第13話:技名より命が大事だろ!?
《エクリプス・ゼロ》の輪は、なおも回転を速めていた。
吸い込まれた物質は、一切の痕跡を残さず消える。
もはや「破壊」という概念を超えている。
「おい光! 止まるな!」
元勇者が叫ぶ。
「お前が斬り開けるって証明したろ! だったら最後までやれ!」
「証明した覚えねぇよ! 俺まだ“覚醒一発屋”なんだけど!?」
『勇者候補よ……ここで潰れるなら、それも運命』
神の声は冷ややかだ。
『生き延びるなら、運命を超えてみせよ』
「どっちにしても俺に死ねって言ってるだろソレ!!」
輪の縁から奔流のような光が伸び、俺を飲み込もうと迫る。
足が震え、呼吸が乱れる。
(やばい……! 足が動かねぇ……!)
その時――。
「おい勇者候補!」
タンクが俺の肩をどつく。
「お前の技名、マジでダサいけどよ! 叫んだ瞬間は……なんか笑える分だけ勇気出るんだよ!」
「今それ言う!?」
横から賢者が割り込む。
「いやワシは笑えんぞ。技名のダサさで世界観が崩壊しかける」
「誰も俺のメンタル守ってねぇぇぇ!!」
だがその言葉の応酬で、張り詰めた恐怖が一瞬だけ和らいだ。
足に力が戻る。
「……クソッ、もうやるしかねぇんだろ!」
俺は輪の中心へ向けて剣を構える。
右手が光り、刃が再び形を成した。
「生存本能――」
声が震える。けど止まらない。
「絶叫断斬ッ!!」
刃が奔流を両断し、世界が裂けた。
空間を覆っていたエクリプスの光が一瞬、揺らぐ。
『……ほう』
神が低く呟いた。
『やはり、その力……ただの偶然ではないな』
輪はまだ回り続けている。
でも確かに――俺の一撃は、神の“試練”を揺らがせたのだった。
次回、第14話「笑われても叫べ!」。
勇者候補の技名はダサくても、叫ぶたびに未来が変わっていく――!
この子可哀想過ぎて笑える




