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胡蝶の夢と歩み出す絶望


ボクは悪い子だ、だからここに連れて来られて仕方なくここで生活している


ボクは駄目な子だ、出来のいい兄さんと偉い父さんとは違いボクには何の才能もカリスマもない


ボクの部屋の周りにはおおきな三角形を中心に出来ている

その頂点にはそれぞれ大きな鎌、大きな棍棒、大きな剣が怪しく不気味な紫色の綺麗な光を出している


流石のボクだってここの生活にもそろそろ飽きてきたころだった


もうここに来て五十年程経つけど今の今まで退屈という感情が生まれなかったのが不思議なくらい今は暇だった


あまり記憶がはっきりしないけど昔は楽しかった

兄さんと遊び、母さんに色んなお話をしてもらい、父さんと仕事の合間に話相手になってもらったり、査逆には勉強を教えてもらったりした


あの頃に戻りたい、でもこんな駄目で悪い子のボクでも時間は進むだけで戻ることはないことくらい知っている

やがてボクの目からは涙が流れ出した

悲しい、哀しい、憂い、寂しい、苦しい、憎たらしい、妬ましい...

様々な感情がボクの中をグルグルと回りやがて一つの感情に辿り着いた


そうか、これが憎悪か...


気がついたとき、ボクは自分でも壊れてしまいそうな大きな力を全身から放出していることが自分でもわかった


「うぅ、あぁ....!!」


ボクは力に呑まれそうになる前に力を上へと放った

咄嗟のことだったけれど流れ出た力の残留は辺りを漂い始めた

ボクでもそのことが判断できるくらいのとてもわかりやすい濃度だった

そして、辺りを見渡したボクはある一つの変化に気がついた

今までは力を使おうとしただけで抑えつけられるような感覚が走ったのに今回に至ってはソレが全く感じることができなかった

それに今回上に放った力は数多の壁を貫いて外の様子が確認できてしまいそうな状態にもなっていた


ボクは新たな疑問を抱きつつも一つの可能性を考え、ボクが外に出ることを防いでいるらしい三つの武器に目を向ける

するとどうだろう、これは夢かと疑ってしまった


大鎌が何故かはわからないがなくなっていたのだ


「ア、アハッ!」


ボクは自然に笑みを浮かべて声に出して笑う

どうしてかな、笑いが止まらない、止めることが出来ない


「アーハハハハハハハハハハ、アハハハハハハハハハハハ!!」


ボクの笑い声は部屋中に反響し、次第にボク自身の力が漏れ始めていることに気がつく

そして、ボクは無意識に三角形の頂点の一つ、剣がある場所に向かいその剣を抜き取る


そして、ボクは再び頬を緩める


「アハッ、久々の外出だ」


そしてボクは握った剣を横に一振りし、ズバンッという音と共に部屋が崩れて行くのがわかった


「待っててね兄さん、今からボクが遊びに行ってあげるからね☆」


無邪気で瘴気を放出する少年は歩み始める

それが吉と出るか凶と出るか、はたまた一体何が原因で少年が剣を握り締めるかは、まだ誰も知る由もない...


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