表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Hexe Complex  作者:
74/85

Order:74

 軽機動車に設置された50口径重機関銃が咆哮を上げる。散らばる薬莢が石畳に散らばり、乾いた音を立てる。

 お腹に響く重低音を残し、夜の官庁街に吸い込まれていく火線。曳航弾の軌跡は、うねりながら絶え間なく夜闇を引き裂いていた。

 広い通りに散開したオーリウェルのミルバーグ隊は、瓦礫や車の残骸を盾に、街灯の消えた通りの先に向かって間断なく銃撃を加えていた。

 俺もそれに加わる。街路樹を盾にしながらトリガーを引き続ける。

 俺たちの前方には、中規模な騎士団の集団が迫っていた。

『ブフナー! 住民の退避は!』

 無線から響くミルバーグ隊長の怒声。銃声のせいで聞こえにくい。

『もう少しかかりますよ! 数が多すぎる!』

 ブフナー分隊長の怒鳴り声が帰って来る。

『とにかく急げ! CP、CP、こちらオーリウェル隊!』

 くっ……!

 俺は必死に狙いを定め、火球を狙撃する。

 暗闇に爆光が広がり、炎が飛び散る。

 魔術師たちの攻撃も苛烈を極めていた。先程から火球や火炎弾、それに熱光線など、高密度な攻撃術式が絶え間なく押し寄せていた。

 既に着弾した火球の残り火があちこちで燃え盛り、熱光線に焼ききられた車が黒煙を上げていた。通りの左右の建物は吹き飛び、瓦礫と化していた。

 火炎弾が1発、俺の至近に着弾する。

「うくっ」

 俺は顔を背け、爆ぜる炎から身を守る。しかし直ぐ様ライフルを構え直し、銃撃を再開した。

 奴らをこれ以上行かせる訳にはいかない……!

 俺たちの背後には、未だに避難を終えていない民間人達がいるのだ。

 俺たちが抜かれれば、彼らが戦闘に巻き込まれてしまう可能性がある。

 現在首都警察とブフナー分隊が避難誘導にあたっているが、多数の住民の完全避難がそう簡単に完了するとも思えない。

 ならば、今はできるだけ騎士団を食い止め、時間を稼ぐしかないのだ!

 闇に吸い込まれていく5.56ミリ弾。

 俺は空になった弾倉を落とし、マガジンポーチから引き抜いた新しい弾倉をライフルにセットする。

 事態が動いたのは、30分ほど前からだった。

 騎士団の攻勢が変わった。

 それまでは街の外延部から議事堂がある中心部や各省庁に向かって進撃していた騎士団が、今度は首都外延部の市街地に向かって反転、侵攻し始めたのだ。

 奴らの狙いが何なのかはわからない。

 攻撃対象を民間施設に切り替えたのか、又は官公庁がもぬけの空だったのを察知し、別目標に向かっているのか。それとも、民間人を人質にしようとしているのか。

 いずれにせよ軍警部隊は、官公庁の防衛時よりも広範囲な防衛線を引かなくてはならなくなった。さらには、事前に発令されていた退避勧告範囲より外の民間人が避難する時間を確保しなければならなくなったのだ。

 彼らを守りつつ、これ以上の騎士団の侵攻を食い止める。

 全軍警部隊が、そんな厳しい状況に陥りつつあった。

 俺もミルバーグ隊長たちに合流し、戦線の維持に協力していた。

 魔術に焼かれたアパートメントと、夫を失い、泣き崩れていたアンネさんの姿が脳裏をよぎる。

 ……これ以上、罪のない家族たちを悲しませたりしない。

 俺は唇を噛み締めて再び射撃姿勢をとった。

 その瞬間。

 騎士団部隊が潜む前方の闇の中に、チラリと光が煌めくのが見えた。

『魔術が来るぞ。総員警戒!』

 ミルバーグ隊長が叫ぶ。

 しかし飛来して来るのは、今までと変わらず火球や火炎弾。氷の矢や雷球という汎用攻撃術式ばかりだった。

 ……なんだ。

 嫌な予感がする。

 その時。

 俺は魔素の反応を捉える。

「上だ!」

 叫びながら、俺は銃口を振り上げた。

 くっ、間に合わない……!

 直上から飛来する光。

 それはまるで、星が降ってくる様だった。

「退避! 総員退避!」

 ミルバーグ隊長が絶叫する。

 俺は石畳を蹴って脇の細い路地に飛び込んだ。

 その刹那。

「がああっ!」

「ぐはっ!」

「た、助けっ……!」

「うぁああああっ!

