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閻魔大王だって休みたい  作者: Cr.M=かにかま
第4章 〜憎まれ子〜
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Fortieseventh Judge

180年前、地獄のある集落にて...


「また、失敗か...」


「仕方あるまい、瘴気は未だに未知の可能性を持っている」


「研究の為に犠牲は問わん」


「全ては閻魔大王様からのお言葉、我々酒呑童子にも瘴気と同じくして未知の可能性を持っておる!」


ここは酒呑童子が住まう集落、バッカス

彼らは現在、四代目閻魔大王ゴクヤマの命により生物は体内で瘴気を保持することは可能なのかという実験を請け負っている、酒呑童子とは本来酒のみだけではなく本質は飲み込んだモノを栄養に変え力に変える種族でありアルコールをより多く摂取するのは彼らの体に最も無害で適正であることが証明されているからである

だからこそ彼らは【酒呑みの童子】とも言われている


「良いか、我々酒呑童子は決して酒ばかり呑み酔っ払っているだけの鬼という認識を改善するためにこの実験は成功させるしか道はないのだ!」


そしてこの男、バッカス集落の長老である酒井田千里(さかいだ せんり)


「................」


「我々は必ず、この犠牲を糧に成功へと繋げるのだ!!」


犠牲者の眠る小屋から声が響き、それと同時に小屋から離れる白髪の青年が酒を飲みながら離れて行った


「.....くだらねぇ」


盃天狼、当時172歳の若き酒呑童子が吐き捨てるように呟いた




天狼の父親は天地の裁判所で働いていたが、四十年程前にある戦闘の特攻部隊に志願しそのまま戦死、母親は父親の死を受け入れることができずに精神が崩壊し天狼に八つ当たり、始めは暴言や愚痴で済んでいたが、ある日を境に暴行、自棄酒、更には天狼を自分の子供とも思わない日々が続き天地の裁判所の精神科医院にそのまま入院することになり、今でも治療は続いている

彼は過去の自分と決別するために強くなろうと誓い、ここ最近では集落から割と近い火山まで来る毎日が続いている


そして、いつも通り酒を一升瓶飲み干し取り込んだアルコールを力に変え巨大な火山に全力で殴りかかる

火山は微動だにする気配はないが、天狼が拳を入れる度に火山は噴火する

しかし、こんなことで満足できる天狼ではないので更に拳を打ち込む

実験などどうでもいい、友人も感情をも欲しない、閻魔大王がどうとか考えるのも面倒くさい

そう、単純に彼は...


「力が、欲しい!!」


そう叫びもう一撃、火山に攻撃を加えた




はずだった...


「こらこら、これ以上は近所迷惑」


「ンだよ、お前...」


「おや、同じ集落に住んでるのに私を知らないんだね」


天狼は青筋をピキピキと浮かべる

彼は何より何事においても邪魔されることが大嫌いであったからだ

集落の人々によればこれは父親似らしいが本人はそんな事情などは興味すらもない


そして、


「オラァ!」


「しつこい!!」


一瞬で叩きのめされた




そして、あれから数時間後...


「あぁ、起きたのかい?」


「..........ここはどこだ」


「私ン家」


天狼は未だ覚醒しきってない意識で目を開くとそこには美しく長い銀髪の女性が裸で座っていた

どうやら彼女も鬼の血族らしく天狼とほぼ同じ位置に少し異形の形をした二本の角が生えていた、彼女の同じ集落という発言からしておそらく彼女も酒呑童子なのだろう

その証拠に酒をガブガブと飲んでいる

........の前に、


「....なんで裸なんだよ?」


「あン、欲情してんのかよ?」


「そうじゃねぇよ、恥じらいとかそういうのはねェのかって聞いてんだよ!」


「何興奮してんのよ、顔赤いぞ」


「うるせェ!」


天狼は未だ顔は赤いままだが即座に目を背ける

当の本人はそんなことどうでもいい、むしろ面白いオモチャを見つけたような表情でケラケラと笑っているが天狼にとっては悪魔の笑みにしか見えない


「そういやあんた名前は?」


「.....盃天狼」


「ヘぇ〜中々厨二臭い名前してるね、カッコいいじゃん」


「へ、俺は気に入ってねェがな...」


「私は酒井田銀狐(さかいだ ぎんこ)、銀色の狐と書いて銀狐よ」


「あんたも中々厨二臭いな」


「よく言われるよ」


天狼の言葉に銀狐は苦笑いを浮かべる


「ていうか、酒井田ッて...」


「そう、私あの男の一人娘なのよね」


あぁ〜ヤダヤダと言いながら銀狐は酒をガブガブと飲む


「あぁ、あんたも飲む?天狼」


「そうさせてもらうか、銀狐」


「私のこと下の名前で呼ぶ奴は今じゃ珍しいよ」


「そうかよ...」


二人の乾杯と同時に祝うかのように火山が一つ噴火をした




「てか、いい加減服着ろよ!」


「ヤダよ、面倒くさい!ていうか顔が赤い、欲情するんじゃない!!」


「してねェよ!!!」


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