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帰りは何故か敵が全く出なかった。リヴァイアサンが何かやったのかもしれない。僕質は自分たちが打ち上げられた場所に戻ってきた。するとそこにはリヴァイアサンが待ってた。
「早いな。いくつ得た?」
そんな言葉に僕と会長が海の塊をリヴァイアサンへと見せる。すると「二人か」と呟く。
「驚きました?」
「ああ、まさかこんなに早く得るとは思わなかった。それに二つも」
リヴァイアサン的にはもっと時間が掛かる物だったらしい。多分普通はそうなんだろう。会長は裏技的な手段だったし、僕はエアリーロの祝福を受けてたから、想定よりも早く得られただけだ。本当ならシルクちゃんやテッケンさんみたいにもっともっと苦労する予定だったんだろう。
「なるほど、そなたは既に風を持ってるのか」
僕の方を見てリヴァイアサンがそういった。やはり僕には納得できる理由があるみたいだ。だが会長にはない。でもわざわざそれを指摘することはなかった。
「では二人は私の背に乗るのだ」
そういうリヴァイアサンが近くまで来て首を下ろす。僕はテッケンさんとシルクちゃんをみる。二人とも頷いて僕達を送り出してくれる。
「行こうスオウ」
会長に手を引かれて僕はリヴァイアサンの背にのる。
「では行くぞ」
そういってリヴァイアサンは進みだす。海の中を進んでる筈なのに、水の抵抗はなく、息だって出来る。不思議な感覚だ。しかもリヴァイアサンが泳いでると沢山の海の中の生物たちが寄ってくる。普通は人が泳いでたら一斉に散っていくような魚たちが周りに集まってるんだ。
こんな光景なかなか見れる物じゃない。凄い光景に見とれてると、リヴァイアサンが声をかけてくる。
「海の塊を掲げるのだ」
その言葉に従って僕と会長は海の塊を腕を伸ばして掲げる。すると輝きだした海の塊が周囲の魚たちをぼんやりと輝かせてく。更に周囲は幻想的になった。
「そろそろいいだろう」
そういってリヴァイアサンが止まる。そしてリヴァイアサンの周りに海の生物が渦を作るように回ってる。そしてその生物たちは皆が淡く光って海を照らしてる。
「海は命を持って完成する。完成させない、その海を」
その言葉を受けて、周りを回ってた生物たちが一斉に海の塊へと押し寄せる。彼等はその中に入ったと思ったら、直ぐに同じにように出ていき、また渦の一部に戻る。そして最後の生物が海の塊を通ると、自然と海の塊は砕け散った。
「これでそなた達の海は完成した。育むのだ。そうすれば、海はどこまでも広がるだろう」
そんな意味深な言葉を言ってリヴァイアサンは僕達を元の場所に送ってくれた。テッケンさん達と合流すると、現れてた魔法陣に乗って転送される。それは普通にリヴァイアサンと契約するときにもある魔法陣でどこに出るかはちゃんとわかってる物だ。
だから僕達はこのまま次の目的地へと向かう事にした。