第11話:やめろ、その試練は試練の範囲を超えている
天空に広がる魔法陣が脈動し、ついには空そのものを喰らい始めた。
色が褪せ、雲が消え、空間そのものが神の魔力に飲み込まれていく。
『では……第二試練、始めようか』
「待って待って待って!? 今のが第一試練だったの!?」
俺の叫びが、神の魔力でかき消されそうになる。
「てか第一試練で殺されかけたんですけど!? さっき“容赦しない”って言ったよね!? 試練ってそういう意味じゃないよね!?」
「光、落ち着け。試練ってのはな、本来死と隣り合わせなんだ」
元勇者がいい顔して言ってるけど、説得力ゼロだ。お前も死にかけてたじゃねえか。
『試練とは、生き残る意志を問うものである』
「お前が殺しに来てるのに何が“意志”だよォォォ!!」
俺の悲鳴を無視して、神は指を振る。
天に浮かぶ魔法陣が──開いた。
そこから出てきたのは、巨大な“輪”。
円環状の物体がぐるぐると回転しながら、空間を捻じ曲げている。
「おい、あれ何だよ……」
「《世界干渉兵装・エクリプス・ゼロ》じゃな」
賢者がまるでアニメの実況みたいに言う。
「いや名前がラスボス兵器!! 試練の規模じゃねぇって!!」
エクリプス・ゼロは、まるで“空間そのもの”を切り取るように動いていた。
当たったらとか、そういう次元じゃない。存在がなくなる気配しかしない。
「勇者候補、覚悟はできているか」
『この輪の中に立て。耐え抜ければ、次の段階へ進む資格を与えよう』
「待てやああああ!! 殺す気満々じゃねぇかぁぁぁ!!」
「ほら光、行ってこい」
元勇者が背中を軽く叩く。
「どんなノリだよ!? 送り出し方が“体育祭前の一言”なんだけど!?」
「安心せい。ワシが結界を張ってやる」
「それ、張ってる間に俺が消えるやつじゃん!!」
エクリプス・ゼロが回転を速め、地面の一部を吸い込んだ。
何も残らない。影も形も。
その異常な光景を前にして、俺の膝がガクガクと震える。
「……ムリだって……こんなん……」
「光」
元勇者が言った。
「ムリとか言ってる場合か? ここで引いたら、また神の“次の勇者候補”が出てくるだけだぜ」
「いや、それでいいって!! 俺じゃなくて、もっとマトモな奴が!!」
「でもお前が“先に目覚めた”んだよ」
「……っ!」
覚醒――確かにした。
でも、あれは本能だった。勇気なんかじゃない。覚悟もない。
でも、もし……もしここで逃げたら。
今度こそ、自分の“普通だった日常”にすら戻れなくなる気がした。
「……クッソ……なんで俺なんだよ……」
震える足を前に出す。
一歩。
もう一歩。
エクリプス・ゼロの中心に、俺は足を踏み入れた。
次回!『転生なんてさせねぇ!』
「回る世界と止まる心」!
神の試練に足を踏み入れた光!
空間が歪む! 時間が止まる! 股〇が……冷えるッ!?
崩壊寸前の常識を賭けて、今、彼の精神力が試される!
立ち向かえ光! その覚醒は偶然でも、命はリアルだ!
デュエル・スタンバイ――ッ!!(※戦闘形式:神vs大学生)




