表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/2

第零話Ⅰ 十年前

皆さん、お久しぶりです。

どさんこ侍です。

さて、今回は第零話、実質二話目という事で、気合を入れて書いたら自分としては

とても長くなってしまいました。

それでも、気軽に、気長に読んでくれたら嬉しいです。

つーわけで、本編スタート!!!

「ごめん、待っちゃった?」                                  

彼女の問いに津軽第八高等学校三年 倉崎一輝くらさきいつきは、いいや、と答える。                                                     「そう、?だったらよかった。じゃあ行こっか。」                         


                                               


それでさあ、真子がなんか知らないけど、そこにあったバナナの皮を踏んでこけたんだよね。    ・・・ってきいてる?」                                                                                  「ああ 聴いてる聴いてる。バナナで真子がこけた・・ん・・だ・・ろ?」                                                             同じく一年の彼女=坂峰結亜さかみねゆあに突然、聞かれて少年は、あわてて答える。                                                     だが、その結亜の上目づかいの表情が魅惑的で、思わず語尾がとぎれとぎれになってしまった。                                                



                                     


そんな他愛のない事を話ながら通学路を歩くこと十数分、津軽ニューブリッチのほぼ中央たどり着いた 二人はふと、足を止めて海の方を向いた。                                                                          「綺麗だね」                                                                                         時刻は午後五時半。                                      

