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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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 僕は風を出す。それで何をするかというと、会長の名残を見つけられないかということだ。僕は風は万能だと思ってるからね。多分結構なんでもできる……筈だ! 

 成せばきっと何とかなるだろう。思った通り、部屋に風を満たせば……いや、実はふつうに風を出すのも苦労した。だって祝福は祝福だからね。氷と同じような抵抗を感じる。でも風は氷よりは簡単だった。

 寧ろ、気付いた。風を先にとおせば、その通り道を使えるということに。実際は微妙に何かが違う気がするが、一から氷でやろうとするよりも全然いい。


(何とかある程度の量の風が出せたな)


 なんか不思議といつもよりも風を多く出せた気がする。自分の風である黄緑色の風が部屋に満ちている。


「あった」


 見つけた違和感。日鞠の事を感じるから間違いない。けど一応早くなったし、無理矢理会長の名残を利用する必要もないかもだが、やってみる価値はあるかもしれない。


 なんだって挑戦だろう。僕は多くの風を会長の名残の周りに集める。


「うーんやっぱりなんて書いてあるのかはわからないな」


 そもそも僕はこっちの文字をそのまま読める訳じゃないし……普段は自動翻訳的にシステムがやってくれるから不自由なんてしないが、だからこそ読めないままでもある。

 これをかけるって事は会長は読めるし、書けるんだろう。皆が気にもしないことを相変わらずやる奴だ。


「読めないけど、再現するくらいなら――」


 僕は文字を再現するように風を集める。黄緑色の風だからちゃんと見える様になった。なんかかなり細かく風を制御出来てる気がする。結構な数を書いてたのか、数十行の文字が並ぶ。


「これって書くだけでいいのか?」


 でも会長が書いてる以外なにかしてる所は見た事ない。何か起きる事を期待して見てると、風は僕の風の筈なのに、勝手に文字から解けていき、そして陣の中へと消えていく。その瞬間、青く光ってた陣が金色になった。

 そしてゴリゴリと力が奪われていく感覚がある。


「あっが……」


 立てなくなって僕は陣の中心で膝をつく。


(これ……やばくないか?)


 いくらなんでもこれは……あいつこんなことをやってたのか? 無茶しすぎだろう。全ての陣を強制的に満たす為の文字だったのだろうか? 


 僕は自分の中の文字を絞り出す。風を、海を、そして氷を自身の一滴まで……そこまでやらないとこの陣は満たせない。もうないと思っても、絞り出せる。自分の状態を見ると、HPが減ってた。

 そこまでしないと、枯れてしまうんだ。でもこれは諸刃の剣だ。


(いや、前からそうだったか)


 そう思いつつ、僕は立ち上がる。最初はいきなりでびっくりしたが、慣れれば立つくらいは出来る。陣のせいで抵抗があると思ってた。けど、こうなってみると違うとわかる。この陣は絞り出す為の物だ。全てが開かれた今、段階なんて無視して絞り出してきてるが、その術は確実に自分の身にしみいってる。


「強引すぎるぞ日鞠」


 僕はそういいつつ、天上の陣も満たしきる。

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