 悲鳴が上がる。

 振り返ると、先程まで俺たちが布陣していた通りに無数の矢が降り注いでいた。

 魔素で編まれた光の矢だ……。

 禍々しく光。

 それが矢の形となり、雨の様に通りを覆い尽くしていた。

 光の矢の斉射が終わる。

 その後には、逃げ遅れた隊員達が、無残にも光の矢に貫かれている光景が広がっていた。

 あちこちから苦悶の声があがる。

 広域制圧術式……!

 敵の中に、強力な魔術師がいる。

「負傷者を回収しろ。前方警戒を怠るな!」

 ミルバーグ隊長の指示が飛ぶ。

 退避していた隊員たちが再び配置に付きながら、仲間たちの救護に入った。俺もライフルを構えながら、味方を救出する仲間のカバーに入った。

「ゴードン、50口径に付け!」

 ミルバーグ隊長が手を振りながら声を上げた。

 とっさに回避出来なかったのだろう。軽機動車のガンナーが光の矢に倒れていた。

 代わりの隊員が倒れた仲間を車内に退き戻し、配置に就いた。重機関銃のコッキングレバーを引き、射撃を再開する。

「もう一度あれを撃たれれればマズい。やむを得ん。ブフナーの所まで後退する」

 ミルバーグ隊長が俺を一瞥した。

 ついて来いという事だろう。

 しかし。

 俺はちらと上を見た。

 真っ暗な夜空を背景に立ち並ぶビル群。

 その屋上。

 俺はそちらに、慣れ親しんだ巨大な魔素を感じる。

 ……よし。

 俺はとととっとミルバーグ隊長に駆け寄り、指示を出している隊長の袖を引っ張った。

「隊長。ここは前進しましょう」

 俺はキッと長身の隊長を見上げた。

 ここで下がれば、敵を勢い付かせてしまう。もしかしたらこのまま押し込まれるかもしれない。

 しかし今こちらから仕掛けてやれば、光の矢で俺たちにダメージを与えたと思っているだろう奴らの不意を突けるかもしれない。

 ミルバーグ隊長が難しい顔をする。

「大丈夫です」

 しかし俺は、微笑みながらコクリと頷いて見せた。

 鋭い目でじっと俺を見下ろすミルバーグ隊長。

 一瞬の間の後。

 ミルバーグ隊長は、ガシッと俺の頭に手を置いた。

 む。

「信じよう」

 そして振り返ると声を上げた。

「オコナー、ライディース、先頭に立て。各自前進! 魔術師どもを押し返す!」

 隊列を組み、素早く動き始めるオーリウェル隊。

 俺はミルバーグ隊長にさっと敬礼すると、ライフルを構えながら走り出した。

 互いを援護しながら、魔術攻撃をかいくぐり、隊が前進する。

 直ぐに仮面と胸甲鎧を身に付けた魔術師集団を目視範囲に捉えた。街灯は消えていたが、魔術や爆発の残り火で視界は確保されていた。

 魔術師たちの後ろには、大きな鶏冠の全身鎧も見える。

 エーレクライトだ。

 隊列を組んで俺たちを迎え撃つ魔術師たち。

 その時、再び煌めく魔術の光が見えた。

 あの鶏冠のエーレクライトの魔術だ

『総員警戒!』

 ミルバーグ隊長が叫ぶ。

 そして俺たちの頭上に、再び無数の光が現出した。

 夜空を埋め尽くす光の矢は、まるで瞬く星々にも見える。しかしその全てが、俺たちを射抜かんとする攻撃術式の光なのだ。

「くそっ!」

 誰かが呻いた。

 しかし。

 大丈夫……!

 次の瞬間。

 夜空に青い稲妻が走った。

 天から降り注ぐ稲妻ではない。

 ビルの屋上から天に向かって打ち上げられた稲妻だ。

 無数の青い光の筋が、夜空全体に幾何学模様を描きながら広がる。

 その先端は、個々に降り注ぐ光の矢を迎撃。全てを撃墜していく。

 やった!

