第7話 勇者候補、覚醒するしかないらしい(本意ではない)
目覚めた“勇者の素質”。 けれど理由が「下半身の危機」って、それ本当に救世主の覚醒トリガーなのか?
おもろいよなぁ
「……あの、ほんとにちょっと限界きてるんだけど……」
金髪少女が頭を抱えながら言った。
その隣で、俺――佐藤光は、自分の右手を見つめていた。 うっすらと青白い光を放つ手。これはもう、完全に“普通じゃない”。
「……え、マジで俺? これ……俺の人生、なんか変なフラグ立ってない?」
『間違いない。その力、次なる勇者の資質……やはりお前か』
空から響く、神の確信。 だが俺は即座に叫ぶ。
「やだ!! 絶対にやだ!! 俺、勇者とか向いてないし!!」
「いや、覚醒した瞬間めちゃくちゃ叫んでたけどね?」 金髪少女がじと目で言った。
「だってあのままじゃ、子孫が……!! 未来が……ッ!!」
「ごめん、やっぱ気持ち悪い!!」
遠くでは、元勇者が神に殴りかかっていた。
「よそ見してんじゃねぇぞ、神ィィィ!!」
雷鳴のような爆発。魔力と叫びとツッコミが入り混じる戦場。 そこにまた新たな混乱が加わる。
「おいそこの青年、お前……名前は?」
「え? あ、佐藤……佐藤光です……」
「佐藤か……よし、光。お前、今から戦力な」
「えっ!? 俺、今知ったばっかですよ!? 今さっき光ったんですよ!?」
「関係ない。戦力は光った瞬間から戦力だ」
「そんな制度聞いたことねぇ!!」
『では見せよ、次代の勇者候補の力を』
「いやだから! 俺、勇者になりたかったわけじゃ──」
そのとき。 俺の手に、光の刃が浮かんだ。名も知らぬ魔力が、身体の奥から湧き上がる。
(これが……力……? マジで……!?)
「──っしゃああああ!! 出ろォ!!」
とっさに叫んだ。
「《生存本能・絶叫断斬》ッ!!」
ドォンッ!!
地面が裂け、神の術式の一部が“斬られた”。 空間が断ち切られ、神の瞳がわずかに揺れる。
『……“適当”な叫びにしては……厄介な技だな……』
「うお……出た……マジで出た……」
「ネーミングセンスどうなってんの!? 本能!? 絶叫!? 断斬!?」
少女がヒステリックに叫ぶ中、 俺はとっくに“引き返せない場所”にいた。
次回、第8話では彼が「逃げられないこと」をもっと強く理解していく回になります。 神の力、元勇者の咆哮、そして賢者とタンクの大暴走── 混沌はまだ、収まりそうにありません。
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