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閻魔大王だって休みたい  作者: Cr.M=かにかま
第4章 〜憎まれ子〜
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Fortieninth Judge

酒井田銀狐の死、こちらの世界の住人の意味する死は輪廻転生の輪に乗り新たな魂として生を授かることとなる

よって現世の死人と違い天国へ行くことも地獄へ行くこともない

生前の記憶もなくなり本当に新しい生命となってしまう


「うわァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!」


天狼は動かなくなった笑顔のままで静かに眠る銀狐の体を手に取る

命とはこんなにも儚い、死とは唐突にやって来る、盃天狼はこの時再び命の尊さを実感する

そして、


「いやはや盃天狼君、盃朧の息子らしいね、そんなモノはさっさと埋めて実験...ッ!!」


「.....黙れ」


盃天狼は動いた、酒井田銀狐を死に追いやった者たち全てを殺す、と

手始めにこの集落の長老であり銀狐の義父でもある酒井田千里の腹を拳一つで貫いた

ここに来る前に酒を飲んでいたのでアルコールは腕に集中したため人体を貫くことなど難しいことではなかった


「がッ...ハァ....!?」


ズボォ、と天狼は真っ赤に染まった腕を引き抜く

すると千里はガクガクと小刻みに震えながら腹からドクドクと大量の血を流し、糸が切れた人形のように倒れる


「何事だ!?」


「長老!!!?」


騒ぎを聞きつけた集落の住民達が集まってくる

天狼は村の鬼達を一瞥すると腕に脳波を集中させ、首を刎ねる

脳波に斬撃のイメージを纏わせることで鋭利と化した腕に返り血が飛びつく


「ぶち殺してやる...」


天狼は虚ろながらも恨みの炎を宿した眼から涙を流しながらフラフラと歩き始める


「実験なンてフザケたことで銀狐の命を奪ったコイツら全員ブチ殺してやるゥ!!」


天狼が叫ぶと辺りの小屋がひとりでに吹き飛ばし、体内に保存してあるアルコールを利用し口から岩をも溶かす温度を誇る炎を放出する


殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺す!!


辺りの炎が天狼の怒りを表すかのごとくメラメラと燃え上がる

彼の怒りは決して収まることはなくひたすら暴れ続ける

集落に生存者はいなかったらしい


この日、盃天狼以外の酒呑童子は全て彼の手によって絶滅したのだった




「今の攻撃は流石に焦ったよ、すごいね」


「そりゃ、どう...も」


ヤマクロはゆっくりと立ち上がり村正を再び握り直す

すると再び瘴気が集まり始める


「今度はこっちから行くよ〜」


ヤマクロはまだ余裕がありそうな口調で言うが天狼は返事をする余裕もなかった

一瞬とは言え瘴気を体内に取り込んだのだ、普通であれば体が使い物にならなくなる危機的な状況だ

しかし、彼は酒呑童子である

酒呑童子は他の種族とは違い理性ある生命の中で瘴気に耐性のある黄泉の世界でも少ない種族の一つである

瘴気は理性のない生物ならば容易に体内に取り込むことはできるが、理性があれば毒でしかない

どうも理性には瘴気を拒絶する何かが備わっているらしい、詳しいことはわからないが瘴気と理性は密接な関係にあるらしい


(本来ならば限界も近づいてるだろうが、)


天狼はヤマクロに向かって走り出す


「俺はまだまだヤレるぜ!!」


天狼は脳波とアルコールと瘴気で強化した拳をヤマクロに放つ

拳は直撃し、辺りに粉塵が立ち込める


「まだまだァ!!」


そのまま口から炎を吹き、追い打ちをかける

辺りの血と肉塊の焼ける臭いが漂うが今の天狼にそんなことは関係ない


「やるね〜、そろそろ準備運動は終わりにしてもいいかな?」


炎が晴れるとヤマクロがまるで何も無かったのようにスタスタと歩み寄ってくる

体が焼けていうこともなく、殴られた痕があるわけでもない

ただ刀に多量の瘴気を纏わせながら笑顔で辺りの炎の残りを払いさる


「さぁ、もっともっと遊んでよ、こんなに楽しいのは本当に久しぶりなんだから、さァ!!」


瞬間、ヤマクロの眼の色が変わり瘴気もドンッという勢いで一気に放出される

ヤマクロが刀を横振りに軽く振ると辺りの岩や造形物などがスッパリと綺麗に斬れる、無駄な破壊が一切無い綺麗な傷跡だった


「上等だ、こっちもまだまだ全力じゃねぇよ!」


天狼は更に瘴気を体内に吸収し、ヤマクロに迫る

そこで天狼の体に異変が現れ始めた

天狼は急に訪れる苦痛に動きを止める

ヤマクロはつまらなさそうな表情で刀を振りながら、


「来ないんだ、ならこっちから行くよォ!」


ヤマクロは瘴気が揺らめく刀を振り上げ、天狼に斬りかかるがその一撃はいとも容易く受け止められてしまう、それも片腕で


「え....!?」


ヤマクロもようやく天狼の体の異変に気がつく


天狼の体から瘴気が放出されていた


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