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不穏なプロローグ

私は誓った


彼女が死んでしまったあの日から


私が過ちを犯してしまったあの日から


彼女との日々が頭を過る



秋、彼女と出会い互いに自己紹介をした

散りゆく紅葉の中で彼女と他愛のない話をした

ある日彼女の家に誘われた

私はするべきことを放ったらかして彼女に会いに行った

私の顔はおそらく紅葉の様に真っ赤だっただろう


冬、彼女と親睦を深めるために白いゲレンデに誘った

降り積もる雪の中で彼女と楽しい時間を過ごした

彼女と共にリフトに乗ったことは未だに覚えている

確か私がスノーボードで彼女はスキーだったな

彼女の肌は雪のように白かったことも忘れない


春、彼女に誘われて大人数で花見に行った

彼女と二人になれないのは残念だったが彼女は楽しそうだった

私の友人、彼女の友人も楽しそうだった

彼女の手作りの料理は美味しかった

舞い散る桜は少々名残おしく感じたが美しかった


梅雨、彼女が突然死んだ

雨が降り自宅へ戻ったとき彼女の友人から連絡があった

彼女が死んだ、と

私は頭が真っ白になった

私は周りの迷惑も考えずひたすら叫んだ

彼女の葬儀には参列したが彼女の両親には軽蔑の視線が向けられた

死因は不明、どうやら病気ではないらしい

ならば自殺?もしくは他殺?

警察の話ではそうではないらしい

まさに原因不明の謎の死だった

ある日彼女の両親から電話があった

話したいことがあるから今すぐ会って欲しいとのことだ

私は彼女の両親のもとへ急ぎ向かった

やはりこの日も雨だった

再会直前に私は彼女の父親に全力で殴られた

娘を殺したのは貴様だろ!と叫ばれた

訳がわからなかった

何故私が殴られたのかもこんな真実でもないことを言われることも

私はひたすら反論した

しかし二人は聞く耳を持たなかった

娘を返せ、その一点張りだった

そして私は彼女の両親とある約束をした

初めは殴られたが説得の末成功した

そして私は約束を果たすため急ぎ足で自宅へ戻った

雨はまだ止む気配はなかった


夏、彼女の両親との約束のため暑い室内に篭っていた

もう何日も寝ていない

もう何日も人と会っていない

時たま彼女の写真を見て彼女を思い出す

そして私は遂に約束を果たすある手掛かりを手に入れる

しかし、それは長い年月を必要とした

最低でも5年...

私はそれでも構わなかった

彼女と彼女の両親との約束を果たすためならば

私は喜んでこの身を捧げよう



そして約束を取り決めた5年後の梅雨

彼女が死んだあの日のように今日は雨だった

でも、もうすぐ、もうすぐで

私と彼女の念願が果たされる


必要なものは揃った

約束を果たす日は近い...



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