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第38話「クソッ! 何が平和ボケした日本だ。こんなの聞いてないぞ!?」

 だが、……逃さない。


 次郎は。

 その感情が抜け落ちた瞳で。


 次々と護衛車両を破壊していく。タイヤを撃ち抜いて、運転席とエンジン部分に数発ぶち込む。そうこうしていると、護衛たちが慌てながら黒塗りのセダンの後ろへと隠れた。


 ここは遮蔽物のない滑走路だ。

 隠れる場所など限られている。男たちが乗ってきた車を除けば、彼らの背後にあるのは格納庫だけ。誰もいない航空機の格納庫は、不気味に口を開いている。


 ……まるで、彼らを誘っているように。


「おいおい、お前らは素人か? 破壊された車に防弾性能は期待できないぜ?」


 次郎は狙撃スコープを覗いたまま、手探りで銃弾の入ったマガジンを取り出す。


『バレットM82』は良い銃なのだが、気に入らない点がひとつある。

 それは、セミオートマチック式であること。銃弾を放ったときに発生するガスの圧力を利用して、次の銃弾を供給する仕組み。つまり、引き金を引くだけで、次々と銃を撃つことができる。次郎は、これが気に入らなかった。


 普段、彼が使っている『九七式有坂狙撃銃』はボルトハンドル式。撃つたびに、ボルトハンドルを手前に引いて、空薬莢を排出。そして、手動で次弾を装填しなくてはいけない。


 この手間が、次郎は好きだった。

 銃弾をリロードする、その時の感覚が堪らない。


「……よっ」


 次郎は慣れた手つきで、10発入りのマガジンを装填。この状況を整えた野良猫のらねノラからは、予備のマガジンはひとつだけと厳命されている。それ以上は『上役』との了承がとれていないらしい。上役とは誰のことなのか、とノラに問いかけたが「昔の上司」としか返ってこなかった。どうせ警察か政府か、そのあたりだろう。

 本当は、このトリガーハッピーな気分のまま、一方的に奴らをイジメてやりたいが、仕方ない。


 今回の目的は、いつものバイトのような害虫の駆除ではなく。


 あそこでみっともなく泣き崩れている。

 特別なことなんてない。

 普通の女の子を助けるためなのだから。


 そのためなら。

 神を殺してみせるし。

 悪魔とだって契約してみせよう。 


 ……まぁ、今回の状況でいえば

 その悪魔とは、ウチの高校に通っているギャル先輩になるのだが。成り行きとはいえ、今後の事を考えると頭が痛い。


「どうした? このままだとハチの巣になっちまうぜ。さっさと背後にある格納庫に逃げ込めよ」


 次郎が意地悪な笑みを浮かべつつ、慌てている黒服たちの恐怖を煽っていく。


 彼らが逃げ込める場所は。

 もはや、その格納庫しかない。


 誰もいない、真っ暗な倉庫。


 ……まぁ、本当に。

 ……誰もいないとすれば、だけど。


「頼みますよ、天上天下もなか先輩。ちゃんと半殺しで止めてください。病院送りってのは、目が覚めても一生、病院で生活をさせることじゃないんですからね」


 次郎は心配事は。

 その悪魔のような先輩に向けて。


 心の底から、敵の存命を祈った―



――◇――◇――◇――◇――◇――◇――◇――



「クソッ、何が平和ボケした日本だ! こんなの聞いてないぞ!」


 護衛をしていた黒服の一人が、やけくそと言わんばかりに叫んだ。

 

 現在、彼らは狙撃の標的になっている。

 明かりの照らされた、見通しの良い滑走路。男たちは乗ってきた黒塗りの防弾車の後ろに隠れて、銃声と銃撃から身を潜めていた。


 時折、銃撃によって車が揺れて。

 バスン、バスンと音を立てて銃弾が貫通していく。


 要人の護衛用に特注された。

 防弾仕様の車体を貫いて、だ。


「畜生! なんで、こんな状況になっている!? あの護衛車両が、まるでビスケットじゃないか!」


「こいつは50口径だ! アフリカの内戦で嫌というほど見てきた。大統領の専用車両リムジンすら貫通させてくるぞ!」

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