924
「やめろ! やめてくれええええええ!!」
そんな言葉を相手側は言っていた。けどごめんよ。僕にはどうする事できないだ。確かに僕の力ではあるが、この力はよくわからないしオルガトがいないと制御なんて物はきかない。だからこそ、ローレの奴にオルガトがいる状況じゃないと使うなと言われてたんだが……状況がしょうがなかった。
だって使わないとエリアの罠に僕達は嵌って最後の最後で負けただろう。オルガトがエリアを破壊する力があるからこそ、僕達は勝利を得た。まあ……なにも得てないんだが。
「はあはあ……」
僕は荒い息を吐きながら周囲を見る。オリジンが僕達を飲み込んでだ場所を壊して、その全てがエフェクトとなって消えていってる。勝利の文字が僕達には見えてるが……絶対にローレには文句を言われるだろう。そんな事を思ってると、アマクサさんが近づいてきた。
「本当に、凄いな君は」
「別に……僕が凄い訳じゃないですよ。スキルが凄いだけです」
事実、オリジンがなければ僕達は負けていただろう。敵を前に油断してた僕達は奴らの罠に気づけてなかったわけだし……すべてはオリジンのおかげ。
「俺たちの結晶が……」
「ああ……」
消えていく作りあげたものを見ながら、ここのエリアの人達がそういってる。流石にあんなに沈痛な面持ちされると罪悪感が湧いてくるな。普通はエリアバトルしたってエリア自体が壊れる事なんてないしね……まあ今回のは壊れたというよりも消滅だから問題なのかもしれないけど……壊れただけなら確か治す元に戻す方法はいくつかあったはずだ。
けど消滅だからね……また一からつくっていくなると大変なのは想像に難くない。
「君が気にする事じゃないさ」
僕の心情をおもんばかってアマクサさんがそういってくれた。とりあえずエリアバトルは終わった。こちらの勝利という形で。
「こちらで彼らとは話し合っておくよ。君はローレ様に報告を頼む」
「……はい」
なんか厄介な事を押し付けられた気もするが、初対面の人と話すのは嫌だし、そもそも何を話せばいいのかもわからないから、素直に従う事にした。僕は早々にここのエリアから退出する。
「ふう」
レスティアの一角に戻ってきた僕は息を吐きつつ踏み出そうとして膝が折れた。
「なんか、体が重い……な」
これもオリジンの影響か? ここはゲートがある場所だから人が沢山いる。そんな中、一人膝を折って地面で丸まってると迷惑だ。僕は気力で立ち上がってウインドウを開こうとした。ローレにまずは連絡した方かいいかなって思ったからだ。けどその手が止まる。
僕の視界の端にその存在が見えたからだ。嫌な風が吹き抜ける。僕は咄嗟にフラングランを抜いた。
「新たな力が、コードが匂うぞ!」
「お前!?」
セラ・シルフィングに風のうねりを纏わせたそいつは前の僕のコピーともいえるそいつだ。そいつがこのタイミングで来た。いきなりレスティアの街中で戦闘を始めた僕達に周囲の人達が巻き込まれる。僕は心で謝りながら目の前の敵を睨みつけた。