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「これは……」
「スオウ……」
僕と会長はさっそくやせ細った氷の柱に手をついて力を通してみた。氷の柱は不思議で別に冷たくはない。なんとなくシヴァの氷を思い出す。どうやら力を通してみて、会長も気づいたみたいだ。声が重なったところがそれを物語ってる。
「どうしたの?」
わかってないセラがそんな事を行ってくる。とりあえず簡潔に気づいたことをいってみる。
「貯められないかもしれない」
「出来ないって事?」
「いや……通した傍から出ていくというか……」
はっきり言えば、この中に力が溜まる感覚がなかった。それにとても深いというか、広い感覚があって、あれを見たすとなると、どう考えても僕達二人の祝福では辛い。いや、不可能……かも。
「会長、どうする?」
「うーん、ちょっと待って」
そういう会長はお姫様の所までいく。そして何やら話し出した。ちょっとするとこちらに会長は戻ってくる。
「どうやらここの仕組みは彼等もわかってないみたい」
「それってどうやって今まで無事だったのですか?」
確かに……こんな事今までなかったのだろうか? まあ今で存在してたのかもなかなかに怪しいけどね。だって僕達が来るまで、ここにこの人たちの存在は確認されてない。観測されてないからいないってのは人間の傲慢さを出してるみたいだけど、ここはリアルじゃなくゲームの中だ。LROは全く違う技術で出来てそうだが、見えもしない存在をずっと存在させておくよりも、必要な時に存在させた方がゲーム的には軽くなるのでは? とか思う。
まあ素人考えかもしれないけど。でも今は彼等の今までの事はどうでもいいか。これからの事だ。
「会長は彼らの話から、どういった仕組みなのかとか探ろうとしたんだろ? けど無理だった……」
僕の言葉に会長は頷く。すると会長は何やらペンで書きだした。
「私も色々と調べてみるからスオウもお願い」
「お願いって言われてもな……」
「スオウは直感に頼ってくれればいいよ」
まあそれなら……技術的なことなんてわかんないし……とりあえず僕は目をコードを見るモードにして再び氷の柱に手をふれる。ふむ……おもしろい事がさっそくわかったぞ。氷だからシヴァの祝福がいいかと思って最初はやった。多分それは会長も同じだろう。事実、シヴァの祝福は通りやすかったと思う。
けど、どうやら祝福はなんでもいいみたいだ。触れて祝福を出そうとすると、その祝福に対応したものに組みなおされてる様にみえる。
(複数ならどうなんだ?)
氷だからシヴァという先入観をなくして別になんでもいいのなら、今度はどれだけ複雑な力ならって思った。二つは行ける気がした。三つもまだいける。四つは何やら嵌った感覚がした。カチッとさ。五つはどうやら無理だ。
多分正解的には四つの祝福が混じった力……それがこの氷の柱を元に戻すのに必要な祝福だ。僕はさっそくその発見を会長に聞かせることにする。ふふん、なんかすごい大発見した気分だぞ。艦長よりも凄いことしちゃったかもしれない。
そう思って氷の柱から手を放して会長を見ると、何やらコードをあたりにさ迷わせた会長が一つの氷の柱を復活させてた。それに冬のお姫様達が拍手を送ってる。
「お……お前はそういう奴だったよ!」
僕は悔しさに理不尽にそう叫んだ。