第15話:変態(メタモルフォーゼ)の神、降臨
カオスとはこの事
《エクリプス・ゼロ》の轟音が鳴り響く戦場に、唐突に――。
「ん? 呼んだ?」
場違いな軽い声が落ちてきた。
空間が歪み、虹色の光がねじれて集まり、一柱の“新たな存在”が姿を現す。
白銀のローブに、羽虫のような翅。
顔はやたら整っているが、ポーズがいちいちキモい。
『……まさか……貴様は……!』
今まで睨みを利かせていた神が、一瞬だけ声を詰まらせた。
「紹介しよう! 我こそは――変態の神!!
生物が卵から幼虫へ、そして蝶へと羽ばたく……その“変態”を祝福する者!」
「いや名乗り方が完全にアウトなんだけどォォォ!!」
俺は即座にツッコむ。
「ちょっ……マジで神界にそんなやついたの!? しかも専門が変態!?」
タンクが口を開けたまま固まっている。
「いやいや、理屈の上では正しいぞ」
賢者が妙に真面目な顔でうなずく。
「“変態”とは本来、生物が姿を変える進化の過程……尊き自然の摂理じゃ」
「でも言い方のせいで、ただの変質者感しかねぇんだよ!!!」
変態の神は、俺をじっと見つめる。
その視線が妙にねっとりしていて居心地が悪い。
「佐藤光よ……。ワシは昔から見ておったぞ」
「……は?」
「お前には生まれながらに、“天性の変態性”がある」
「認定すんなァァァ!!」
元勇者が頭を抱える。
「いや、マジでお前……神に“変態の素質”見抜かれる勇者候補って……聞いたことねぇぞ」
「やめろォォォ!! 俺はただの大学生だったんだよォォォ!!!」
光の絶叫が木霊する中、神と変態の神が睨み合う。
『……余計な横槍を入れるな、メタモルフォーゼ』
「フッ。お前の“偶然”発言がワシを呼んだのだ。責任は取ってもらうぞ」
空に二柱の神が並び立つ。
勇者候補を巡る戦いは、ますます収拾がつかないカオスの様相を呈し始めた。
次回、第16話「神VS神!? 勇者候補どこいった!」
神々の口論が、世界をさらに混迷へと叩き落とす――!




