第30話:勇者候補、服か、尊厳か、それが問題だ
「……このまま放置すれば村の治安が乱れる。服を手に入れるまで、私が監視してあげる」
女性冒険者が剣を突きつける。
「いや、ありがたいけど剣しまえよォォ!!!」
その瞬間――空が裂け、虹色の光が地を覆った。
羽ばたきの音が響き渡り、変態の神が舞い降りる。
「人間よ、恐れるな! 彼は勇者候補――そして変態だ!」
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「……か、神……様……!?」
女性冒険者の剣が震え、彼女は思わず膝を折る。
村人たちも一斉に地にひざまずいた。
「神様!? 本物の神様だ……!」
「どうしてこのような辺境に……!」
畏怖と感激のざわめきが村を包む。
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「いやいやいや! 今の流れでなんで俺が“変態”確定みたいになってんの!? 神様ぁぁ!!」
股間を隠しながら俺は全力で抗議する。
「安心せい光! 人間は皆、裸で生まれる。つまり――お前は原初の勇者なのだ!」
「一番ありがたくない神託だよォォ!!!」
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こうして俺の異世界での第一歩は、
服を買うか、それとも“変態勇者”を受け入れるかという、
人生で最もどうでもいい二択から始まってしまった。
次回、第31話「勇者候補、冒険者ギルドで職質される」
服を買うためにギルドへ! だが光を待ち受けていたのは、さらなる“変態疑惑”だった!?




