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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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 それは完全に獣のそれだっだ。いままで見えてた知性というものは完全に感じられない目の前にいるのは襲い掛かってくる野犬のそれだ。だが、野犬よりも凶悪で、凶暴で、そして何よりも厄介。僕達の攻防は速すぎるのか、テア・レス・テレスの奴らはなかなか入ってこれない。


 これだとレスティアの時と同じ……だとおもったが、そうじゃない。決定的に危ない時にはちゃんとフォローが来る。回復も身体強化もしてくれてる。だからって僕達の動きが見えてるのかといえばそうじゃないみたいだけど……多分テア・レス・テレスの面々は会長の指示通りに動いてるだけなんだろう。

 けどなら会長には見えてるのか? そこは半々ではないかと思ってる。日鞠なら見えてそうでもあるが、あいつなら見えてなくてもこのくらい出来るとも思えるからだ。


 まあつまりは僕は適格なサポートが受けられる状態というわけだ。それはなかなかに違う。そもそも先のエリアバトルで僕も持ってたアイテムは大半が使ってた。だからじり貧でしかなかった戦闘が大幅に変わった。一撃の重みが違う。


 まあ向こうはオリジンだ。一撃が致命傷になりかねない力。一応一撃食らっても僕は生きてはいる。HP的に反映されるのは奴の純粋な攻撃力みたいだからな。けどこのLROの肉体は違う。奴の……オリジンの力を食らって今までとは違うダメージを負ってる。


(これは……このダメージはこの中だけの物なのか……ぢっ!?)


 奴の全身は今や力という凶器だ。奴はその口で僕の事を食いちぎるのをメインでしてくるが、その外皮の様な鎧は奴自信を何倍にも感じさせる程に凶悪。その顔が増えることもあれば、側面から鋭利な剣となって斬りつけても来る。そしてそれらはどうやら防ぐことが不可……反則にも程がある。


 今も僕のわき腹が奴の増えた頭にかじられた。ダメージはテア・レス・テレスの後衛が会長の指示で即座に回復してくれる。けど、オリジンの力の権化となったような奴のダメージはこのLROの肉体というか、データにダメージを残してるきがする。事実、僕の噛まれたわきわき腹は表示がバグったかの様におかしくなってる。


『スオウ、次はここ! 粘って!!』


 そんな声が響いて視界にはその場所が赤くマーカーが光ってる様にみえる。いつからか会長の声が頭に響く様になってた。僕はすぐさまそこに向かうが、けどそれも簡単じゃない。奴は攻撃一辺倒。普通なら、そんなただのごり押しどうにかなるが、今向かい合ってる奴は僕の全ての面を上回ってる。

 そうなると事情は変わる。ただ背を向けて逃げる様に向かってはすぐに背後から食いつかれる。だから攻防の中で自然と会長が示すマーカーの向かわないといけない。


 ありがたい事にマーカーはこれで五か所くらいにはなってる。どれかに向かえばいい。会長以外の面々は僕と奴の攻防について来てないが、マーカーは設置型の罠の様な意味だ。そこに乗れば、確実にテア・レス・テレスの面々が大技を叩き込んでくれる。


 はっきりといってフラングランでは奴に傷をつけられない。フラングランは今やボロボロだ。オリジンという破壊の力とぶつかり合ってるからね。けどそれでもまだフラングランが無事なのはセラ・シルフィングを思い出してフラングランの周囲に風の渦を作り出してるからだ。これで直接はぶつかり合うことはないからフラングランはまだある。

 けどこいつ相手に風を維持するのがとても難しい。オリジンと風帝武装がどれだけ溶け合ってるのかしらないが、油断するとこちらの風までも食ってくる。少しづつだが、僕の風は奪われて奴の黒い風へとなってる。終わりは……遠くない所まで来てる。


 だから僕は周囲に頼る。攻防に参加できない代わりに、テア・レス・テレスの面々は力をためてる。マーカーに乗れば放たれるのはテア・レス・テレスのメンバーの渾身の一撃だ。それで削ってくしかない。フラングランの防御をはじき、奴の尻尾が鞭の様にしなって僕の体を弾く。激しく後方に下がる。けど奴は距離をあけない。


 その圧倒的な機動力で常に張り付いて食いつてくる。けどこっちも風帝武装。風で無理矢理に体を引っ張って強制的に回避する。そして回避した先はマーカーの位置。たまたまだが、これで――


「うおおおおおおおプレッシャーマウントおおおおおおおお!!」


 何倍にも膨れ上がった斧が黄金の輝きを放ち食いついてくる奴に振り下ろされる。それだけじゃない。更にシンクロ魔法と四方から別の前衛たちがスキルを放ってる。


(叩きつぶれろ!)


 僕と心の中でそう吐き捨てた。

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