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閻魔大王だって休みたい  作者: Cr.M=かにかま
第2章 〜百鬼夜行〜
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Nineteenth Judge

麒麟亭...

地獄の一角に聳える天地の裁判所で働く鬼達の共同住居で、その大きさは2500m級の山一つに匹敵する

天然温泉、サウナ、冷暖房システム、バイキング食堂、マッサージルーム、大広間、トレーニングルーム、映画館、プール、

エトセトラエトセトラ...


ここは天国か?というほどの設備が無駄に充実している

これは引退するのを避けるために3代目の時代に大改造が行われ、このような娯楽施設のような建物になった


そんな麒麟亭の一角にて...


「ギャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」


平和を乱す一つの悲鳴が響き渡った




「きゅ、給料が...」


そんな悲鳴が響いてることも知らず、個室にて本日の給料を確認している鬼達のリーダー、紅 亜逗子に電撃が走る

彼女は鬼達の中でも上司的な立ち位置にいながら、他の鬼達に比べて給料が少なかった

半分はヤマシロの嫌がらせによって、もう半分は先日の謹慎があってから基本給料が減ってしまったからである

彼女が給料を確認して膝を付き、その場で倒れこんだと思うと、


「戻ったぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


歓喜の涙を目に浮かべ、両手を天に掲げ、叫び出した


「うぁぁぁぁ、ありがとうございます閻魔様、ありがとうございます閻魔様、ありがとうございます閻魔様」


亜逗子は自分の通帳に涙を流しながら頬ずりし、延々と同じ言葉を呟く

...周りから見るとかなり痛い子か不審な子であるがここは個室、誰の邪魔も入らない

そう、突然の来訪とか同僚が酔っ払って絡んでくるとか、よっぽどのアクシデントがない限りは...

更に言えば個室には鍵を掛けることができるため、入るには中から鍵を開くしか手はない

よって、彼女を止めるものはこの室内にはいないということである


と、


「亜逗子!ちょっとい...い、かし......ら?」


来訪者が現れた!

来訪者、蒼 麻稚は同僚の部屋の扉をスパーン!と勢い良く開き、同僚の奇妙な行動に動きを止める

そんな突然の同僚の登場に驚く亜逗子も同様に動きを止める


「....................」


「....................」


気まずい沈黙が続き、不穏な空気が流れる

そもそも何故麻稚は亜逗子の部屋に入ることができたのか?

理由はごく単純で明確かつ、わかりやすい


亜逗子は部屋の鍵を閉め忘れたのである


先に亜逗子がアクションを起こした

通帳を地面に丁寧に置き麻稚のいる扉とは逆方向の窓に向かう

そしてその窓を勢い良く開き、身を乗り出す


「ちょ、亜逗子何!?どうしたの、何で窓から逃げようとするの!?」


「うるせぇ、あんな姿見られて生きるくらいならウチは死を選ばせてもらう!」


「いやいやいやいやいやいやいやいやいやいや、私ら死んでも天国とか地獄とか行けないから!輪廻転生の輪に乗って新しい命に変わっちゃうだけだから!」


「止めるな!あたいは覚悟だけは絶対に曲げない鬼なんだ!」


「せめて曲げるべき覚悟と曲げない覚悟の判断くらいしてよ!」


いつもはポーカーフェイスで冷静で毒舌な麻稚でも、流石に同僚の死は見逃せず全力で止めに入る

二人(主に亜逗子)がギャーギャー窓付近で騒いでいると、一人の鬼が入ってくる


「麻稚さん、また出ました」


「何ですって!?」


麻稚は一先ず、亜逗子を室内に全力で引き摺り入れ、窓をこれでもか!というくらい厳重に開閉不可能の状態にして鬼の話を聞く


「今度はどこで?」


「正面玄関です、後頭部を強打して重体の状態です」


「まだ命はあるのね、今行く案内して!」


「はい!」


そう一通りの会話を終え、麻稚は部屋を去っていく


「ちょっと、待て!一体何のことだよ!?」


ワンテンポ遅れ、亜逗子が麻稚を追いかける

今度は部屋にしっかりと鍵を掛けることを忘れずに...


「そうだった、だから私はあんたの部屋に行ったんだった...」


「そうだったの!?」


色々ぶっ飛んだことがあり忘れてしまっていたらしいが...

麻稚は落ち着いた様子で本題に入る


「麒麟亭の鬼達が何者かによって襲われてるのよ、もうこれで三人目...」


「なっ...!?」


亜逗子は驚きのあまり目を見開く

確かにここの娯楽を求め地獄に堕ちた人間の魂が寄り付いてくることはあるが、襲撃に合うことは前例にない

そもそも、鬼を襲おうという物好きな輩自体そうそういない


「とにかく何者かは知らないけど戦闘になるわよ!」


「上等だ!あたいらの本領を発揮するのにいい機会じゃなぇか!」


そう、鬼という種族はそもそも力に優れ、個人差はあるが好戦的な種族でもある

しかし、最近では鬼達による組手か餓鬼の駆除でしか力を振るう機会がないため、力は衰えてきている

鬼が全力を出せば山一つ動くというが、その全力を出すシチュエーションがないからである



そんな正面玄関に向かう三人を背後から見下す鬼が一人...


「へへへ、精々頑張ってくれよ、わざわざ殺す手前で止めてやってんだからな...」


その鬼は天井に足を暗闇で固定し帽子が落ちないように片手で固定している


「そして、あれが隗潼さんの娘さんか、中々悪くなゐ女だ...」


侵入者、煉獄 京は静かに不気味な笑みを浮かべる


「さて、そろそろ次殺りにゐくか」


その言葉を残し、暗闇に紛れるようにしてその場から立ち去った


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