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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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 会長とスオウを火口に叩き落して……いや、送り届けて私は一人この山の麓にある小さな町に来てた。流石にあそこで待ってても意味ないですから。なにせどうせ上手くやればここに転送されてくるはずだ。精霊との戦いの後と同じように……ね。だからここで待ってればいい。どうしてこんな事に私が付き合わないといけないのか……そもそもつきあうというか、都合のいいタクシー替わりじゃない。納得できない。


 まあそれなら一緒に火口に飛び込めばよかったのかもしれない。アイテム用意して来てないけど……けど、二人の用意してたので出てくるだろうし、後は交渉でどうにかできたかも? 精霊はモンスターと違って言葉が通じない訳じゃない。このゲームには色々なやり方がある。正規のルートだけがやり方じゃない。どんなことにだって裏道がある。


「祝福か……」


 前々からどうしてスオウは魔法でもないのに風を操ってるかと思ってた。それはどうやら祝福という力らしい。そして今、それを会長に付き合って集めてる。今週末には敵になるというのに、お互い一緒に集めてるというのが理解できない。二人は幼馴染らしいけど……それならどうしてスオウは会長のチームに入ってないのかが謎だ。何がどうしてローレなんかの……よりによってローレなんかのチームに入ったんだか。


 ローレは信用できない。あいつのチームも人数にしては戦績以上だ。ただの一度も負けた事がないチームはテア・レス・テレスとローレの所くらいだろう。そこにあそこのチームにはローレ以外に突出したプレイヤーなんかいなかった筈だ。だけどそれで問題ないくらい、奴は精霊を使いこなしてるんだろう。ローレの精霊は異常だ。普通、精霊を使役出来るのは召喚して魔力が続く限りでしかない。


 なのにあいつの精霊は常時召喚されてたりする。そしてなんといっても活動範囲だ。それがおかしい。召喚された精霊や、使役するモンスターなんかもそうだけど、あまりにも遠くには離れられない筈だ。だが、どうやらローレは違うらしい。それになにより……


「なんであいつは元の力を取り戻せてるの?」


 前のLROはスオウしたリセットによって全てのデータが消し飛び、新たなLROとして新生した。だからアイリ様もカーテナは有しておらず、他のバランス崩し所持者だった者達もそれを再び手にしたという話は聞かない。だが、ローレの奴だけは違う。あいつは既にかつての……いや、それ以上の力を個人で有してるとみてほぼ間違いない。リセットされた世界で同じ力を得ようとする者は多かった筈だ。


 けど、LROという世界は生きている。自分が同じ道筋をたどったと思っても周囲の影響で全く同じ結果になんてならない。現にアイリ様も一応はカーテナを得ようとしてみたんだ。だけど、それは成しえてない。そもそもバランス崩しはどんな条件で持ち主を選んでるのか……完全にわかってる事は少ない。確かに精霊と接触する事は簡単かもしれない。それは私の聖典も同じだ。どこの場所でとれるのかわかってる物は、比較的取り戻すのは簡単だ。


 でもそれだけ……普通はそれだけだ。普通なら、ローレの召喚獣だけが特別なんてことにはならない。現に私の聖典は前から変わってない。まあ変わってないという点では同じだが、でも実際は全然違う。私のはそうなって当たり前の変わってないだが、ローレのはどうしてそうなった? の変わってないだ。同じような条件を揃えるなんて実質LROでは不可能なのに……それなのに、再び彼女は精霊を短期間ですべて従え、そして類まれなエリアを手中にしてる。


 あんまり活発ではないから、そこまで注目されてないが、トップテンには入ってるんだ。あの女の強かさから言って、絶対にこれで終わるわけがない。スオウの事もただ取り込んだだけじゃないだろう。精霊との契約の隠し要素ともいえる祝福を持ってたスオウ。そして今週末には今のLROが激変するかもしれない戦いが幕を開ける。何かが起こる……そしてその中心には会長やスオウ、それからローレがいる気がしてる。

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