 俺はニヤリと笑った。

 ビルの屋上に辿り着いたアオイが、迎撃してくれたのだ。

 頭上に広がる美しく神秘的でさえある光景に、周囲の隊員たちがぽかんと空を見上げていた。それは、魔術師たちも同じだった。

『今だ! 総員突貫!』

 一瞬の静寂の後。

 ミルバーグ隊長が吠える。

 それに合わせて、部隊全体が魔術師集団へと襲い掛かった。

 マズルフラッシュが煌めく。

 フラググレネードが炸裂する。

 タイミングを失した敵の反撃は、僅かだった。

 重機関銃がエーレクライトの動きを封じ込める。

 俺はフルオート射撃で敵防御場を突破すると、混乱する魔術師の渦中に飛び込んだ。



 銃撃を受けたのか、魔術を受けたのか。

 ドアが吹き飛んでしまったレンガ造りの事務所らしき建物。その入り口の階段に腰掛けた俺は、ライフルを脇に立てかけながらほうっと息を吐いた。

 白くなった息が天に立ち上って消えていく。

 動き回っていると気が付かなかったが、夜が更けるつれて益々気温が下がっている気がする。よく見ると空もどんよりと曇っている。

 首都はオーリウェルより緯度も高いし、もしかして雪でも降って来るのだろうか……。

「ウィル」

 夜空を見上げていた俺が目を戻すと、ライフルを携えたミルバーグ隊長とブフナー分隊長がこちらに歩いて来るところだった。

 立ち上がろうとした俺を、ミルバーグ隊長が止める。

「敵を制圧出来たおかげで、住民の避難も何とか終わった」

「後は市警に任せておけば大丈夫だろう」

 ミルバーグ隊長の台詞を引き継いだブフナー分隊長が、ニヤリと笑いながら頷いた。

「攻勢のタイミングはいい判断だった。ウィル」

 ミルバーグ隊長が微かに笑いながら頷いた。

 褒められた俺はふわっと微笑んでしまうが、直ぐに表情を正した。

 隊長たちの背後では、制圧した魔術師の拘束、収容が行われている。同時に、負傷した仲間の救護も行われていた。

 民間人に迫る騎士団の一角は防いだが、首都全域で避難が完了した訳ではない。まだまだ予断を許さない状況である事には違いないのだ。

 俺やオーリウェル隊にしても、アオイの援護が間に合わなければ、後退を余儀なくされていただろう。負傷した民間人の手当てに回っていたアオイが駆けつけてくれなければ……。