今、まさに沈みかけている夕日を見てまず口を開いたのは、結亜だった。             

「ああ」                                           

橋下には、落下の途中に剥がれ落ちたグレープの破片が墜落した旧青森湾、今の津軽湾の復興作業を

している、MFを使用する特殊自衛隊と、湾岸警備隊の人たちとMFがあったのだが、夕日が沈みゆく

光景は、それでも一輝の目には美しく映った。

その夕日を見て、一輝は、決心した。




もうちょい、くそっ、あともうちょい

自分の手と、結亜の手の距離は、十センチも無いだろう。

その手を握ろうとすればすぐにでも握られる距離だが、いざやってみるとなると、思うように行かない。

手が鉛のように重たい。

ああ、もう、クソッ、こんなこと一気にやれば済むことだろうが、行くぞ俺、行くぞ倉崎一輝。

これが、彼にとってのファイナル・アンサーだった。

自らの重たい手を、結亜に見つからないように軽く一回叩き、気合を注入する。

そして、一気に彼女の、色白の華奢な手を握り締めた。



「ごめん、びっくりさせたかな」                           

一瞬体がびくっとするのが分かる。

しかし、すぐに結亜は、こちらを向いた。

「ど、どう、した、の?いきなり・・」

「う・うん、あの、さぁ」

ここまでは言えたが、次に言おうとしている言葉が、なかなか言い出せない。

顔が熱い。

たぶん、赤くなってきているのだろう。

こういう時、夕日の光が、顔をカモフラージュして丁度良い。

「あ、あのさぁ、いつも二人で帰ったりしてるけどさ、一つ言ってない事があるんだ。」

ゆっくりうなずく結亜。

いつからいたのだろうか、航空自衛隊の哨戒機はその独特なエンジン音を辺りに響かせながら二人の

いる、津軽ベイブリッジの上空を旋回している。

だが一輝は、そんな事にかまわず、正確にはかまう余裕が無かったのだが言葉をつづけた。

「俺、結亜の事 好きだ。」                                  

これまでに、体験した事が無い程に大きい緊張を味わう一瞬。

そして、結亜は、何かを言おうと口を開いた。

鼓膜が破れんばかりの大音量と降って来る瓦礫その他諸々が二人を襲ったのは、まさにその時だった。





ズキズキと体の節々が痛い。そして、結亜がいない。

その、二つに気づいたとき、一輝の意識は完全に戻っていた。

辺りを、くまなく見渡す。

結亜は、いない。

所々光が漏れているがやけに薄暗い。特に上から光が入って来ないのは、そこに何かが覆いかぶさっているからなのだろうか。                                     

ともかく、ここから抜け出さない限りどうにもならない。

一輝は、この狭い空間の中で何とかして、片ひざ立ちをする。

そして両手を、覆いかぶさっている何かに当てると上に押し上げた。                

「おりゃああああああああああああああああああ」

バボン、という気の抜けた音がして、あっさりとかぶさっていたアルミらしき鉄板が取れた。

急激に周りの明るさが変化したため目が馴れず、思わず目を細めてしまう。

そして、外の明るさに馴れて周りを見たとき一輝は、愕然とした。

なぜなら、彼のすぐ手前。今まで結亜がいた場所に、橋が無かったからだ。

「う、嘘だろ!?」

もっと前方を見ると橋は、向こう岸の方まで崩れている。

時折強く吹く風が、髪を乱す。

その時、今自分のいる場所の、すぐ真下の海面に、きらりと輝く何かがあった。

目を凝らしてよく見る。

それはーーー




「結亜あああああああああああああああっっっ!!!!!!!」

思わず叫んでいた。

なぜなら、その輝く物は、結亜のペンダントだったのだから。

だが、当の持ち主の姿は見あたらない。

もう、橋の崩落に巻き込まれて死んでしまったのか。

ふとそんな考え頭をよぎる。

「そんな事あるもんかよ。結亜は絶対まだ生きているんだ。」

まるで自分に言い聞かせるように、一輝は呟いた。

ペンダントがまだ海に浮いている事確かめて、今いる崩れた橋の淵から数歩下がる。

今、助けるからな。待ってろよ、結亜

呼吸を整え、制服の袖をまくる。

そして、夕時の蒼く暗い不思議な色合いを放つ津軽湾の海を見据え一輝は、その中へ飛び込んだ。



くっそ、何にも見えねぇ。

これが、海中に飛び込んでみた素直な感想だった。

崩落した、ニューブリッチの破片が海底の、泥や砂を巻き上げ猛烈に視界が悪く、

なんとか、夕日の光が照らしていて半径1メートル位の視界が有るが、それもいつまで持つか分からない

手に有るペンダントの硬い感触確かめながら、必死に泳ぎ回って結亜を捜すがそれらしき姿には、見つからない。

一度海面に出る。

知らないうちに、橋の中央の橋げたまで来ていたようだ。

たしか、崩れ始めたのって、この辺りからじゃなかったっけ?

ふと、そんな疑問が頭の隅に生まれたが、結亜を助ける事に集中しようと決めて、それを追い出す。

「さあ。今度はこの辺だ」

わざと声を張り上げて気合を入れる。

そして、また海へと潜った。



                                                                                              視界は、前と殆ど変わっていなく、むしろ悪くなっていると一輝は思った。

一応、橋げたから離れるつもりで泳いでいるのだが、なにぶん滅茶苦茶に泳いでいるのでここが、

どこなのかよく分からない。

水中で体を、一回転させて見る。

と、その時自分のいるところより、少し潜ったところに今まで見たことが無い黒い影があった。

まさか、結亜!

意外な程に冷たかった海水や、これまでに泳いできたための疲労が、一気に一輝の体力を奪っていく。

それでも、そんな体を無理やりに、動かしてその黒い影の元へと向かった。

「結亜ぁぁぁっっっ!!!」

影は、結亜だった。

息は、まだ有る。

だが、しかし、その彼女の細く華奢な胴を、千切れてひしゃげた太い鉄骨が深く、貫いていた。

しかも、それが重石となって、どんどん沈んでいく。

一輝は、少女を抱えて、沈むのを食い止める。

「おい、しっかりしろ結亜、おい。」

返事はない。

くそ、せめて鉄骨だけでも。

そう思い、例の鉄骨に手を掛けゆっくりと、手前に引っ張る。

その時、腹の傷口から大量の血があふれ出た。

「・・・・・・・う・・・・うう」

苦しそうに身をよじる結亜。

「うわっ、ヤバイ」

一輝は、血の出た箇所を手でおさえ海面へ、出ようとした。


ぱっと光の線が、上昇する二人のすぐ脇を迸ったのはそのときだった。

熱を持っていた光は、海水と反応して水蒸気爆発を起こす。

それに巻き込まれる直前、一輝は光が発射された方角を見る。

そこには、背中に巨大な棘を生やした、蟹ともザリガニともつかない、頭部に大きな眼球が一つだけある

赤い、甲殻類型の生物がいた。

一輝は、その生物が津軽ニューブリッチを破壊したのだと、直感した。





                                                                                                   

これで、第二話終了です。

どうでした?

もしよかったら、コメント下さい。


次回予告                                 

今度は、三年前の事を書こうと思っています。

何?プロローグが長いって?

すみません、もう少しだけ我慢してください。

それではみんな、あでぃおす         

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