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閻魔大王だって休みたい  作者: Cr.M=かにかま
第2章 〜百鬼夜行〜
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Thirteenth Judge

イエス・キリスト...

遥か昔、神の子として生を受けその優れたカリスマ性と心の広さで多くの弟子をつくり、あちこちで洗礼を行う

しかし、不幸に次ぐ不幸が彼を襲い、最終的には悲劇の死を遂げる

その後、天地の裁判所で初代閻魔大王と知り合い、天国に行き治安の乱れた場所にて救いを解き、その努力が認められ天国の更に天上に存在する「神の国」に迎えられ今は神として生活している



「....俺はなんでそんなお偉いさんに呼ばれちゃったのかな?」


どうやら二度あることは三度あるというのは本当らしい...

ヤマシロはその件のイエス・キリストから会ってみたいという通達を遥か遠くの神の国から受け取ったわけだ

仕事?先代に押し付けてきましたが何か?


「.....まだ時間はあるな」


神の国へ行くための便は一日に一回出るか出ないかの超低確率なのだが、それでもまだゆっくりする時間はある

本来、聖人や神しか入ることの許されない神の国だが閻魔大王は何故か入ることを許されている


「せっかく天国に来たんだし、気になるところには行っとくか」


一番最初に頭に浮かんだのは瓶山親子...

あの後無事に再会できたのかがとてつもなく気になる

その次に織田信長と石川五右衛門...

こっちにいる数少ない知り合いだが、また居酒屋まで拉致られて時間がなくなるという展開が簡単に予測できたので、すぐさま無かったことにするが、


キキキキキィィィィィィィィィィィィィィィ!!と、どこかで滅茶苦茶見覚えのあるスポーツカーがヤマシロの前に現れる


「ワハハハハ!また会ったなヤマシロ!」


.....やはり二度あることは三度あるというのは本当らしい




「瓶山?夏紀ちゃんのことか?」


「知ってんの!?」


「おぉ、三日前ナンパしたのだが失敗した相手だ、忘れるわけがない」


「あんた、もう末期だな!」


ヤマシロは驚きが隠せない

身体年齢十歳の子供に手を出すとか...

ヤマシロの中の織田信長像がガラガラと音を立てて綺麗に崩れた瞬間だった


「で、流れるままに乗っちまったが一体どこに向かってんだ?」


もう乗り馴れたスポーツカー:KIPPOUSIの助手席に座るヤマシロは尋ねる

もしも、このまま五右衛門も誘い込んで居酒屋に行こうと言うのであれば、彼は飛び降りてでも逃げるであろう

しかし、


「夏紀ちゃんの家だが?」


さらっと、ストーカー宣言したこの戦国武将は一体どう対処するべきだろうか?


「なんで知ってんの!?」


「いや、儂も行ったことはないがなんせこっちから気を感じるのでな」


「あんた一体何なんだよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!?」


もう常識なんて信じない!とヤマシロは心の中で固く誓う

そんなことは知らないとばかりに信長は更にスピードを上げる

どうやら早く行かないと夏紀の気を見失ってしまうかもしれないらしい


「ヤマシロ、お前夏紀ちゃんとはどういう関係だ?」


「......多分お前の期待してる関係じゃないぞ」


「儂はお前に何の期待もしておらんが?」


「それはそれで酷いな、オイ!」


「それで、どこまでヤッたんだ?」


「だから、一体あんたは何を期待してんだよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」


ヤマシロの叫びはスポーツカーのスピードによってかき消された




その頃、天地の裁判所...


「馬鹿息子が、俺に面倒事押し付けやがって...」


「そう仰らないでください4代目、キリスト様直々のお呼び出しですので断るわけにもいかないでしょう」


「まず、あいつがキリストに呼ばれるほどの何かがあるって時点で気に入らないがな...」


一室で雑務をしながら会話をしている男、4代目閻魔大王ゴクヤマが大きな溜息をつく

このように現閻魔大王がどうしてもの理由で裁判所を開ける際には先代閻魔大王がその時のみ、閻魔大王としての権限と仕事を復帰することになる

もし、代理がいなければまた特殊な手段を使うことにもなるが...


「ヤマシロは閻魔大王としてどうだ?」


「それは私の目で構いませんか?」


「構わん、奴は今ここに居ないからな、蒼の娘」


蒼の娘とは麻稚のことであり、麻稚の父親がゴクヤマに仕えていたことからこのように呼ばれている

麻稚は「そうですねぇ...」としばらく悩んでから、


「正直に言えばまだまだ未熟ですね、ですがあの歳であそこまでコトをこなす部分は素直に凄いと思いますがね」


「.....やはり引退などすべきではなかったか」


「.....今更悔やまれても遅いですよ」


麻稚は呆れ、盛大に溜息をつく

そもそも、この人物の引退は本当に謎が多い

当時、裁判所で彼が引退宣言をしたときそれこそ、二、三日では話題が止まることはなかったくらいだ

しかも、病気を患っているわけでもないのにあの歳での引退...


「ところで蒼の娘よ」


麻稚が思考の海を彷徨っているとゴクヤマが何やら含み笑いを浮かべる


「あのCDはお前の許可は出ておるのか?」


「出てる筈がない!」


これ以上にない位のドヤ顔が決まった

.....何故そこでドヤ顔を決めたのかがよくわからなかったゴクヤマであった



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