 そのアオイは、今も俺の背後のビルの上にいる筈だ。

 俺は眉をひそめる。

 むむっと押し黙りながら顎先に手をやり、考える。

「ミルバーグ隊長。1つ、お尋ねしてもいいですか」

「……ああ、何だ」

 俺をじっと見ていたミルバーグ隊長が、咳払いをした。

「ここまで戦闘が激化しても、騎士団はまだ引きません。被害も大きくなっています。増援とか……軍の治安出動はないんでしょうか」

 俺の台詞を聞いたミルバーグ隊長が、表情を引き締めた。

 軍警とか憲兵隊と呼ばれ、相応の武力は保持していても、軍警は所詮治安維持の為の執行部隊なのだ。戦争をするための軍隊とは、その規模が違う。

 そして現在のこの状況は、既に戦争と呼べるものの様に思えた。

 管轄や職権がどうのという話よりも、現に出てしまっている被害を最小限に止めるためには、軍の派遣なりがあってもいいと思うのだが……。

「近隣の軍警には全隊非常召集が掛かっている。増援は来る筈だ。しかし、陸軍の方はわからんな」

 ミルバーグ隊長が腕を組んだ。

「出動待機ぐらいは掛かっているだろうが……」

 ミルバーグ隊長は、未だ黒煙の立ち上る官庁街中心部を見た。

「あるいは政府は、これを戦争にしたくないのかもしれんな」

 呟くようなミルバーグ隊長の言葉に、俺は目を伏せて眉をひそめた。

 ……そうか。

 どんなに大規模な攻撃でも、軍警が対処している分にはそれは大掛かりな魔術師テロでしかない。しかしいざ正規軍を動かせば、それはもう内乱と呼べるものになってしまう。

 対外的にも対騎士団的にも、それは不味いのだろう。

 ……そんな体面よりも、まずは守らなければならないものがある筈なのに。

「魔術師共もやたらしつこいしな。政府のお偉方を攻撃出来なかった時点で退けばいいものを」

 ブフナー分隊長が他の隊員から紙コップと水筒を受け取りながら不満を口にした。

 確かにそうだ。

 首都攻撃が事前に露見した時点で、首相以下政府要人や中央官庁の役人たちは既に退避済みなのだ。

 これでは、騎士団の現政府打倒という目標は果たせない。

 それにもかかわらずこうして戦闘を継続すれば、奴らにとって貴重な戦力であるエーレクライトや魔術師を悪戯に消耗するだけではないのだろうか。

 ……軍警としては、騎士団を一網打尽に出来るチャンスな訳だが。

 しかし軍警にも少なくない被害者が出ている。

 負傷者はもちろん、殉職者だって……。

 既にオーリウェル隊においても、2名の犠牲者が出ていた。負傷者はさらに沢山いる。

「どうやらまだ先は長そうだ。ウィルちゃんもこれ飲んで温まった方がいい」

 ブフナー分隊長が、湯気の立ち上る真っ黒な液体を紙コップに注いでくれた。

 コーヒーの芳ばしい香がふわりと周囲に広がった。

「ブラックだけど飲めるか、ウィルちゃん。砂糖やミルクは無いんだ」

 ブフナー分隊長が意地の悪い笑みを浮かべる。

 む。

 子供でもあるまいし……。

「いただきます」

 少し唇を尖らせてそう返事をした俺は、湯気の立ちのぼる紙コップを受け取った。

 受け取ってから少し考える。

「もう一杯いただけませんか?」

 俺は、おずおずとブフナー分隊長を上目遣いに見上げた。

「どうした、ウィル」

ミルバーグ隊長がこちらを見る。

「あ、はい。あの、姉さんの、アオイの分も持って行ってあげようかなって思って……」

 俺は少し気恥ずかしくなって、ははっと笑みを浮かべた。

「きっと寒がってるかなって」

 アオイ、目立つから、魔女モードのままではミルバーグ隊長たちと合流出来ないのだ。

 俺は、何故か微笑ましそうにこちらを見るブフナー分隊長から紙コップをもう一つ受け取った。

 先ほどからずっと魔術を使い続けているのだ。アオイもきっと、疲れているだろう。

 む。

 しまった。

 両手が塞がってはライフルを取れない。

 むむ……。

 一瞬固まっていると、ミルバーグ隊長が「持っていよう」と紙コップを預かってくれた。

 俺はその間にライフルのスリングを首に掛ける。

「ありがとうございます」

 俺はお礼を言って再び紙コップを受け取った。

「……ウィルは、あの伯爵の事を考えていると柔らかい表情になるな」

 ミルバーグ隊長がぼそっと呟いた。

「そうだなぁ。うん、そうだ。しかめっ面よりその方が可愛いよ」

 ブフナー分隊長がそれに追随しながら軽薄に笑った。

 俺は紙コップを受け取りながら、眉をひそめた。

 そう、なのだろうか……。

「ふっ、そんな格好して銃を持っていなければ、立派な女学生だよ。表情や仕草なんかも、もうすっかりな」

 ミルバーグ隊長も笑う。しかし、直ぐにすっと笑みを消した。

「この先何が出てくるかわからん。十分に注意しろ。無事にオーリウェルに戻ったら、また学校に行かなければならんのだからな」

 そしてグローブに包まれた大きな手を、俺の頭にぽんっと乗せた。

「了解です」

 俺は紙コップを持ちながら頭を下げて敬礼する。

 ブフナー分隊長にも挨拶して、俺はそのままオーリウェル隊から離れる様に細い裏路地に入った。

 紙コップのコーヒーをこぼさない様に。

 学校、聖フィーナにまた通う、か。

 この騒動が治まれば、そんな平和な日常が再び戻って来るのだろうか。

 俺は立ち止まり、目を伏せる。

 ……というか、聖フィーナに通うのが前提になっている。

 うむむ……。

 でもそれも、悪くない、か……。

「ウィル」

「ひゃっ」

 突然背後から声を掛けられる。

 びくりとした俺が振り返ると、そこにはいつの間にアオイが立っていた。

 アオイの事や聖フィーナの事を考えていた俺は、不意を突かれ、カッと顔が熱くなってしまった。

 何でもない、何でもないと自分に言い聞かせ、俺はキッと表情を正した。

 そんな俺を、アオイはきょとんとしながら少し不思議そうに見ていた。



 温かいコーヒーでほっと一息吐いた後。

 俺とアオイは、再び夜の首都を駆け回る。

 未だ周囲からは銃声や爆発音が響いていたが、戦況は徐々に軍警側が有利になりつつあるようだった。

 個人の戦力では圧倒的な力を誇る魔術師、それにエーレクライトだったが、態勢を立て直し、十分な支援のもとに組織的な迎撃を行う軍警部隊を前に、徐々に押し返されつつあった。

 才能や魔素適性などに左右される魔術を操る騎士団。

 それに対して、統一された近代兵器によって安定した戦力を擁する軍警。

 双方が本格的にぶつかれば、一時は圧倒されても、やがて追いつめされるのは騎士団の側なのだ。

 まるで、人々が力で支配する王侯貴族の圧政から自由を勝ち得た、今日までの歴史の様に。

 俺とアオイは、騎士団の制圧を軍警部隊に任せ、避難する人達の支援に向かった。

 逃げ惑う人達の避難誘導。負傷者の介抱。避難民の護衛や市警や救急隊の現場誘導など、俺たちにも出来る事は沢山あった。

 軍警が主導権を握りつつあるとはいえ、現場の安全が確保された訳ではない。敗走する魔術師が、軍警の網をかいくぐって民間人たちに対する場面に遭遇する事もあった。

 俺は、民間人を護衛しながらそんな魔術師を制圧していく。敵集団ならまだしも、個人や少数で動く魔術師に対するには、軍警部隊よりも小回りのきく俺やアオイの方が適していた。

