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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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 僕は緑色の宝石をみる。けどそこには何もいない。いや、いる方がおかしいんだが……雷の方にはいるからな。多分こっちにもいるんだろう。けどだからって今の風を解除はできない。だって オリジンの力と風を絡めてるから、奴のオリジンの力にまだ飲まれてないんだ。


 けどだからこそ……なのかもしれない。この風はフラングランから生み出した風じゃない。そもそも、この雷幼女みたいな奴が言うように、僕は風を自身で使えるから、フラングラン自体の風をそうそう使ってない。それはやっぱりフラングランの力は有限だからだろう。


 いや、自分の力が無限なわけじゃないけど……でもやはり回数に制限があると、自分の中の貧乏性がね。どうしても出る。雷の方はフラングランでしか使えないから、使う機会が多いんだけどね。風はどうしても節約をしてしまってる。

 まあ風帝武装とか爆発的に風が必要な時は使ってるけどね。でもそれはもしかしたら……いや、もしかしなくても通常の使用方法ではないのだろう。でも雷が完全な攻撃がたと思えるから風は……どう使うのを想定してるのかわかりづらい気が……


「そこにいるのなら、姿を見せてくれないか?」


 僕は極力優しい口調を心がけて緑の宝石に声をかける。けど反応はない。すると雷の幼女が言った。


「言葉ではなく風で語れよ」


 こいつ、何言ってんだ? とか思ったが、ここはゲームの中で、実際にそういう世界だ。そもそもがそれを言ってるのが、雷が人の姿を取ってる様な存在だ。ならこいつには雷で語った方がいいのかな? とか思うが、それはきっと向こうが配慮してくれてるって事だろう。


 僕はフラングランの力でしか雷は使えないからな。けど風は違う。だからこその言葉なのだろう。でもさ……


「風か……」


 語れってどうやって? 風で語れってニュアンスしかわかんねーよ。とりあえず少しの風を僕は宝石の周りにやる。ゆっくりとそこに対流させてやってると、何やら、違う風が宝石から出てきた。そして僕の風と共に絡みあう。実際視覚的に風が見えてる訳じゃない。


 僕のは見えるが、普通は風は見える物じゃないからね。けど僕にはわかる。違う風が絡み合ってるって。その風から感じるのは不安と怯え。


(そうか……)


 と、僕は思った。視線を雷の幼女……のような存在に向けた。目とかあるわけじゃないが、僕が見てるかどうかはわかるのか、その頭をコテンとした気がする。


(僕は、セラ・シルフィングと同じように使ってたのかもしれない)


 実際、二つは違う武器だって知ってる。理解してる。力だって違う。けど、僕はセラ・シルフィングに感じてた思いというか、願いを無意識にフラングランにも求めてたのかもしれない。支えて、切り開いて……そして応えてくれる。そんな最高のパートナーを。


 けどそれはいろんな衝撃的な事があったからで、そして命という最大級の掛け金を払ってたからなんだ。あの時の僕はLROに確実に溶け込んでたし……いまだって抜けだしてはないが、あの時程じゃない。やっぱり危機を共にすると、掛け替えのない思いが生まれる物なんだろう。


 僕とフラングランの間にはそこまでのものはない。まだまだ僕達は出会ったばかりって事を念頭に置いとかないといけない。だかちちゃんと言おう。折角、姿を(一人はみせてないが)現してくれたのなら、いい機会だ。


「僕はフラングランを気に入ってる。それは本当だ。だからもっと……もっともっといっしょに冒険したい!」


 それは僕の噓偽りない言葉。確かにたくさんのスキルを得るためには武器は変えていった方がいいかもしれない。でも……僕にはそんな気はない。だって僕はフラングランが自分にとって最高の武器だと感じてるからだ。

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