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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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 デロンを倒した。大変だったが、僕達はやり切ったんだ。けどこれで終わりじゃない。そう思ってたら、床のいくつかに魔法陣が浮かぶ。僕達は集まって警戒を強めた。


(どうやら、さっきので炎は打ち止めっぽいな)


 フラングランを回収して真っ先に熱くないって事を感じた。そしてもう炎が出る気はしなかった。最後のデロンを倒したあの時にすべての炎を使い切った気はしてたけど、それは当たってたみたい。てなわけでここで連戦となると……いや、元々あの炎は僕にとっても予想外だったし、あれに頼る気はないが……なんかちょっと体がだるい気はするんだよね。


 よくわかんない事が起きてたからそれのせいだろうか? だから今からまた戦闘はちょっと不安だ。そんな事を思って魔法陣を見てた。いつでも攻撃がきても反応できるように注視する。光から人影が見える。それは約十五人……つまりは対戦相手のプレイヤー全員ということだ。


 それに対してこっちは十一人……相手が戦闘向きじゃない奴らの集まりなら、この人数差でもなんとかなる。普段なら……けど今は結構疲労がたまってる。アイテムの数の減ってるし……尽きてる奴もいるだろう。行けるか? 僕はチラリとアマクサさんを見る。

 彼もここで相手側が全員で来るとは思ってなかったのだろう。苦い顔をしてる。けどこうなったら仕方ない。向こうはきっとここがチャンスだと思ったから来たんだろう。


「ん?」


 ふと違和感に気づく。それは向こうの誰もが武器を持ってないって事だ。腰とか背中に抱えてもいない……本当に武器を持ってない。ここって戦場だよな? それとも奴らが手を下す必要ない仕掛けがある? そう思ってると、パチパチと彼らは手を叩きだす。


「素晴らしい。ここの守護者を全て倒してしまわれるとは圧巻です。流石は四国を支配してるチームですね」


 そういってリーダー格なんだろうその男がそう言ってきた。


「さっきの君たちの最後の砦……ということかな?」


 そのリーダー格の男にこっちのアマクサさんが聞く。やっぱりリーダー同士で話さないとね。それにしても話し始めたのなら拍手するの止めろよ。煩いんだけど……


「ええ、あれを突破されればもう私たちの様な凡なプレイヤーには勝ち目はないでしょう」

「それじゃあ降伏……ということで?」

「ええ――」


 なんだろうか……なにかひっかかる。というかさっきからの拍手がほんとなんか不快だ。拍手で不快になる事があるなんて思わなかった。


(あれ?)


 拍手に目を向けると、何やら散ってる? 僕の目は何かを捉えてる。奴らが拍手をしてると、何かがその手から散ってる。演出? とも思ったけど、こっちの勝ちを祝福の演出ならあんな見えるか見えないか見たいにする必要はない。

 つまりあれは隠したい事……僕は後ろを振り返る。皆のステータスバー……その減りがえげつない。ここに最初に踏み込んだ時からあったスリップダメージ。その威力が上がってる。皆ももう気にしなくなってて、ここで奴らが出てきて誰も自分のHPに気を留めてないから気づいてない。

 つまりこれが奴らの最後の攻撃。最初から微々たるスリップダメージを仕込んでたのも勝利を確信させた後でもダメージを与え続けてる事を意識させないための布石か! この会話も、僕達のHPが尽きるのを待つ為の時間稼ぎ――


「全員飛べ!! ダメージを受けてる!!」


 僕は皆にそう声をかけて飛び上がった。それに続こうとしたが他の皆はそれが出来なかった。なぜなら――


「気づきました。だが、ここは我らがエリア。逃れる術なんてない」


 ――皆は飛んだけど、床に追いすがられた。床からはなれられない。このままじゃ天井と抱き合う事になる。そうなったらもう終わり。今から風帝武装をして奴ら十五人を一気に倒せるか? 流石に風帝武装を作る為の風となると床の盛り上がりに間に合わない。


 僕はローレの奴に文句を言うよ。


「お前のせいだからな…………オリジン」


 僕は迫る床にフラングランを突き刺した。その瞬間、床の隆起が止まる。そして床に突き刺した一本のフラングランを足場に奴らの方へと飛んだ。これ以上は流石に何もないのか、奴らは驚愕したり、逃げようとしたり、あるものは魔法を放ってくる奴もいる。でも当たらないし、逃がす気もない。狭まってく視界の中、僕は彼らを切り刻んだ。

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