 何度目かのそんな遭遇戦を終えた後、俺は深く息を吐いた。汗で張り付いた髪を耳に掛ける。

 白くなった息が広がり、消えていく。

 銃口を下げた俺は、今のうちに弾倉を交換しておく事にした。ミルバーグ隊長が補給を請け負ってくれるので、残弾を気にせずにいられるのがありがたかった。

 俺は小走りに狭い路地を通り抜け、小さな広場に戻った。そこには、避難中の2組の家族と彼らの護衛をするアオイが待っていた。

「クリアだ」

 俺はアオイに頷き掛ける。そして、暗い表情で座り込む人々を見回した。

「さぁ、みなさん。行きましょう。3ブロック先の大通りにバスが待ってますから」

 俺の声に渋々立ち上がる人達。

 無理もない。

 こんな寒い夜中に、突然家を捨てて逃げ出さなければならなくなったのだ。

 彼らの中には、魔女然とした格好のアオイに露骨に憎悪の視線を向ける者もいた。

 魔術師を恨むその気持ちは、わからないでもない。

 しかし、少し悲しくなる。

 人々の為に頑張る俺の姉が、そんな風に見られるのは悲しかった。

 俺が先導する家族たちは、夜の首都を懸命に走った。

 街路灯が消え、真っ暗になってしまった裏路地に足音が響く。

 いつどこから魔術師や魔術が飛んでくるかもしらないという緊張感から、誰一人口を開くことはない。誰もが悲壮な表情を浮かべていた。

 その中には、小学生くらいか、小さな女の子もいた。

 俺は路地の辻や角を警戒しながら、その女の子にふわりと笑顔を向ける。

 女の子は不安そうに俺を見上げていた。

 何とか俺たちは、首都警察が集まる拠点まで無事に辿り着く事が出来た。

 市警のバスに乗り込む彼らを、俺はふっと息を吐いて見送った。

 バスの窓から、先ほどの女の子が俺に向かっておずおずと手を振っていた。

 俺は、微笑みながら手を振り返した。

「よかったな」

 俺の隣に立ったアオイも、柔らかな笑みを浮かべていた。

「うん。よかった」

 俺がコクリと頷くと、アオイがマントを翻して歩き出す。俺もその後にについて行く。

「アオイ、大丈夫か?」

 俺は少し前に出て、はらりとこぼれる髪を押さえながらアオイの顔を覗き込んだ。

 アオイは俺や軍警の援護し続けてくれている。きっと魔素の消費も激しい筈だ。その上、魔術師に攻撃されている現在の状況ではアオイへの風当たりが強い。精神的な負担も小さくない筈だ。

 アオイは、僅かに目を細めて俺を見た。

「大丈夫さ。ウィルが一緒にいてくれるのだ」

 そして、ぱっと輝く様な笑顔を浮かべるアオイ。

「妹が一緒なのだ。姉として頑張らなければな」

 む。

 思わず俺が押し黙ると、アオイは声を上げて軽く笑った。

 ……大丈夫なら良いのだが。

 俺はほっと息を吐き、小走りにアオイの前に出た。

「ウィル。あまり走ると転ぶぞ」

 転ばない。

 子供ではないのだから。

 俺はアオイを睨もうと振り返った。

 その時。

『至急、至急! 軍警CPより展開中の全部隊へ』

 無線からオペレーターの声が響いた。

 その緊迫した雰囲気に、俺はヘッドセットを押さえて通信に集中する。

『新たな魔術師部隊の出現を確認。ランデントーア通り。議事堂の正面。エーレクライトだ。オーヴァル隊が既に会敵。強力な攻撃を受けている。付近の部隊は、至急急行せよ。繰り返す。新たなエーレクライトは、ランデントーア通りを東進。議事堂に向かっている』

 俺は奥歯をぎりっと噛み締めた。

 ここに来て敵増援……!

 そして、エーレクライト。

 首都本部部隊であるオーヴァル隊圧倒するとは、かなりの戦力に違いない。

 まさか、これが本命か……?

 そんな考えがちらりと脳裏をよぎる。

 もしそうなら、ここまで姿を見せていないジーク先生も……。

「アオイ。新手のエーレクライトが出た」

 俺は短くアオイに告げる。

 既に笑顔を消し表情を引き締めたアオイが、俺を見て頷いた。そして直ぐに転移術式の詠唱に入った。

 術式が発動する。

 微かな浮遊感の後、俺とアオイは首都を見渡す夜空の中にいた。

 炎と煙に包まれた大都市の一角。光の帯のような街灯に照らし出された大通りの一部が、ぽっかりと口を開けた大穴の様に黒く闇に沈んでいた。

 頭の中の首都の地図を思い出す。

 あれだ。

 俺はアオイと視線を交わす。

 頷いたアオイが、再び転移に入った。

 次の瞬間、俺とアオイは、街灯の消えた広い通りに立っていた。消失していた体の重みが返ってくる。

 すっと目を開いた俺は、思わず息を呑んだ。

 明かりの消えたランデントーア通りは、無残にも破壊し尽くされていた。

 街路樹や街灯はことごとくなぎ倒され、通りの周囲の建物は軒並み崩れさっている。車道のアスファルトは砕かれ、めくり上がり、歩道の石畳は所々が粉々に粉砕されていた。そしてその路上には、未だ炎がくすぶっているた軽機動車や民間車両が横倒しになっていた。一部、ヘリの残骸らしきものも見える。

