休日
「あー気持ちいい。」
熱気が身体を包み込んでいる。
頭がぼーっとする。でもこの感覚が普段ダブルワークとブルーライトに汚染された脳をリセットしてくれるのだ。
ぼんやりとやな事とか悩んでる事とかを考える。
自分は内向的なのでこうして1人で自分と向き合っている時が1番幸せだ。
新型コロナウイルスが蔓延して早2年。
俺はかつてはホテルの料理人だった。
製菓の学校をでて、家族に恩返しすると思って就職したのもつかの間…
現場は都会の客が止まらない過酷な仕事だ。
朝は12時から仕事して、夜の1時に仕事が終わる。
ただ終電は過ぎてるので会社で4時間仮眠室で睡眠を取ったら4時から16時まで仕事をしていた。
そんな生活を3年近くしていた。
仕事は苦痛そのものだった。
きっと自分には向いてなかったのかもしれない。
怒号が飛び交い、上司には暴力を振られ、詰められ。
仕事量は多くそんな生活をおくっても給料は薄給と今思えばすぐ辞めるべきだった。
しかし、わからなかった。
労働環境の基準が、そしてやめた後には仕事が無くなるのではないかとそんな極狭な思考が一時期自分の精神を壊した。
壊れてからは何も出来ず退職の意志を上に伝えても言いくるめられるので俺は苦渋の末、退職代行というサービスを利用して仕事を辞めた。
怖かった。
震えながら2万円ちかくのお金を振り込んだ。
退職前日。俺は誰とも目を合わせなかった。
中にはいい人もいたのだ。でもそれ以上に様々なモンスター達によって俺の精神は狂わされていた。
モンスターから避けるのもあるが、いい人たちにも申し訳ない気持ちがあったのだろう。
当日。俺は連絡先をブロックして着信拒否をした。
退職代行サービス会社のLINEの通知だけオンにした。
俺は布団にくるまってる動けなかった。
その後LINEで
「手続き完了しました。」
この一文が来た時、俺は泣いた。
朝9時の出来事だった。
泣き続けて、気がついたら夕方になった時に俺はビールを片手に散歩をしていた。
サウナの熱気が現実を思い出させる。
逃げたのだ。自分は家族の期待を裏切ってそれすらも伝えられてない。
そんな後悔が心の古傷となっている。
2年前のことなのにだ。
そして俺はサウナを出て水風呂に使った。
水が気持ちいい。
脳に冷たくなった血液がはいってスッキリする感じがする。
思考がクリアになっていく。
体の表面が羽衣のように熱が自分を包み込むので水温は16℃も無いかもしれないが体感20℃の程よい感じになっている。
1分後…俺は水風呂を出て外気浴をする。
その時思う。
俺は逃げたのかもしれないが必ずしも悪い選択ではなかった。
あのままだともっと自分は壊れていた。
二度と働けなかったかもしれない。
でも俺は働き続けた。
未経験の仕事も頑張ってこなし、お金が無いのだが無いのなら稼ごうという行動力だけは培われている。
何事も経験とはよく言ったものだ。
外気浴は自分の冷気で閉じられた熱気を徐々に吸い取ってくれる。
心地が良い。
上がった心拍数が心臓と脳を静かに刻むのが分かる。
サウナは体に運動をしたと錯覚させるためである。
ちなみにもう3セットは続けている。
体の自律神経もととのいはじめた。
副交感神経が優位になって身体が睡眠や消化を優先しだしてリラックスしているのを感じる。
なんて素晴らしいのだろうサウナ…ああサウナ。
成功者や経営者などの人間がサウナを好むのがわかる。
まあ、俺は思いっきり現代社会ではloserなのだがね。
だからこそ自分は目の前の仕事に全力で戦える。
黄色と黒は勇気のしるし、24時間戦えますか。
リゲインリゲイン僕らのリゲイン…と茶番はさておきそろそろサウナを出るか。
そして、サウナのある健康センターの近くのラーメン屋さんを訪れる。
選ぶのはカロリーの高い豚骨ラーメンだ。
実は自分昔は豚骨ラーメンは苦手だった。
匂いととろみが若干気持ち悪かったのだ。
しかしホストになって先輩と某マシマシの豚骨ラーメンのお店を行ってから激ハマリ、そこからは豚骨ラーメンを選んでいる。
しばらくして豚骨のラーメンが来るのだ。
ニンニクの聞いたジャンキーな香り…
サウナで塩分が抜けた身体が心から欲する味であるり
豚骨もよく出汁が取れていて幸せである。
もちろんお供にはビールである。
脂っこくなった口をビールが流し込んでくれるのどごし滑らかで脳内麻薬が自分の平衡感覚をゆらされるのを感じる。
完全におっさんの休日になってしまった。
しかし、おっさんというのは現代社会をまわす男性の蔑称でしかないのだ。
きっと男性である以上通る道なのだ。
借金は残っているし、仕事もダブルワークで過酷だ。
でも自分は生きている。
前を向いて進んでいる。
それだけでお釣りが出るのではないだろうか。
明日もきっと代表に虐められクソみたいな気持ちで生きるのかもしれないが自分を第一に生きることとしよう。
「さーて、明日も頑張りますか。」