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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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「はあはあ……」


 息を吐いても吸っても苦しさが消えない。今や、テア・レス・テレスの面々はいなくなり、残るは僕と会長だけになってる。けど……皆の犠牲は決して無駄じゃない。何故なら奴もボロボロだからだ。それに奴の体は既にほぼ動かなくなってる。

 元の体はって事だけど……やつの体は増殖出来て、そっちは問題ないみたいだが、どうやら元の部分はそうではないらしく、最初に奴の脳天をオリジンで貫いたとき、奴の元の頭は力をなくして垂れ下がった。それはずっとそのままだったんだ。

 それに気づいた会長は僕に奴のオリジナル部分への攻撃を支持した。そしてそこに攻撃を集中してくことで、奴の体自体を動けなくすることに成功はした。けど、今やそれは意味があったのか……うごかなくなった体を奴は無理矢理動かす度に増殖を繰り返した。

 それはもう滅茶苦茶に……だ。いたる所から首や脚や腕が生え、尻尾だってそうだ。今の奴の見た目は……正真正銘の化け物。適当に増やした事で増やし続ける事でしか動けなくなってる。口から腕が生え、更に足が生えるとかざらだ。


 でも反則なのは、そんなのでも目にも止まらぬ速さな所だ。結局、皆を犠牲にしてようやくここまできた。けど問題は起こってる。どうやら、増殖した部分はHP判定がないということだ。今や奴の本体は増殖した部分に埋まってしまってる。


 これ以上の攻撃は更に強力じゃないと本体まで届かない。


「スオウ大丈夫?」

「何が……だよ?」

「その……姿の事。やだよ、スオウもあんな化け物になるの」


 こんなに長くオリジンを発動してた事はない。だからだろう……僕の姿は力に飲まれて行ってた。体が黒くなっていってる。感覚がおかしくなってる気はしてる。視界にも何やら黒い塵の様な物が混じってた。これ以上力を使う事が危険だと、誰の目にもわかる。けど……あれをとめるには使うしかない。奴はずっと増殖してる。きっとそのうち、この空間にも収まらなくなるだろう。そうなるとこのエリアはいずれ奴に食われる。


 それはここまでやってくれたテア・レス・テレスを裏切ることだ。今……引くなんて選択肢は出来ない。


「それでも……だ。必要なら、化け物になってでも倒してや――」

「てい!」

「おい……」


 本当なら「いってえええ」とか言うべきなんだろうが、感じない。今、会長はそのペンを僕の額に刺してる。けど感覚はないんだ。


「スオウのその力と、あれの力って同じだよね?」

「……そうだな」


 オリジンの事は隠したかったが、もう今更だ。それに会長は既に確信してるだろう。


「スオウ、私に全てを見せて。その力、私が暴いてみせる! そして出来る事なら……ううんきっとスオウなら使いこなせる。スオウはあんな風には絶対にならない」

「そんな確証なんて……」

「あるよ。だって私は一番知ってる。スオウはあんな奴よりよっぽど凄いって。だからしっかりと感じてね」

 

 会長の目に陰りは一つもない。まさに信じ切ってる目だ。過大評価なのにね。奴は体を増殖させて僕達を飲み込む。けどその瞬間に僕はオリジンの力を周囲に展開して自分と会長を包んだ。どれくらい持つかはわからない。僕は自分の腕の中で眠った様に目を閉じてる会長を抱く。

 僕のウインドウをそのペンで叩き割ると同時に会長はこうなった。けど不安はない。会長……日鞠を中に感じる。僕もその時の為に力を感じる事にする。

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