が再びジャラジャラと音を立てる

鎖に鎖を取り付けておくことで更に広範囲の攻撃を可能にする


「え...」


「まだまだウチの射程範囲ですわ」


鎖から飛び出た数本の鎖は真っ直ぐヤマクロへ向かう、脳波を用いて操作しているのだ

硬化、伸縮、操作という三種類の違うイメージを同時に操るなど本来であれば至難の中の至難の業となる

脳波とはイメージするだけでは現実に影響は出ないため、より強い想像力とより高度な脳波の操作が必要とされるためである

さらに脳波は一瞬でも気を抜いたり動揺したりでもするとその時点で既に脳が脳波の放出を拒んでしまう作りになっている

もし普通の人間が別々のイメージを三つ同時に行うとしたら脳が三つあっても足りるかわからない、天地の裁判所の鬼や閻魔であっても二つが限界かもしれない


しかし、月見里査逆という天邪鬼は違う!


「これは...!!?」


「坊ちゃんを逃がさない為の檻ですよ、見事に引っかかってくれましたね」


「こんなもの、ボクの力で...」


そう言いヤマクロは妖刀村正を構え瘴気を纏わせる、ヤマクロが鎖の檻に攻撃を加える前に査逆は次の手を打つ、突如として鎖が淡くオレンジ色に輝き始める


「爆ッ!!」


査逆は更に鎖に爆破のイメージの脳波を鎖に流し込む

鎖は連鎖反応を起こして次々と爆発を始める、これで査逆は四つのイメージを同時に使用したことになる


かつて天邪鬼の一人として、天地の裁判所最強の若手とも言われたことのある彼女の力がヤマクロを襲った


そもそも天邪鬼という種族は鬼の中でも異端の存在であり偶然から産まれた存在でもある

体の構造も少し異なり脳は本来右脳と左脳の二つだが天邪鬼の脳は中心脳、前左脳、前右脳、後左脳、後右脳の五つの脳があり鬼のくせに角が生えないという鬼らしからぬ特徴的もある

そんな天邪鬼の彼女だからこそ常人離れした神業を成し遂げることができたのだ


「ウチは自分で言うのもなんだが天邪鬼の中でも戦闘狂の方だ、たとえ坊ちゃんと言えど強い奴と戦うならウチはマジの力を出す、これがウチのポリシーだ!」


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