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次の段階に備えて...


「最近、5代目のガキが調子に乗っとるらしいな」


「ついでに言えば、その側近の鬼共もな」


「いつから閻魔大王というのは、ここまで堕落したのであろうな?」


「分かっとることを言うなや、3代目の時代からだろ」


「いんや、先代はマシだったがな」


「確かに、問題はあったがまだ閻魔大王としてはマシだったな」


「問題はその息子共だな」


「早めに手を打たねばな」



此処は地獄...

鬼達の共同住まい、麒麟亭から遠く離れた某所にて...

そこには、閻魔大王の下を離れ隠居した年老いた鬼達の住んでいる小屋がある

しかし、年老いたと言っても力は衰えておらず、主に給料をいらないほどもらったのでもういいという鬼も半分くらいいる


「しかし、儂等にはもう何かを言える権限はなかろう?」


「間違ってはいないが、あの頃と比べれば秩序が乱れておろうが、これを放っておけと?」


「一理あるが、それもまた時の流れと共に変わるものだ、いつまでも古い考えを引きずるわけにも行くまい」


「しかし、初代様と2代目様が長い年月をかけて築き上げたルールを崩すわけにもいくまい」


「確かに件の裁判は目に余るものだったな、何せ鬼が発言するのだからな」


「あれだけは許されぬ行為だな」


「しかし、3代目の時代に比べれば幾分マシになったであろう」


「あの時代を比較対象にしては終わりだ、あの時代は荒れているという規模ではなかったろうが」


「それもそうだ、先代はよく持ち直したものだ」


暗い、暗い一室にて蝋燭の火が不気味に揺らめく

鬼達はししおどしの音を聞きながら話を進める

その話も裁判所に届けば大問題にもなりかねない内容ばかりだが


それでも鬼達は話を進める...


たとえ閻魔の怒りを買うことになろうとも...


たとえ地獄で生活ができなくなろうともなさねばならないことがあるのだ


「しかし、死神を使っても成果はなしとはな」


「全くだ、5代目が三途の川で助けた娘の父親をわざわざ殺してやったのにな」


「やはり、あの自由人に頼んだのは間違いだったな」


「だが、実力は確かだ」


「それに、酒以外に金の使い道もないのだから、奴に使っても痛くも痒くもあるまい」


「違いないな」


鬼達は声を揃えて、ワハハハハハハハハハハと豪快に笑う


「では、そろそろ一杯やってお開きにしますかね」


「おいおい、それ天国の酒じゃねぇか、よく手に入ったな」


「色々なコネがあんだよ、対人関係大切だぞ」


「お前の対人関係は、ちと特殊すぎるがな」


「文句いうな、とりあえず飲もう」


「そうだな..」


「さて、それじゃあ、成果はなかったが作戦が成功したということで...」


乾杯!という声と共に蝋燭の火は静かに消えた



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