 これは……。

 俺は顔を強ばらせながらブルパップカービンを構え、警戒態勢を取る。

「アオイ、援護を頼む」

「……ウィル。注意するのだ」

 アオイが心配そうに俺を見た。俺はそちらを一瞥し、コクリと頷いた。

 再び転移術式を唱え、アオイが消えた。

 アオイは人目に付かない場所から俺を支援してくれることになっていた。魔術師であるアオイが俺と一緒にいては、他の軍警部隊から誤って攻撃されかねないからだ。

 独りになった俺は、ほうっと白い息を吐き、不気味な暗闇が広がるランデントーア通りの奧へと駆け出した。



 エンジンを響かせ、俺の頭上をシュバルツフォーゲルヘリが通過する。

 俺は巻き上がるダウンウォシュに髪を押さえ、それを見送る。一瞬、ミニガンを構えたドアガンナーが見えた気がした。

 オーヴァル隊が要請した航空支援だろうか。

 その機影が、俺が目指す通りの先で旋回を開始した。

 あそこに敵がいるのか……。

 そう思った瞬間。

 地上から白い光が伸びる。

 弧を描いた光は、一瞬ヘリを通過する。

「なっ……」

 俺は目を見開き、愕然とした。

 空中でヘリが2つに別れる。

 両断、されたのだ。

 鉄塊となって落下するシュバルツフォーゲルヘリ。続いてその落下地点から、爆発が巻き起こった。

 爆炎が、周囲を照らし出す。

 その炎の中に、それは現れた。

 遠目に見れば、それは騎兵の姿をしていた。

 全身板金鎧を身に付けた巨躯が、馬鎧を身に付けた巨大な馬に跨っていた。

 その手には、先ほどヘリを撃墜したのと同じ白い光があった。騎兵の姿に相応しく、長大な馬上槍の形に収束している。

 今までのエーレクライトの様に、人外じみた特異な部分は見受けられない。

 しかし。

 その騎兵が放つ圧倒的な威圧感。そして身を焦がすような攻撃的な魔素の気配に、俺は思わず気圧されてしまっていた。

 足が竦む。

 背筋がざわざわとして、うなじの毛が逆立つような気がした。

 冷たい汗が頬を流れ落ちた。

 気を抜くと、知らず知らずの内に後退ってしまいそうだ。

 騎兵の鎧の周囲には、倒れ伏す多数の軍警隊員たちの姿が見えた。

 ……オーヴァル隊はほぼ全滅。

 他に敵の姿や死体は見えない。どうやら出現したのは大規模魔術師部隊ではない様だ。

 恐らくは、この馬上のエーレクライト、単騎。

 俺は自分を落ち着かせるために、大きく深呼吸した。

 ジーク先生のエーレクライトではない様だ。

 俺は唇を噛み締め、ライフルのグリップを握り直した。

 好き勝手にこんなエーレクライトに暴れられれば、首都は壊滅してしまうかもしれない。

 他の部隊が集結するまで、何とか足止めしなければ……。

 俺は震える足に力を込め、歯を食いしばり、走り出した。

 大丈夫。

 俺には身体強化術式とアオイの援護があるのだ。

 どんな強敵だろうと、後れはとらない……!

 俺は髪をなびかせ、低い姿勢から一気にトップスピードに入る。

 夜陰に紛れる俺を、奴はまだ捉えていない筈。

 俺はブルパップカービンの有効射程圏に入ると、即座にニーリングポジションでライフルを構えた。

 不意打ちからの狙撃。

 防御は出来ない筈だ。

 馬首巡らせ、議事堂の方へと歩み出すエーレクライト。

 俺はその鎧をホロサイトに収め、素早くトリガーを引き絞った。

 3連射。

 銃声が響く。

 5.56弾が鎧に突き刺さる。

 そう思った刹那。

 直前で銃弾が弾かれた。

 跳弾した弾丸が石畳を削る。

 防御場!

 馬が首を巡らせ、ギロリとこちらを睨んだ。

 その目に光はない。

 そこで初めて俺は気が付いた。

 全身鎧が跨っているのは、本物の馬ではない。

 馬型の鎧……?

