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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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プギャアアアアアアアア!


 そんな断末魔の声が響く。現れた巨大アブラムシはなんと出てきて三秒後くらいには消し炭とかした。何が起こったのか……僕はこれをした奴をみる。僕はやってないし、セラは炎を使わない。これが倒せるのなら、トンボの騎士達が普通のアブラムシに対抗できない訳ないから彼らの訳もない。


 なら、残りはあと一人。


「会長、何した?」

「何って、祝福を使っただけだよ?」


 会長の奴はなんともない様に言ってるが……さっきのが祝福? 何かアイテムを使った所とか見てないんだけど。祝福は確かに便利だけど、自身の中の分だけじゃ、万能とは言えない。だからこそ僕は風を使う時は、周囲の風を掴んで支配する訳で……それは海でも氷でも同じだ。


 そこらに溢れてる物じゃないのを使うときは手っ取り早くそれらの現象を起こせるアイテムを使って自身の中の祝福と混じり合わせて使える様にするものだ。勿論それにもなれとか、熟練してけば色々と変わってくると思う。実際風なんかは空気の流れみたいなものだし、風だけなら案外どこでも使える。


 でもそれは僕がずっと風を使ってきたからだ。海とかも使い続ければ、案外どこでも使えそうだが、それにはまだまだ全然足りてない。そしてそれは会長だって同じはずで、しかも今回使ったのは炎だ。イフリートの祝福だ。ついさっき取ったばかりじゃん。それにあのじゃじゃ馬。


 確かに祝福の中じゃ、かなり強いから単体でも蝋燭以上の炎は出せる。小さなモンスターを焼くくらいは出来ると思う。でも……今回のアブラムシはデカい。ここの原住民であるトンボの騎士達から見たら僕たちだって巨人なんだよ? その僕たちからみても巨大なアブラムシを一撃で焼くって……どう考えても祝福だけの力では出来ない筈なんだ。


 なのにアイテムを使った様子はなかった。会長はいつも通り、その手にペンを握ってるだけだ。本当に……そのペンは何だって出来るのか? 何だってってまさに文字通りの何だって……実際、あのペンで出来なかった事を見た事がない気がする。


「祝福だけで……か?」


 僕がそういうと、会長は笑った。こいつ、笑顔で誤魔化す気か。でもこいつが僕に隠し事をすると判断したのなら、多分今は教えてくれない。だってそれが必要だと判断したから隠してる訳だからな。一時の意地悪とかでそんな事をする奴じゃない。


「とりあえず倒せたので良かったんじゃない? ご苦労様です会長」


 そういうセラは何となく声に棘がある。多分こんな事が出来るのならさっきもやれ――とおもってるに違いない。地味に大変だったしね。それになんかいい所を全部、会長に持ってかれたみたいになってる。トンボの騎士達が会長の周りに集まってる。

 

 彼らの言葉はわからない。だが、褒められてるのは空気でわかる。セラはそんな中に影の様にいる。けど、僕はぼっちだ。なぜかって? だって僕が近づくと、ささーとトンボの騎士達は遠ざかる。地味にセラも遠ざかる。なぜなら、僕は今さっきの戦闘で油まみれだからだ。


 僕だって頑張ったんだけどな……うん、やっぱ会長の奴のせいだな。よごれ一つなく、涼しい顔しやがって!

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