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閻魔大王だって休みたい  作者: Cr.M=かにかま
第4章 〜憎まれ子〜
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Fortiefirst Judge

「第65回、ヘヴン・ザ☆・ラァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァディオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォオ!!全世界オンエアバージョン!!」


「あ、相変わらずテンション高くてすみませんねー、本当に」


「えー、今夜も始まりました、ヘヴン・ザ・ラジオ、天国の電波塔サンクスチュア局本部からお送り致しています」


「司会はお馴染み、この私...」


「ロックミュージシャンである、この武田信玄がお送りする!!」


「ちょ、ちょっと、信玄さん、まだ私の自己紹介が、」


「なんだ、いたのか妹子」


「認識すらされてない!?」


「では、BGMは先日リリースしたばかりのThe Lock Of Tigerを流させて貰おう!」


「信玄さん信玄さん、私にも話させてくださいよ、さっきから一人で喋りすぎですよ!」


「よかろう、五秒やる好きなだけ話せ」


「短ッ!?あ、えー司会である私小野妹子も」


「五秒経過。」


「リアル五秒!?」


「よし、先ずは俺のファンレターのコーナーからだな!」


「信玄さん、テンション上げて独走してるとこ悪いですけど、今日はゲストが居ることをお忘れじゃないですか!?」


「え、そんなのあったけ?」


「忘れてんじゃないですか!?やめてくださいよ、結構無理言って来て貰ったんですから!」


「そうだったな、では俺のファンレターの前にゲストの方をお呼びしようではないか!」


「上から目線なのが気になりますが...」


「気にしたら負けだ」


「えー、本日のゲストは遠路はるばる天地の裁判所からお越し頂きました現在閻魔大王を務めていらっしゃいます、ヤマシロさんです!」


「どもー、5代目閻魔大王ヤマシロでーす」


「軽いですね!?」


「おぉ、あんたが今話題のヤマシロか、信長から話はよく聞いてるよ」


「信玄さーん!?あんたは何でそんなにフレンドリーなんですか!?」


「ファンレターのコーナー!」


「進行無視どころかゲストも無視!?」


「凄いお便りですね、毎回こんな感じなんですか?」


「いや、いつもよりも少ないな、全く皆俺のことがわかってないな...」


「ゲストに嘘吐くのやめてください!いつもこのくらいじゃないですか!」


『うるさいな、少し黙ってろよ』


「まさかの一斉射撃!?」


「しかし、これを全部読んでは日が暮れてしまうので後で個人的に読ませてもらおう」


「そういえば、俺もこのラジオ偶に聞いてるんですけど今までゲストとかいましたっけ?」


「今回あんたが初めてだ!」


「おぉ、何か嬉しい!」


「ホント、やっとこのラジオにもゲストを呼べましたよ、しかもヤマシロさんがこんなラジオの為なんかにホントありがとうございます!」


「では次のコーナー行きましょう!」




三途の川で起こった騒動から三日後、あの後は特に目立った事件も問題もなく平穏な日々が過ぎ去ったが三途の川の修復作業がやはりというかやっぱり難航した

麻稚を中心に多くの鬼たちが今でも頑張っているためもうすぐしたら元の状態に戻ると思う

そして、ヤマシロはと言うと...


