第31話:勇者候補、冒険者ギルドで職質される
「……よし、まずは服を買うために金を稼ぐ!」
俺は全力で決意した。
「その前に服を着ろォォ!!」と全国民からツッコミが飛んでそうだが、現実は裸一貫である。
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冒険者ギルド。
街の大通りに建つ石造りの大きな建物。
冒険者たちが酒をあおり、依頼票を睨み、笑い声や怒号が飛び交う。
……そんな場所に裸で突入した俺の勇気を称えてほしい。
「ひぃっ!? な、なんで全裸が歩いてるんだよ!」
「……まさか……メタモルフォス様が仰っていた“変態勇者”……!」
「神託は本当だったのか……!」
ざわめきが広がり、場が一気に静まり返る。
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「すまないな。少し君に質問がある」
ギルド受付の兵士が慌てて駆け寄ってきた。
槍を構え、真顔で告げる。
「君は――本当にただの変態では無く…“変態勇者”なのか?」
「職質の切り口それかよォォ!!!」
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「待て、信じろ」
元勇者が前に出て、真剣な声で言う。
「彼は確かに勇者候補だ。……変態かどうかはさておき」
「さておくな!!!」
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タンクが大声で爆笑する。
「大丈夫だ! 筋肉を見れば分かる! コイツは本物の変態だ!」
「裏切ったなァァァ!!!」
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その瞬間――
虹色の光が天井を貫き、ギルド全体が震えた。
現れたのは、虹色の羽を広げた変態の神――メタモルフォス様。
「聞け人間たちよ! この者こそ“変態を経た勇者”! 服を着ぬことで真の進化を遂げるのだ!」
「メタモルフォス様……!」
「ありがたきお言葉……!」
「これが神託……!」
冒険者たちは一斉にひざまずいた。
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「やめろォォ!! 俺は服を買いたいだけなんだよォォ!!!」
俺の絶叫は、ひざまずく群衆にかき消されていった。
そして誰かかポツリと呟いた。
「…見るからに無一文なのに?」
次回、第32話「勇者候補、服を買うために最初の依頼を受ける」
果たして光は服を手に入れ、変態の汚名を返上できるのか!?