「まだ残っておったか、羽虫」

 光の槍を携えたエーレクライトの無機質な面防が俺を捉えた。

 その兜には、獅子の意匠が施されていた。見覚えのある鎧だ。

 あの犯行声明の演説をしていたエーレクライトか……?

 くっ……。

 俺は場所を変える為に走り出す。牽制の為に銃撃を加えながら。今度は馬の方を狙う。

 先ずは足を止めなければ。

 しかし銃弾は、やはりあっさりと防御場に弾かれた。

 防御が早い。

 詠唱している風もない。

 これがあのエーレクライトの能力か……!

「guiok llweg igddus dq」

俺に向かって手をかざしたエーレクライトが詠唱する。その手から、妖しく緑に発光する鎖が現れ、俺に迫った。

 前に跳ぶ。

 鎖が地面に突き刺さる。

 僅かに残った石畳が砕かれ、土煙が巻き起こる。

 さらに、着地のタイミングで別の鎖が伸びて来る。

 俺は片手で保持したライフルでその鎖を迎撃。

 着地と同時に全身のバネを使ってバック転。

 素早く体を起こして、馬上のエーレクライトにフルオート射撃を加える。

 不安定な態勢からでも、俺はその防御場の結節点を貫いた。

 乾いた音を立てて防御場が崩れ去るのがわかった。

 このタイミング……!

「ぬう!」

 鎧が呻く。

 光が射す。

 青い光。

 アオイの魔術の煌めきだ!

 遠距離からの狙撃。

 膨大な魔素を秘めた光が1条に収束し、騎兵のエーレクライトを直撃した。

 青の光が周囲に拡散する。

 飛び散った青い光が、周囲の瓦礫を破壊して行く。

 防がれた?

 アオイの一撃が……。

 しかし、ならばっ!

 俺はアオイの光線を防いでいるエーレクライトの背後に回り込む様に移動しながら、トリガーを引いた。

 俺の走った後に薬莢が散らばり、乾いた音を立てる。

 しかしやはり銃弾は防がれる。

 俺の方を見ているのは光のない目をした馬だ。

 鎧の方はアオイの魔術を防いでいる真っ最中だ。

 全周囲防御?

 いや……。

 まさか馬が防御場を展開しているのか?