「お疲れ様でした、閻魔様」


「ホント、すまんかったなヤマシロよ」


先程までラジオを共にしていた武田信玄と小野妹子と共に打ち上げに来ていた


「いいよ、俺も丁度天国に用があったんだ、そのついでだよ」


頭を下げる信玄の言葉にヤマシロは頭を上げるよう行動で頼む

正直こんな公の場所で頭を下げられても困る


武田信玄、生前は甲斐の虎という異名で戦国時代を駆け巡った知らぬ人はいないという程の知名度を誇る織田信長と同じ有名な戦国武将

そんな彼が天国ではロックミュージシャンで有名になっていると知ったらイメージは崩れてしまうだろう


小野妹子、生前は遣唐使として聖徳太子に仕え、外交に力を入れていた人物

女性のような名前をしているが男性という過ちは皆経験があるはずだ


...そんな時代も性格も違う二人が何故出会い、共にラジオをしているかは宇宙の誕生にも匹敵するくらいの謎だ、神様は一体何を望んでいるのかもわからない

そもそもこの二人が出会った時点で色々とカオスが誕生している気もする

しかし、ヤマシロはもう既に自身の持っている常識が全くといっていいほど通用しないと悲しいが実感しているため驚きは最小限に抑えることができた

....ホント、慣れって怖いと思う


しばらく飲んでいると、


「すまんな二人とも、俺はこれから新曲の打ち合わせがあるから先に失礼させてもらう」


「おー、頑張れよ」


「おう、上杉に負けるわけにはいかんからな!」


「上杉って、上杉謙信?」


「おう、先週は売り上げは負けたが今週こそは勝つる!」


ウォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!と薄い金色に染まった長髪をなびかせながら、ドドドドドドドドッ!という効果音が似合いそうな勢いで信玄は勘定を済ませて店を出て行った

残った小野妹子も私情があるとかで信玄が去ったすぐ後に店から出て行った


ヤマシロはここである人物と待ち合わせをしているため動くわけにはいかない

たとえボッチとか淋しいとか言われようとも決して動かない

動かざること山の如し!とか言うやつだ



十分後、


「ごめんなさい、待たせてしまったかしら?」


「いや、全然」


「...じゃあその大量の酒樽は一体何なんでしょうか?」


「何を十樽飲んだくらいで」


「結構飲んでますよね?」


白いアルビノ肌に色の薄い長い髪をなびかせる女性が冷や汗を流す

彼女、須川時雨がやや遠慮気味にヤマシロと同じテーブルに座る


「久振りだな、突然呼んで悪かった」


「いーよいーよ、どうせ信長の奴はナンパばっかしてるし最近暇だったからね」


「...お前も相変わらず大変だな」


「それで、どんな情報をお望みなの?」


何の脈路も前兆もなしに須川が本題に差し掛かる

彼女は自称天国一番の情報屋、しかし情報量は信長も認めるほどの正に自称を言っているだけの情報を所有している

今回ヤマシロは彼女ならばあの人物のことを知っていると推測したため彼女の情報に頼ってみることにした


「美原千代という人物についてだ」


「みはらちよ?」


須川が首を傾げて悩み始める


「えぇ、知ってるわよ」


「本当か!」


「の前にさ...」


須川が一拍置く

まるでその人物について話すには覚悟、というか開いてはいけない扉を開くような雰囲気になる

そして、須川はカッと目を見開き、驚きの表情で、


「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ、閻魔様がいるゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!?」


「もういいわ!!」




ヤマシロが天国を訪れる前日の事...


「死神が...全滅?」


「あぁ、俺が現世から戻ってみると里は崩壊し一族全員が息を絶やしていた」


一通りゼストの容体も安定し、容疑も晴れ自由になった彼がヤマシロの下に訪ねてきたと思えばいきなり重い話を持ちかけられた


真実かはわからないが、犯人は蒼 隗潼らしく、そのことを脅しの材料としてゼストに仕事を押し付けミァスマを前払いの報酬として渡し、そこから意識を失ったらしい

依頼された内容は現世にて死にたがりの適当な人間を殺し、裁判所を混乱させること、更に三途の川にヤマシロを呼び込むこと

恐らく、百鬼夜行大戦の為の保険だったと考えられる

ヤマシロが裁判所にいない間に隗潼は攻めてくる気だったのかもしれない

そう考えるとゼストが戻ってくるのが僅かとはいえ遅れたことに感謝しなくてはならない


「俺は隗潼を許さない、絶対にこの手でブチ殺す!」


「..........」


ヤマシロはゼストの覚悟に何も言うことができなかった

何しろ、ゼストの決意は揺るぎも妥協もなく本物の覚悟だったからだ


「それでだ兄弟、俺はお前に伝えておかなきゃならないことがある」


「伝えること?」


「お前の父親が引退した原因だ」


ヤマシロはその一言に吸い込まれるようにゼストに視線を固定させた


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