第1ー4話 -子供が得た学び-
0章-夢をみる赤子-完結
0章は自我が芽生えるまでのウォルスの成長と家族の話でした。
この話はあまりに短いけれど、ウォルスの在り方を示せたのではないかと思います。
今回はいつもの前書きは無いです。
あの日から数日経ったウォードを柱とするこの家ではとある毎朝の日課が増えていた。
「姉さんのお体はげんきですか?」
「げんきだよ!ウォルも元気?」
「はい、私もげんきです。」
「母さんのお体はげんきですか?」
「とっても、ウォルも元気かな?」
「はい、私も元気です。」
「父さんのお体もげんきですか?」
「もちろんだ!ところで息子よ、俺に1番に聞いてもいいんだぞ?」
「よかったです。姉さんに怒られてしまうのでごめんなさい。」
朝の健康確認だ。これを始めたのはウォルスだった。全員の確認を済まし、安心した様子で一日を生活する。全員が真面目に返事をする様子は、赤子の遊びに付き合う家族の風景だった。誰もふざけないのには理由があった。
以前、冗談で息苦しいと言ったウォードの言葉にウォルスが過剰に反応したのだ。嘘だと知らされたウォルスは、3日ほど父と口を聞かなかったらしい。
以前から家族への関心は高かったが、知的探究心と言った様子だった。それが今や子供らしい好奇心を見せ、ウォルスの子供らしさのある変化に家族みんなで喜んだ。
ウォルスの口調は、どうやら村長から学んだ物らしい。何かとウォルスを気にかけ、村長が頻繁に家を尋ねてくる。そのとき村長と親の会話を懸命に聞いていた。おそらく、村長の言葉がもっとも整っていることに気づいているのだ。
子供らしくなったとはいえ、この子の成長は早いのだとテリスは思う。
ウォルスの可能性に満ちた将来を目一杯育んであげるのだと、将来に思いを馳せた。
次話
第1章-夢を追う少年- 第2話-救世御伽物語-