 青の光が治まる。

 アオイの長距離光線が終わる。

 そのタイミングで腰からグレネードを取り出した俺は、ピンを抜いて馬の足元に投げつけた。

 素早く後退し、エーレクライトから距離を取る。そして俺は、横転している車の影に身を隠した。

 グレネードが炸裂する。

 しかし騎兵のエーレクライトにダメージはない様だ。

「ただの羽虫かと思えば、どうやら同胞がおるな」

 鎧の低い声が響き渡った。

 はぁ、はぁ、はぁ……。

 俺は息を整えながら弾倉を交換する。

 俺の攻撃は通らない。

 アオイの魔術まで防がれた。

 ……しかし。

 足止めには成功している。

 このまま時間を稼いで、軍警部隊が来るまで……。

 その瞬間。

 背筋に冷たいものが走った。

 押し寄せる膨大な魔素のプレッシャー。

「……くっ!」

 俺はとっさに横に飛んだ。

 そのすぐ側を、弧を描いた白い光が擦過する。

 先ほどまで俺が隠れていた車の残骸が、一瞬にして真っ二つに切断されていた。

 そして僅かな間の後。

 切断された車が爆発した。

 俺はその衝撃に吹き飛ばされる。そのまま地面に打ちつけられ、地面を転がる。

 うぐ……。

 爆発の衝撃か、地面に打ち据えられた衝撃か、全身に走る痛みに一瞬息が出来なくなる。

 しかし、敵の前で倒れている訳にはいかない。

 俺は歯を食いしばり、体を起こした。そして何とかライフルを構えた。

 吹き抜ける風に、はらりと髪が揺れた。

 俺は、炎に照らし出された馬上のエーレクライトを睨み付ける。

 振り切った光の槍をゆっくりと引き戻す獅子のエーレクライトは、無機質な面防で俺を睥睨していた。

 その俺の隣に、タンっと足音が響いた。

 そちらを一瞥すると、転移術式で跳んで来たアオイが立っていた。

 ……遠距離からの支援だけで対応出来る相手ではないと考えたのだろう。

 俺とアオイは、2人並んで獅子のエーレクライトと対峙した。

「ふむ。卿はオーリウェルのエーレルト伯爵とお見受けする」

 獅子の鎧がアオイを見据えた。

「……ヴェーランド侯爵様でよろしいでしょうか。お初にお目にかかります」

 アオイが感情の籠もらない平板な声で答えた。

 ヴェーランド侯爵家。

 俺も聞いた事がある。貴族院に議席を持つ大貴族だ。騎士団との強い関係も噂される家柄だったが、その侯爵が自ら出て来たのか。

「エーレルト伯と銃使いの少女。なるほど。お前たちがファーレンクロイツ卿が言っていた者たちか」

 ドキリとする。

 ジーク先生が……。

「ふむ。確かに勇ましい少女だ。その凛とした闘志は心地よい。しかし、許せ。今はお前たちの相手をしている時間はない」

 獅子のエーレクライトは微かに笑った様だった。俺の方を見て。

「ヴェーランドさま。この先は通せません」

 アオイは尖り帽子の下から馬上の鎧を睨みつけた。その声にも眼差しにも、微かな怒りが滲んでいた。

 いつもクールなアオイには珍しい。

 しかし俺には、アオイの気持ちがよく分かった。

 軍警とぶつかり、倒れる魔術師たちを悲しい目で見つめ、魔術攻撃の被害にあった人々を沈痛な面持ちで見ていたアオイ。

 明確に言葉には現さなくとも、アオイは魔術で誰かが不幸になっているこの状況を深く憂いているのだ。

「この様な事を引き起こし、この様な事に魔術を行使して、あなた方は何をなそうと言うのですか。何がなせると言うのですか」

 アオイの言葉に、しかし獅子のエーレクライトは反応を示さない。

「お前たちに退路は無いぞ。大人しく投降しろ」

 俺は銃口を向けながら鋭く声を上げた。

「ふっ」

 エーレクライトが笑う。

「もとより引く気などないのだよ、お嬢さん方。我らには大儀がある。この身を賭して成さねばならない大儀が、な」

 俺はぎゅっと眉をひそめた。

「こんな被害を出して、こんなに罪のない人々を犠牲にし、それよりも重要な目的なんか、ない……!」

 俺はエーレクライトを睨み付け、思わずそんな言葉をぶつけていた。

「国は民の為にある」

 しかし獅子のエーレクライトは、俺の言葉など無視して静かにそう続けた。

「しかし同時に、民は国の為にある。民族。伝統。文化。民が当たり前に享受しているそれらは、国という枠組みによって守られているのだ。それは、我らの父祖が血の代償に手に入れ、守り抜いてきた物なのだ。我々は、その国を守らなければならない。卑しい蛮族からな。その聖務の為ならば、多少の犠牲はやむを得ないのだ。我ら自身も含めてな」

 覚悟……。

 ルストシュタットの古城でディッセルナー伯爵が見せたのと同じ、自らの命を犠牲にしてまで目的を果たそうとする覚悟。

「……どうして」

 その覚悟と、世の中を良くしたいという強い思いがあるのなら。

 それならば、もっと別の方法だってあった筈だ。

 どうして人が傷つかなければならないのだ。

 どうして悲しむ家族が生み出されなければならないのだ。

「……どうして」

 俺はライフルを構えながら、消え入る様な小さな声で呟いていた。

「魔術を人が悲しむ事に使ってはいけません。それでは、悲惨な結果しか生まない」

 アオイが静かに、しかし怒りを秘めた言葉を投げる。

「青いな、エーレルト卿。違う。我々の魔術は、民の過ちを正し、民を支配し、民を導くための尊い力だ。だからこそ、我らが立たなければならぬのだ。この力を持って、貴族たる者の責務を果たす」

 馬上のエーレクライトが光の槍を掲げた。

 俺はさっとアオイの前に出た。

「そんな事、認められない! 沢山の人を悲しませて、そんな事っ!」

 視界が滲む。

 歯を食いしばって涙をこらえる。

 怒りとも悲しみともつかない色々な感情が溢れて来る。

 それでも俺は、目を逸らさず、キッとエーレクライトを睨み付けた。

 ただ、真っ直ぐに。 

「ヴェーランドさま。ここは通せません。私たち姉妹にも、守らなければならないものがあります」

 アオイが俺の隣に並びながら、ちらりとこちらを一瞥した。

 視線が交わる瞬間、コクリとアオイが頷いた。

「少女といえども手加減はせぬ。退く道理もない」

 獅子のエーレクライトは低い声でそう告げると、手綱を引いて馬首を巡らせた。

 俺はホロサイトのレティクルに獅子の鎧を捉える。

 アオイが黒マントを割いて腕を突き出した。

 獅子のエーレクライトは大きく光の槍を振った。

「押し通らせてもらう!」

 鎧が吠える。

「行かせない!」

 俺も叫んだ。

 巨大な馬蹄が地を蹴った。

 俺は歯を食いしばり、その騎兵に向かってトリガーを引いた。

 人気のない真夜中の大通りに、銃声が響く。


 首都決戦中。

 読んでいただき、ありがとうございました!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