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『転生なんてさせねぇ!』〜転生させたくない元勇者と転生をさせたい神の戦い〜  作者: 深森あい


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31/35

第35話:裸勇者の冒険は続く、そして――

多少無理矢理感はありますが、やっと本編に戻れますね。

「……ふぅ、終わった……!」

畑の前で、俺は全力で息を切らしていた。

全裸でウサギの群れを追い払う――そんな辱めの仕事も、ようやく終わったのだ。


子どもたちが目を輝かせて指をさす。

「お母さん、あの人ほんとに裸で戦ってる!」

「すごい……服がなくても強いんだ!」

「違うからァァァ!!!」俺は即座に全力で否定する。


村人たちは拍手しながら口々に言う。

「変態勇者様、ありがとうございます!」

「裸のままで戦うなんて……まさに神の御業!」

「メタモルフォス様のお告げは本当だったんだ!」


「やめろォォ!! だから変態違うって言ってんだろォォ!!!」

羞恥で頭が爆発しそうだった。



---


報酬の袋を受け取った俺は、勢いよく中を覗く。

……中身は、ほんのわずかな銅貨数枚。


「え、これだけ!? 服買えるどころか、下着すら無理だろォォ!!!」


タンクが爆笑しながら背中を叩く。

「ははっ、これぞ冒険の現実! 勇者でも変態でも財布は軽い!」


賢者が涼しい顔で頷く。

「まぁ、初仕事とは得てしてこういうものじゃ。金が欲しければもっと危険な依頼を受けるがよい」


「いやいやいや! 危険な依頼を裸で受けたら死ぬんだよォォ!!!」


村人たちがさらに盛り上がる。

「やはり勇者様はどんな状況でも戦うのだ!」

「うちの息子も将来は裸で戦わせたい!」

「教育方針おかしいだろォォ!!!」


俺は全力で叫んだ。

「くっそォォ!! 裸変態勇者の冒険は続くゥゥ!!!」


「(……ついに変態なのを認めた?!)」


---



静かな夜。

――場面は変わり、元勇者がひとり、月明かりに照らされた街を歩いていた。


……いや、瓦礫だったはずの街は、今や何事もなかったかのように元通りになっている。

崩れ落ちた建物は立ち直り、人々は笑顔を取り戻し、死んだはずの者たちまでもが日常を過ごしていた。


「……秩序神が動いたか」

俺は低く呟いた。


本来なら、秩序神の手で“転生”という形を取るはずだった。

勇者候補が選ばれるのは、世界の理――秩序を保つための当然の流れ。

だが、変態神の乱入と、俺の妨害によって流れは歪んだ。


その結果、奴は“転移”という歪んだ方法であの世界に送り込まれ、この世界から存在ごと消された。

あのガキ――光が勇者候補であること自体は、最初から決まっていた。

だが、あんな形で送り込まれるなんて……例外中の例外だ。


俺は空を仰いだ。

秩序を掲げる神の気配が、確かにそこに漂っている。


市民たちは何も覚えていない。

秩序神が時間を巻き戻し、犠牲を“なかったこと”にしたからだ。

けれど俺だけは、すべてを覚えている。


「……もう誰にも、あんな思いはさせねぇ」

拳を握りしめる。

「戦場で命を使い潰されるのも、秩序の名で犠牲を押しつけられるのも……

 あと……好いた女が全員イケメンタンクに喰われていく、あの苦しみだけは絶対に受けさせたくない」


かつての傷が胸に疼く。

英雄と呼ばれながら、俺は何も守れなかった。


「修行だ。俺が強くならなきゃ、止められねぇ。

 次に神が“秩序”の名のもとに勇者を生もうとしたとき――必ず叩き潰す」


夜の静寂を裂くように、元勇者の誓いだけが響いた。

次回、第36話「修行編:神に抗う力を求めて」

ギャグとシリアスが交錯する物語は、再び本筋へ――!

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