第5話 神ィ!てめぇ邪魔なんだよぉぉぉ!!
【前書き】
ご覧いただきありがとうございます!
前回は元勇者の“本音”が爆発し、神との全面衝突が始まりました。
そして舞台は、さらにカオスなバトルへと突入……!
神様の正義 VS 元勇者の叫び。
そして乱入してくるロリババア賢者とイケメンタンク。
「正しさ」だけでは収まらない感情が交錯する、第5話。
ぜひ、最後までお楽しみください!
――爆発の轟音が鳴り響いた。
街の中心に巨大なクレーターができ、空中には火花のように魔力が散っていた。元勇者と神がぶつかるその場に、既に賢者とタンクも加わり、戦場は完全なカオスと化していた。
「オイ、神ィィ!! さっきから弟子の修行邪魔してんじゃねぇぞコラァァァ!!」
賢者が叫びながら巨大な氷槍を振り下ろす。神の神気により寸前で弾かれるが、威力は充分だった。
「文句あるなら帰ってくれていいんですけどォ!?」 「余計なお世話じゃわい! こちとら久々に弟子の実力を見に来たら、神とガチバトルしてるじゃろうが!!」
元勇者は息を切らしながらも、神を見据える。
「さっきまで戦ってたのに、いつの間に味方に……」 「気にすんな弟子よ。敵の敵は味方じゃ」
賢者の眼光が鋭く光る。
一方そのころ――。
「ちょっとぉぉ!? なんで私まで巻き込まれてるのよォォ!!」
金髪少女が、瓦礫の山から顔を出して叫ぶ。
「え、なにここ? 街? 空飛んでる人いるけど? えっ? ねえ? 夢? 私今、夢の中なの!?」
少女の目は完全に現状を理解しておらず、混乱しながらも必死に逃げ回っていた。
しかし、そんな彼女に突っ込んできたのは――
「そこのガキィィィィ!! どけぇぇぇえええ!!!」
ドガァァァァン!!
タンクが超重装甲の体を回転させ、神に体当たり。巻き込まれかけた少女は紙一重で回避する。
「え、ちょ、ええ!? なんで!? 今のなに!? 戦車!? 人間!?」 「うっせ! お前らが喧嘩売ったんだからこっちも乗るしかねぇだろうがァ!!」 「ねぇぇぇえ!! 喧嘩売ってないし巻き込まれてるだけぇぇ!!」
混沌。
まさにそれが、この状況を表すのにふさわしかった。
「おい神! いい加減にしろ! 街が消し飛ぶぞ!」 『……我はこの場における不要な存在を排除するのみ。』
「だったらまずてめぇが帰れやぁぁあああ!!」
賢者・タンク・元勇者の三方向から繰り出された攻撃を、神は空間の歪みで強引に受け止めた。
だが、その負荷は確実に神にも届いていた。
『ふむ……好ましくないな』
神が静かに手を掲げた。
「来るぞ、時間系だ!!」
賢者の警告とともに――空間が、止まる。
風が止まり、音が凍り、すべての動きがスローモーションのように変化していく。
だがその中で、元勇者の瞳だけは鋭く動いていた。
「……くっそ、マジで止めやがった……!」
世界の時が止まる中、神の気配だけが静かに広がる。
『……お前たちは、過去に縋りすぎている。未来のためには、新たな命が必要だ。勇者は“過去”であってはならん』
その言葉に、元勇者がわずかに笑う。
「だったら……“過去”が現在ぶっ壊して、“未来”に喧嘩売るってのもアリだろ?」
時の檻が崩れ始める。
元勇者の魔力がそれを強引に打ち破っていた。
「覚悟しろよ、神……!」
時間が、再び動き出す。
――戦いは、さらに混迷を極めていく。
【あとがき】
ここまで読んでいただきありがとうございます!
今回の話では、いよいよ神様との全面バトルに突入!
タンクと賢者の容赦ない参戦と、元勇者の怒りがぶつかり合い、
「混沌とは何か?」を絵に描いたような回になりました(笑)
あえて“シリアス”と“ギャグ”が同時に転がり続けるこの作品、
書いているこちらも正直、めちゃくちゃ楽しいです。
次回はさらに舞台が拡大していきます。
転生を拒む者たちの“正義”が、神の理にどこまで食い下がれるのか――
続きも全力で執筆していきますので、今後ともよろしくお願いいたします!
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