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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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「うーん」


 あれから何度か挑戦したが、予想以上に細かい再現が難しい。これはもしかして細かい調整が出来るような訓練なのだろうか? 祝福も段階があってこの試練をこなしてく事で扱いがうまくなれる様に想定しているのかもしれない。


 チラリと会長の方を見れば、光が出てる。そしてその光がしたから消えていくんだか、消えていくと、なんか見覚えのある部分が出来てる。


(なんだそれ? 3Dプリンターかなにかなのそれ!?)


 口にはしないが、そんな風に思ってしまう。これだとあと十分もしないうちに全身が完成するだろう。こっちはいくらやってもデロデロな雪だるまにしかならないというのに……


(自分の中だけの氷じゃ、扱いがまだまだって事か……)


 スオウは考える。やっぱり今できる全部を使うべきなんだろう。それに会長のそれはズルいけど……ズルいけど、今までもそれを咎めた精霊はいなかった。ならやっぱりいいんだ。ここはLROで、やり方は無限大。


(僕が一番操りやすいのはやっぱり風だよな)


 僕はとりあえず単純に氷だけをだしてみた。こうやって出してみてわかったが、自分たちに生まれた氷だけじゃ、全然氷像には足らない。確かに氷像がまるまると入ったが、出てきた氷の量は拳よりもちょっと大きいくらいだった。


「これじゃあ全然できない訳だ」


 僕は氷像が丸まる入ってきたから、その分は自分の中にあると思ってた。けど違った。この氷をまずは大きくしないといけない。僕は海を使い水を出し、氷かける。水を氷りにできないかな? と考えた。だって風はも海も掴んで増やしてくんだ。

 氷だって掴めば増やせるだろう。けど予想外に自分からでたばかりの水は熱いようだ。そう感じる。これでは氷で掴めない。だから冷ます事にした。僕は更に風も出す。それで水を攫って無暗に外気にさらして水の温度を下げて更にチョロチョロと風で少しずつ掛ければ氷で掴むことが出来た。


 これで氷が少しずつ大きくなっていく。五分くらいかかってとりあえず五十センチ大の氷塊になった。かなり疲れた。てか頭がいたい。頭をめっちゃ使う。でもまだ終わってない。会長は既に胴体の半分が完成してる。とりあえずそれを参考にしながら、記憶の補完を行うよ。


 僕は自身の氷に命令を送る。頭の中の像の形になるように。これでいいのかわからないけど、彫刻刀とかで削るわけじゃないだろうからね。


ピキ――


「げっ!?」


 確実にヤバイ感覚があった。氷が変化しそうな感じはある。けど、それに氷自体が耐えられない感じもした。いきなり全体をやるのは不味いのか? だから会長も下から上へと作ってるのかも。それを参考にした方がいい?


(けど、それじゃあ確実に負けるしな……)


 今から同じように作って勝てる訳はない。勝負してる訳じゃない……訳じゃないが、みすみす負けるのも癪だ。氷は出来たんだし、何かやりようがあるんではないだろうか? 氷に意思は通ってるんだ。まだ固いだけ。


「よし」


 僕は氷を風で覆って持ち上げる。今、僕の意思を完全に通せるのはこの風だ。海もまだまだだしね。けど海もやっぱり使うよ。氷を作る為に使ったが、今度は氷を柔らかくするために海を使う。


(いけ……そうな、気がする)


 僕は極限まで集中する。大雑把に風で氷を削る。そして水で柔らかくなった氷で一気に細部を変化させていく。けどやっぱり慣れてないから、細かい部分は割れてしまう。けど大丈夫。大雑把に切り取った氷を瞬時にあてがう。それで補って彫像の形を為していく。


 そして――


「出来た」


 ――僕のシヴァの彫像は会長よりも早く出来上がった。

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